集英社コバルト文庫の看板シリーズとして、高い人気を誇る『伯爵と妖精』がTVアニメ化され、10月よりチバテレビほかにて放送される(放送局、放送開始日についての詳細は後述)。そこで今回は、作品の概要を紹介するとともに、第1話のアフレコ後に行われた会見の様子をお伝えしよう。

口説きバトルが展開!? TVアニメ『伯爵と妖精』

谷瑞恵原作の小説はすでに15巻、累計80万部以上に達する『伯爵と妖精』。本作は、19世紀のイギリスが舞台で、主人公である妖精博士(フェアリードクター)のリディアが謎多き青年エドガーと出会い、常に口説き文句を言われ振り回されつつも、謎の組織との争いに巻き込まれていく。まったく別の境遇に生きてきた人間同士が、困難に対して、すれちがったり傷ついたりしながら信頼関係を築き、共に解決を目指していくという、ロマンティック・ファンタジーである。

TVアニメ『伯爵と妖精』ストーリー概要

妖精博士(フェアリードクター)であるリディアは父に会うため、相棒の妖精ニコとともにロンドンへ向かう船の中で、美貌の青年と出会う。彼は伝説の青騎士伯爵、またの名を妖精国伯爵(アール・オブ・イブラゼル)の現当主、エドガー・アシェンバードと名乗り、代々青騎士伯爵家に伝わるメロウの宝剣を手に入れるため、リディアに力を貸してほしいという。巷で噂の強盗犯に似た容貌をしているエドガーと、彼に忠誠を誓い、彼のためなら殺人をも厭わないという従者のレイヴン……。
胡散臭いと怪しむ反面、その立ち振る舞いから「本当の貴族では……」と思わずエドガーの話を信じそうになるお人好しのリディア。その上、ところ構わず甘い言葉で口説くエドガーに、本気ではないと思いながらも、動揺を隠せない。結局、誘拐同然で連れてこられたにも関わらず、リディアはエドガーの申し出を引き受けることになり、それゆえ、彼女も宝剣を狙う者たちとの争いに巻き込まれていく。
次第に明らかになるエドガー達の過去とその正体……。宝剣は誰の手に……。そしてリディアの運命は……。

『ケンコー全裸系水泳部ウミショー』を手がけたそ~とめこういちろうが監督を務めるほか、キャラクターデザインは『Fate/stay night』の藤井まき、アニメーション制作は『家庭教師ヒットマン REBORN』や『蟲師』を手がけたアートランドが担当。脚本・シリーズ構成は、ドラマCD版でも脚本を担当した長尾徳子が務める。主要キャストは、主人公のリディア役を水樹奈々が担当。そのほか、エドガー役に緑川光、レイヴン役に杉田智和、ニコ役に優希比呂、ケルピー役に子安武人といった豪華声優陣が配されており、こちらも注目しておきたいポイントとなる。

■TVアニメ『伯爵と妖精』おもなスタッフ
原作 / 谷瑞恵 (集英社「コバルト文庫」)●監督 / そ~とめこういちろう●キャラクターデザイン / 藤井まき●総作画監督 / 藤井まき、塩川貴史、森前和也●脚本・シリーズ構成 / 長尾徳子●色彩設計 / 西尾梨香●美術監督 / 宮前光春●撮影監督 / 菊池達也●音楽 / 五木田岳彦●音響監督 / たなかかずや●音響効果 / 出雲範子●録音スタジオ / デルファイサウンド●音響制作 / ダックスプロダクション●アニメーション制作 / アートランド
■TVアニメ『伯爵と妖精』おもなキャスト
リディア・カールトン / 水樹奈々●エドガー・J・C・アシェンバート / 緑川光●レイヴン / 杉田智和●ニコ / 優希比呂●ケルピー / 子安武人●ポール / 神谷浩史●アーミン / 大原さやか●ユリシス / 宮野真守

また気になる主題歌だが、オープニングテーマはAciD FLavoRの「FEELING」、エンディングテーマは、エドガー役の緑川光が歌う「My Fairy」となる。

おもな登場キャラクター

■リディア・カールトン (cv.水樹奈々)
妖精の姿が見え、話もできる「妖精博士(フェアリードクター)」の17歳の少女。負けん気が強く物怖じしない性格だが、根っからのお人好し。父親に会うためロンドンに向かう途中でエドガーと出会い、事件に巻き込まれてしまう。エドガーの甘い口説き文句にいつも振り回されている。

■エドガー・J・C・アシェンバート (cv.緑川光)
伝説の「青騎士伯爵」を名乗る。金髪と灰紫(アッシュモーヴ)の瞳をした美貌の青年。自分の身分を証明するメロウの宝剣を探すため、リディアを妖精博士として雇う。本物の貴族にしか見えないがその正体は……。

