今作では"ホワイトナイト"の役回りとなる大森南朋

映画『ハゲタカ』の完成披露会見が11日、都内で行われ、主演の大森南朋をはじめとしたキャスト陣が勢揃いし撮影中のエピソードや作品への想いを語った。

本作はNHKで2007年に放映された同名ドラマの劇場版。"ハゲタカ"の異名を取る天才ファンドマネージャー鷲津政彦が日本企業を次々買収する骨太なストーリーを軸に、人間模様を丁寧に描く作りで数々の賞を受賞している。映画の舞台はドラマから4年後の日本。中国系巨大ファンドが日本の大手自動車メーカー買収に乗り出し、これを阻止するべく鷲津が立ち上がる。

鷲津役の大森は「ドラマのときの凄いテンションをまた引き戻せるか心配しながら撮影に臨んだんですが、完全に(テンションが)戻ってきて、今はやり切った感じですね」と約2カ月に及ぶ撮影を振り返った。

鷲津たちの前に立ちはだかる中国系ファンドマネージャー、"赤いハゲタカ"こと劉一華を演じた玉山鉄二は「映画から参加ということで、不安や恐怖、期待が入り交じったいろいろな感情がありました。邦画の経済映画は『金融腐食列島』以来なかったと思いますが、この作品をきっかけに景気を回復する力を見出してもらえれば」。

劉にTOBを仕掛けられるアカマ自動車社長・古谷隆史を演じた遠藤憲一は「僕は車のことに全く詳しくなくて、エンジンのことを難しい専門用語で説明するシーンでは久々に十数回もNGを連発しまして……。このまま役者を続けられるのかと不安になったんですが、周りから『シャチョー、シャチョー』とおだてられ、何とか乗り切りました(笑)」と裏話を披露した。

玉山鉄二は「続編では、劉の双子の弟で、インドから来た"黄色いハゲタカ"なんてどうでしょう」

「『あぶない刑事』に犯人役で出てたんで、今回は逮捕もされない、アクションもない、柴田さんと心情面で芝居をしていて不思議な気分でした」との遠藤の言葉に柴田がすかさず「僕はずっと犯人だと思ってやってました」

映画でもテレビ同様テレビキャスター・三島由香を演じる栗山千明。「刺激的な現場で、ドキドキハラハラの毎日でした」

アカマ自動車の派遣工・守山翔役の高良健吾は「DVDじゃなくて、絶対映画館で観てください!」と再三アピール

MGS銀行頭取・飯島亮介役の中尾彬。「私が出ると悪そうに見えるでしょう? 実はここに並んでいる中でいちばんいい人間なんですよ」

柴田恭兵はアカマ自動車役員・芝野健夫役。かつて鷲津と敵対関係にあったが、力を合わせてアカマ再生に注力していく。「遠藤くんのNGを含め、楽しく緊張感のある現場でしたね」

リーマン・ショックに始まる未曾有の経済危機にある現代にどう向き合うか、を軸とした本作。世相を臨機応変に反映させるために台本は何度も書き替えられたという。大森は「年末、派遣切りのニュースを見ながら『あ、これ台本変わるな』と思っていたら年明けにやっぱり『変わります』と。次があるなら是非経済が安定した時期に(笑)」。

また、セリフの多さと難解さは健在。続編について聞かれたキャスト陣は「できればセリフを少なくしてもらえれば」(大森)、「無言の中東の石油王をやってみたいですね。一言も喋らない!」(遠藤)、「みんなセリフの多さに苦労したみたいね……。僕も、今度作るときはセリフの一切ない、目線だけで芝居するような役がいいね」(中尾)とそれぞれに苦労した様子を吐露した。

映画『ハゲタカ』は6月6日、全国東宝系ロードショー。