2009年7月よりチバテレビほかU局系にて放送開始予定となっているTVアニメ『狼と香辛料II』。話題作の続編となるだけに、その期待も大きい本作だが、今回はその放送に先駆けて、メインキャストとスタッフが語った第2期シリーズの魅力や見どころを紹介しよう。

TVアニメ『狼と香辛料II』は7月より放送開始予定

メインキャスト&スタッフが語るTVアニメ『狼と香辛料II』

今回の取材には、第1期から継続して出演するホロ役の小清水亜美とロレンス役の福山潤に加えて、第2期からの登場となるアマーティ役の千葉紗子、マルク役の小山力也、ラント役の笹島かほる、ディアナ役の渡辺明乃が参加。さらに、スタッフ陣から監督の高橋丈夫氏と脚本の荒川稔久氏といった、計8人が第2期『狼と香辛料II』の魅力や作品にかける意気込みを語ってくれている。


――演じるキャラクターの魅力と演じる上で気をつけていることを教えてください

小清水亜美「ホロ役の小清水亜美です。ホロは、『耳』と『尻尾』がついているところと、コロコロ変わる表情などが魅力だと思います。あと、おいらん言葉を喋るキャラクターなので、そういった喋り口調も魅力のひとつになっています。演じる上で気をつけていることは、かまないでしゃべることです(笑)。たとえば『くりゃれ』が『くられ』にならないようになど、気をつけています」

福山潤「そのホロと一緒に旅をするロレンス役の福山です。行商人ということで、あの時代のことを考えれば、手練手管を使って商売をする人たちが多い中、大変お人よしな、そして女性関係には大変朴念仁な男なので、そこのところに気をつけて、一生懸命でまっすぐ、そんなロレンスの人のよさがにじみ出るような感じで演じられればいいなと思っております」

千葉紗子「アマーティ役の千葉紗子です。今回のシリーズから出させていただきました。アマーティは行商人をやっておりまして、若いのにすごく腕もたち、頭も切れ、仕事がよくできる男の子でございます。とてもまっすぐな思いを持っている男の子なので、とにかくセリフをストレートに出していこうと思っています。自分自身、青年役をやるのが今回初めてだったので、とても緊張して、不安なまま現場に入ったのですが、すごく快く迎えいれてもらえて、とても楽しく演じることができました」

小山力也「ロレンスの友人のマルク役の小山力也です。マルクの良いところは、僕にはないクリクリの丸いおめめと、お茶目なあご髭です(笑)。マルクは、自分の社会における役割というものを非常によくわかっていまして、どういう風に生きていくべきかをしっかりと把握していて、ロレンスにアドバイスをしてあげることができる、そして友情もしっかりと伝えることができるという、見上げたお髭の青年です。演じる上で気をつけていることは、非常に細かい口がですね、いろいろとややこしく多いので、なるべく間違えないように、帳尻合わせをしないようにすることですね。ただ、気持ちよく喋ってしまうと、ついつい帳尻が合わなくなるので、それはアニメの宿命なのですが、合わせながらも気持ちよく、そして不自然のないように、若干科学のチカラも借りながら(笑)、やらせていただきました」

笹島かほる「ラント役の笹島かほるです。ラントは、マルクさんに一所懸命仕えている少年です。マルクさんのチャームポイントがあご髭なら、ラントはそばかすですね。とにかく一所懸命な少年なのですが、今日はちょっと油断して、ロレンスさんに馴れ馴れしくしてしまったので、気を抜かないようにして、とにかく誠実に真っ直ぐという気持ちが伝わればいいなと思って頑張ります」

渡辺明乃「ディアナをやらせていただいております渡辺明乃です。ディアナの魅力は、長い長い黒髪と掴み切れないミステリアスさだと思います。演じる上で気をつけたのは、相手に掴ませないことですね。自分の正体だったり、心の内だったりを、相手に掴ませないようにかわしつつ、核心は突くように、ということに気をつけました」

――アニメの第2期が決まったときの感想と、第2期で力を入れようと思った点をお聞かせください

高橋丈夫監督「幸いにも第1期が好評だったので、第2期が決まったということなのですが、2期で特別に力を入れるというよりは、1期の雰囲気をどうやってそのまま持続していくかということを考えて制作しています」

荒川稔久氏「やはり2期になると、ロレンスとホロの関係はちょっとずつでも進行しているはずなので、そこをどんな風に描けるかというところが楽しみでしたし、実際に書いてみても楽しかったです。そこをやはり皆さんに観ていただきたいと思います」

――第2期の収録現場の雰囲気は第1期と比べていかがですか?

