ロイヤルゼリー、プロポリスといった健康食品の製造・販売を行う山田養蜂場はこのほど、吉備国際大学保健科学部の加納良男教授と共同研究を行い、ブラジル産プロポリスとその主成分のアルテピリンCが神経細胞特有の繊維(神経突起)を形成することを発見した。同メカニズムの一部は神経研究の学術誌『Neurochemical Research』に掲載されている。

プロポリスはミツバチが植物の新芽や浸出物と自身の分泌するミツロウを混ぜ合わせて作る粘着性の物質。産地によって有用成分などが異なる。同社によると、ブラジル産プロポリスはアルテピリンCを含有し、抗酸化作用、抗アレルギー作用、抗腫瘍作用を示すことが報告されているという。

研究の結果、プロポリスとアルテピリンCは、培養神経細胞の神経突起を形成する作用を示し、細胞外の情報を核に伝える経路のうち培養神経細胞内のERK経路とp38経路を経由して、発現する可能性が示唆されたという。この結果より同社では、将来的に研究が進めば、認知症や脊髄損傷等による下半身不随といった神経機能障害の治療に役立つ可能性が見出されたとしている。

吉備国際大学の加納教授は「神経突起を形成しにくい特殊な培養神経細胞にも関わらず、プロポリスとその主成分であるアルテピリンCが顕著な神経突起の形成作用を示しているのは、非常に興味深い。また、細胞内には増殖から分化へと切り替える新しいメカニズムが存在する可能性が分かったので、この点について研究を進めていきたい」とコメントしている。