大会審査委員会室から車検場までを見学
体験会は、朝7時から7時半までに時間厳守で集合。朝食も配布され(記者もいただいた)、8時半から説明会が開始された。まずは、FMC会長の鈴木武志氏、副会長の田中有光氏の挨拶。田中副会長の、「今回の体験会に参加したみなさんは同期生です」という言葉が印象的だ。記者も半分体験したので、劣等生(?)だけど一応、同期生に入れてもらえそう。ひととおりの説明が終わると、前半の目玉である、富士スピードウェイのバックステージツアーを兼ねた各セクションの見学となった。
最初は、大会審査委員会室から。コントロールタワー2階にあり、最終コーナーに最も寄った位置にある。2面がガラス張りなので、最終コーナーからメインストレートへ走ってくるマシンが見える部屋だ。委員長1名と委員2名がおり、レースで違反行為などがあった場合のジャッジを行っている。3人いるのは、多数決を取るためだ。
次は、計時委員がタイムを計測している計時室。コントロールタワーの中でも最も1コーナーよりにある部屋だ。この日は、6人で運営。タイム計測はモータースポーツにとって必要不可欠な要素であるため、何台ものパソコンのほか、高性能な機材が多数設置されている。中でも特に高性能な機材の1台が、1万分の1秒単位で撮影可能な特殊ビデオカメラシステム。決勝のゴールが僅差となった場合の判定するため、コントロール/フィニッシュライン上を駆け抜けるマシンを撮影できるというものだ。また、マシンに搭載するトランスポンダの実物も見せてもらえた。トランスポンダは、コントロール/フィニッシュラインを通過する瞬間に電波を発信し、それで通過がわかってタイムが計測される仕組みだ。
次は、ピットビルA棟(1階が幅7メートル×奥行き22メートルのピットスペース34庫、2階には各種施設がある)に移動。最初は、表彰台控え室と表彰台の見学だ。コース上やピットレーンは観客でも歩けるが、表彰台はそうそう上がれない。そんなレアな経験もできてしまうのが、この体験会の特徴である。
次が放送室とオーディオルーム。放送室は、富士スピードウェイのサーキット内の実況を行うセクションだ。表彰式でのBGMなどもここでかけている。何台ものモニターがあるが、それでも現場での観戦に比べたら死角が多いため、アナウンサーは「想像力が重要です」と説明してくれた。そしてオーディオルームだが、こちらはテレビクルーが使う部屋。多面モニターなどがあり面積も広いが、テレビ中継用の機材が入ると、手狭になってしまうそうだ。
そして、メディアセンター。ふた部屋からなり、合計500名の記者やカメラマンが作業に従事できる。F1は世界中から報道陣が集まってくるので、こうした巨大なプレスルームが必要というわけだ。机には、LANケーブルの差し込み口が用意されているほか、無線LANも完備されており、インターネットに完全対応。また、頭上には多数のモニターが備え付けられており、レース中継を見られる。
次はブリーフィングルーム。参加選手やエントラントとのブリーフィングに使われるほか、優勝記者会見なども行なわれる。この日は、富士チャンピオンレースの「AE111クラス」のブリーフィングに参加させてもらい、その様子を見させてもらった。
続いて、ピットビルA棟1階のコース事業部オフィス内のコース管理室。ピットレーンの入口付近、1番ピットの近く(最終コーナー側)にある。ピットレーンはマシンと人が一番接触する危険性の高いところだけに、かなり緊張感のある場所だ。壁には、32面マルチモニターが用意されており、コース各所の確認も可能。また、すぐ横がセーフティカーなどの待機ガレージで、停電時に備えた発電設備がここに用意されている。
再びコントロールタワーに戻り、事務局と競技長室が紹介された。事務局はコースオフィシャルの事務局スタッフが詰める部署。競技長室はもちろん競技長が控える部屋で、反則行為をした選手は呼び出しを受けておしかりを受けるという寸法だ。
そして管制室。ここは、全17ヵ所のポストからの報告を受け、それをまとめ、必要な指示を各ポストに送る場所で、レース運営の中枢だ。違反があれば、大会審査委員会室に上げられる。ここにも32面モニターがあるが、さらに大型モニター2面、その上に4面ずつあり、計42面ものモニターが壁一面を埋めている。無線のバックアップなども対策が練られているということだ。ちなみに、ここにはA1級ライセンスの所持者でないと入れない。
最後は車検場。訪問した時点では作業はなかったが、車体下面をチェックするため、人が降りて作業ができる半地下になった中央の溝などが見て取れた。