小清水「1期から引き続きなのは、キャスト陣だと私と福山さんぐらいで、現場でも半数以上が初参戦なのにも関わらず、前回と同じように、落ち着いていて、でも楽しく、穏やかな時間とメリハリのある、そんな現場になっていると思います。これが『狼と香辛料』の力なのかもしれません」

――第2期から参戦した千葉さんはいかがですか?

千葉「人数が少ないこともあって、すごく落ち着いた、大人の現場だと思いました。『狼と香辛料』は作品的にも甘くて、ゆったりとした時間が流れているのですが、現場もそのような感じだと思いました。自分のことで手一杯だったので、あまり周りを見る余裕はなかったのですが、すごく居心地は良かったです」

――男性陣にお伺いします。ずばり「狼と香辛料」でお気に入りの女性キャラは?

福山「大変魅力的な女性がたくさんいらっしゃいますので、なんとも言い辛い感じなのでございますが……。ホロも大変魅力的ですし、1期に出てきた女性の方々、ノーラとかも大変可愛らしい感じなのですが……、ここでホロ以外は答えられないような雰囲気になってますね(笑)。ただ、ホロにように上手く手玉に取ってくれる人というのは、男から見ると大変魅力的なのではないかと思います」

小山「たくさんの素晴らしい魅力的なキャラが登場なさいまして……、僕には決められないんですよ、人間が優柔不断なので。決められない、本当に! だからダメなんですけどね(笑)。4兎を追うものは1兎も得ずという感じですね。まあ学生時代の苦い思い出もあるんですけど……。みなさん、すばらしい! 決められない!」
(マルクには奥さんがいますよねと突っ込まれて)
小山「あ、いたね、アデーレ。アデーレはどこへ行ったんデーレ(笑)」

高橋監督「やっぱりホロですね。スタッフとして長い間制作に関わっていますが、唯一の女性のレギュラーキャラですから、やっぱり好きじゃないと作っていけないですよ」

荒川氏「今回は第0幕から始まっていまして、第0幕には1期のノーラが出てくるのですが、それを書いているときはやっぱりノーラだよなって思ったんですけど、第1幕を書き始めると、ディアナの神秘性がまたひとしお、こんなお姉さまもいいなという気がしつつ、途中でできあがった映像を観ると、アデーレも意外に良くて(笑)。これはすごい意外でしたね。書いているときはただのマルクの奥さんで、それほど気にしていなかったのですが、できあがりを観たらすごくいい女になってるなって感じました。もちろんホロのことも思っておりますよ(笑)」

――この夏にはDSゲーム最新作の『狼と香辛料 海を渡る風』がリリースされますが、それに対する意気込みを教えてください

小清水「前作はロレンスが出ていなかったのですが、今作からはどうも参加するらしいということで、原作に近い感じになっていくのではないかなと想像しております。その分、しっかりと演じていきたいですね。ホロの可愛らしさや表情豊かなところをうまく演じられたらいいなと思っております」

福山「前作では、ロレンスの出番はなかったのですが、主人公の先輩行商人という役で僕は出ていまして(笑)、大変貴重な経験をさせていただきました。今回はロレンスが出るということなので、よかったなと思っています。どんな活躍をするのかは、まだ収録をしていないのでわからないのですが、みなさんに楽しんでもらえるように頑張りたいと思います」

――第1期と比べた場合の2期の魅力や見どころを教えてください

小清水「1期の頃は、まだ出会ったばかりのホロとロレンスだったので、お互いまだわからない部分が多く、探り合っているところもあるのかなと思ったのですが、2期になりますと、ホロとロレンスが一緒にいる時間もその分長くなっていますので、2人の距離や関係の違いが見どころのひとつだと思います」

福山「1期のときも感じてはいたのですが、今回なおさらに感じるのは、やはり人間関係における言葉の大切さですね。お互いに心を許しあっているといっても、察してくれるだろう、分かってくれるだろう、と思っている部分のちょっとした気持ちのズレが、そんなつもりもないのに、言葉ひとつで相手を傷つけてしまったり、もしくは、間違った解釈になっていたりするんですね。そういった部分がこの第2期の最初の物語には大変強く出ているのではないかと思います」

――最後に第2期シリーズを楽しみにしているファンの方へのメッセージをお願いします

笹島「第2期から入らせてもらったのですから、それでもわかるんですよね……。途中から観たとしても、きっとすごくわかりやすい感じになっている戸思います。自分がもし見る側だとしても、すごく面白くて、いろいろ学べる作品になっています。ラントも頑張りますので、皆さんも応援してください」

