「アフィリア・サーガ・イースト」の「学院型」が意味するもの

――「アフィリア・サーガ・イースト」は「学院型ガールズ・ボーカル・ユニット」となっていますが、この「学院型」というコンセプトについて教えていただけますか?

志倉「まずひとつには、メンバーの入れ替わりがあるということ。入学があったり、卒業があったり。これはアイドルユニットにはよくあることですね。あと、これは桃井さんが提案してくれたのですが、『アフィリール』というフォークダンス的なダンスがあるんですよ。何人かが単位になって踊るのですが、そのメンバーがぐるぐると入れ替わり、同じダンスをまたちがうメンバーで踊る。これもちょっと学校みたいだなと思ったんですね。今、ニコニコ動画の『アフィリア・サーガ・チャンネル』でも少しやっているのですが、昔、学校で習ったような歌を今風のアレンジにしてCDにするといった企画もあったりします。そのあたりのことを総合して考えると、『学院型』という言葉がいちばんしっくりときたんですよ」
桃井「アフィリアのお店って、理想的な学院生活が繰り広げられていると思うんですよ。これは志倉さんもおっしゃっていたのですが、『お兄ちゃん喫茶』とか『メイド喫茶』というものは、ご主人様が多すぎだし、お兄ちゃんもいっぱいいすぎなんですよ(笑)。大家族スペシャルみたいな状態じゃないですか。でもアフィリアでは『先輩』なんですよ。先輩は何人いてもおかしくないですよね。そんな魔法学院の中にいるような雰囲気を出したくて、『学院型』という形をとっているわけです」

――メンバーだけではなく、ファンも一体となった「学院型」というわけですね

桃井「『学院型』ということで思い出したのが、私の中学時代なんですよ。私の通っていた中学では、体育祭で男子は組体操、女子はフォークダンスのようなものを踊ることになっていたのですが、女子のダンスは、ずっと昔から、先輩から後輩へと受け継がれてきたもので、3年生が1年生に教えるんですよ。全体の練習は1回だけで、あと本番までは自主練習なのですが、体育館の裏とか校庭の隅で、同じ出席番号の先輩に教えてもらうんですね。最初は面倒くさいなって思うんですけど、踊れるようになってくるとだんだん楽しくなってきて、そこに何かが生まれるんですよ。踊りを教わることで、先輩と後輩の交流ができて、それがすごくいい思い出になって……。それを思い返してみると、その状況って『萌えるよな』って思って(笑)。その踊りはすごくクラシックな感じの、中世ヨーロッパ風のダンスなのですが、それをアフィリアに取り入れたら、『学院型』としてもありだし、アイドルの踊りとしてもとても新鮮なんじゃないかと思ったんです。アイドルというとパンチラとか大胆な踊りが多いじゃないですか。私はそれを封じたかったんですよ。アフィリアの女の子はそんなことしちゃいけないんです。あくまでも"清楚な乙女"でいてほしいんですよ。……といったことを長々とメールに書いて、志倉さんに送りつけました(笑)」
志倉「桃井さんから話を聞いて、これこそまさに『学院型』だなって思いましたね。サーガにも今後、新しいメンバーが入ってくるわけですよ。新しく入ってきた女の子に踊りの基本を教えるのは、やっぱり先輩であって、振り付けのラッキィ池田さんではない。今回リリースされる『ルミナスの泉』も、2年後、3年後には古い曲になるわけじゃないですか。そのころになって、またラッキィさんが教えてくれるというのはありえない話で、それを教えるのは先輩なんですよ。そうやって伝統が受け継がれていくという姿は、桃井さんのきれいな思い出の中の一部と、たしかに重なる部分があるなって思いました」
桃井「自分たちで自主的に練習して、できなかったことができるようになるという喜びを知ってほしいんですよ。そして、それをお客さんが見て、共感したり、応援したりてほしいっていう思いがあります。普通、アイドルってそうじゃないですよね。振り付けの先生がいて、ユニットといっても個人の延長といった感じですが、アフィリア・サーガはそうではなく、あくまでも『学院型』なんですよ」

――あくまでもユニットとしての「アフィリア・サーガ・イースト」ということですか?

桃井「アフィリア魔法学院という単位があって、そこの後輩たちが『アフィリア・サーガ』なんですよ。それを表現するのに『アフィリール』は最適なんです。お客さんにもぜひマネしてしてほしいなって思ってます」
志倉「それも常々言ってますね」
桃井「お客さんにマネしてもらいたいんですよ。本当に踊りたくなるような踊りなんです。クラシカルな感じで、普通のアイドルの振り付けとは全然ちがうので、ぜひ踊ってみてほしいです」


――Live 5pb.の初ステージからCDデビューまで、メンバーたちは理想的な成長を辿っていると思いますか?

志倉「もっと揉めてくれてもいいのにと思うぐらい、すごく平和に、メンバー同士が協力し合ってますよね。ただ、僕の知らないところでは、泣いちゃったり、ぶつかったりというのもあるようなので、そういう意味では、いろいろドラマがあって成長しているんだなって思っています」
桃井「私が理想的だなって思ったのは、初披露の場がライブだったことですね。CDリリースではなく、ライブが先だったのは、本当に素晴らしいことだと思います。人に歌を聴いてもらうということは、どういうことなのか、それが一番わかるのがライブだと思うんですよ。しかも、横浜BLITZという素晴らしい舞台だったことも、最高に良かったんじゃないかと思っています」