小山「たくさんの魅力的なキャラクターがいるのですが、キャラクターの一番目立つ一面がドカンと出ているのではなく、いろいろな多面性、それぞれの持っているいろいろな"ヒダヒダ"の部分が、ヒダヒダっとでている(笑)、非常に繊細な部分が、とても面白いと思いました。それがまた難しいところでもあるのですが、やりがいのあるところでもあります。そしてそのヒダヒダを、ヒダヒダっと感じていただけると、ほかではなかなか味わえないヒダヒダ感を味わえるところがとてもすばらしいと思いました。絵のほうも、架空の街のいろいろな風俗が非常に面白く描かれていますし、その中でいろいろな人間が、いろんな思いを抱えながら、後悔だったり、決められないという思いだったり、そういったものを抱えながら生きていますので、そういった人間の多面的な部分を味わっていただけると、何度観てもおいしいのではないかと思います」

千葉「アマーティのヒダヒダは真っ直ぐ過ぎるところでしょうか……。人のモノを盗っちゃいけないぞっていうところなので、そこを皆さん学んでください(笑)」

渡辺「今回はこの作品に新キャラで出させていただける、という事で1期から応援されている方々にディアナはこんなんじゃない! と思われないよう、精一杯演じさせていただきました。この作品は会話劇なので、いつも以上に一緒に演じている方のお芝居、気持ちの変化を気にしました。でもあんまり会話を上手くし過ぎるとディアナらしさがなくなってしまうので注意しながら。絵もキレイで、うっとりと見てしまいます。派手なアクション等はありませんが、会話の中でのバトルや、恋愛、経済学等……。楽しんでいただけたらと思います。また出られたらいいなぁ……」

荒川氏「会話がすごく長く続くので、1期のときはものすごく不安だったのですが、2期では勝手もわかってきたので、そこにいろいろな日常のお芝居などをシナリオ上でも入れてみたのですが、監督のコンテをみたときに、すごく面白くできあがっていたので、これは前よりもいい感じになっているのではないかなと思っております、あと、ディアナのみならず、これから登場するエーブや、酒場の女とか、まだまだ魅力的な女の子がいっぱい出てくるので、そこも注目してほしいと思います」

福山「第2期ということで、すごい気合と期待、そして不安など、いろいろなものが入り混じって収録が始まりました。前回は、命の危険に晒されるようなところもあったのですが、今回はむしろ大切なものを失うかもしれないという、大変心に痛い危機をロレンスは味わっています。やはり大切なものはちゃんと考えておかないといけなくて、いざ答えを迫られたときに言葉が出ないと大変痛い思いをしますね。人間関係、特に男女の関係というものはマニュアルどおりにはいかないということがこの物語で楽しめるのではないでしょうか。一話目から楽しみにしてください」

小清水「前回に引き続きホロをやらせていただいているのですが、アフレコは大変楽しいです。2期では、1期のときは見ることのなかったホロのもっと深い部分が見えてくるシーンなども多々あるのではないかと思っていますので、そういうところも観ていただけたらうれしいです。私は個人的にはアマーティの王子様っぷりにキュンキュンしているので……、ついついアマーティを応援しつつも、ホロとロレンスの会話や距離を楽しんでいただけたらうれしいなと思います」

高橋監督「毎回毎回、難しい話を荒川さんに四苦八苦してもらってなんとかまとめてもらっています。全編ほとんど会話で成立しているような感じなので、役者さんにもたぶんほかの現場よりも無理を強いているのではないかと思うのですが、その辺の熱意が視聴者の方に伝わってくれればいいなと思っています」

――ありがとうございました



TVアニメ『狼と香辛料II』は2009年7月よりチバテレビほかU局系にて放送開始予定。

■TVアニメ『狼と香辛料II』おもなスタッフ
原作 / 支倉凍砂 (「狼と香辛料」電撃文庫刊)◆キャラクター原案 / 文倉十◆監督 / 高橋丈夫◆脚本 / 荒川稔久◆キャラクターデザイン・総作画監督 / 小林利充◆色彩設計 / 佐野ひとみ◆美術監督 / 小濱俊裕 (スタジオ美峰)◆美術設定 / 塩澤良憲 (スタジオ美峰)◆撮影監督 / 館信一郎◆音楽 / 吉野裕司◆音楽制作 / FlyngDog◆音響監督 / 高桑 一◆音響制作 / 神南スタジオ◆アニメーション制作 / ブレインズ・ベース、マーヴィージャック

■TVアニメ『狼と香辛料II』おもなキャスト ホロ / 小清水亜美◆ロレンス / 福山潤◆アマーティ / 千葉紗子◆マルク / 小山力也◆ラント / 笹島かほる◆ディアナ / 渡辺明乃◆エーブ / 朴ロ美 (※ロは王へんに路) ほか
(C) 支倉凍砂/アスキー・メディアワークス/「狼と香辛料II」製作委員会