■レイヴン (cv.杉田智和)
エドガーの従者。漆黒の髪に黒と見間違えそうなほどの深緑色の瞳、褐色の肌を持つ神秘的な雰囲気の少年。武術は相当の腕前でエドガーに対して絶対的な忠誠心を持ち、彼のためには殺人をも厭わない。

■ニコ (cv.優希比呂)
リディアの相棒の妖精。元々はリディアの母の相棒だった。猫の姿をしているが猫扱いされるのを極度に嫌い2本足で歩く。身なりや食事にうるさく紳士を気取っている。リディアのことを気にかけているが、都合が悪くなると姿を隠すことがある。

■ケルピー (cv.子安武人)
リディアの昔なじみの妖精。人の姿をしているときは黒髪の美青年だが、その正体は人間を惑わし、水の底に引きずり込んで食べてしまう獰猛な水棲馬。リディアを気に入っており、ロンドンから帰ってこない彼女を連れ戻しにきた。

■ポール (cv.神谷浩史)
妖精の絵を好む駆け出しの画家。父親をプリンスに殺された過去を持ち、プリンスに敵対する組織「朱い月(スカーレットムーン)」に属する。エドガーの素性を知る唯一の人物。

■アーミン (cv.大原さやか)
エドガーに仕えていたレイヴンの異父妹。エドガーのことを愛していたがプリンスの元から逃亡する途中、死亡した。ユリシスの手によりアザラシ妖精として蘇り、以前と変わらぬ姿でエドガーたちの前に現れる。

■ユリシス (cv.宮野真守)
プリンスに仕える謎の人物。リディアを上回る「妖精博士(フェアリードクター)」の力を持つ。黒妖犬を引き連れエドガーたちの前に立ちふさがる。

第1話アフレコ収録後のキャストコメントを紹介

続いては、第1話のアフレコ収録が終了した後に行われた会見の模様を紹介しよう。会見には、リディア役の水樹奈々のほか、エドガー役の緑川光、ニコ役の優希比呂、レイヴン役の杉田智和のほか、そ~とめこういちろう監督や原作者の谷瑞恵が登場した。

――まずは『伯爵と妖精』で演じる役の紹介をお願いします
優希「ニコは猫です。妖精のネコです。謎です(笑)。ただ、リディアに気軽に突っ込みを入れられるような、そんなネコです」
緑川「エドガーはすごい美形さんで、よくそんなに饒舌にステキな喩えを使いながら口説くことができるなって思います。僕とは真逆ですので、演じていてとても楽しいです」
水樹「リディアはフェアリードクターで、妖精を見ることができ、そして、接触して、いろいろ話もできる女の子です。いつも相棒のニコといっしょで、行動をともにしています。すごく前向きな性格で、とてもお人好しで、困っている人がいるとどうしても放っておけず、つい手を差し伸べてしまって、それがいろんな事件に発展してしまったりします」
杉田「レイヴンはエドガーお付きの美少年です。美少年です……。努力します」

――第1話のアフレコを終えた率直な感想をお願いします
水樹「ドラマCDでは、ずっと続いている伯爵と妖精シリーズの中の、ちょうど間のストーリーをやらせていただいていたので、今回アニメで、物語冒頭のエドガーとの出会いからっていうことで、すごく楽しみにしていました。ドラマCDでできあがった空気を1に戻し、さらにまた絵がつくことで、広がったリディアの感情表現を自分の中でも練り直してがんばって演じていきたいと思っています。すごく絵がキレイで、これからどんな風になっていくのかすごく楽しみです」
緑川「ドラマCDでやってましたけれど、絵がある状態で声を入れるので、若干キャラ作りが変わることもあり、そういった意味では大事な初回なんですけど、全体的に、意外とそれほど難航することなく、スムーズに終えることができてよかったです。まだ、色がすべての絵にはついてないんですけれど、色がついているところを見たかぎりでは、本当にキレイに丁寧に作られているなっていうのが素直な感想でして、全部色がついて、音や声も入って完成したものを、別に自分が仕事をやったからというわけではなく、個人的に興味があるので、早く見たいなと思います。興味があるというのにも関係しているんですけど、ヨーロッパが好きで、今回そこが舞台となっているので、そういった意味でも楽しく演じられるんじゃないかな、と。聞いた話によると、そ~とめ監督は実際に行かれたんですよね。かなりうらやましいと思いつつも(笑)、きっとそれがよく反映されているにちがいないということで、非常に楽しみにしています」
優希「物語は19世紀のお話なんですけど、その雰囲気がとっても絵から伝わってくるなって思いました。ドラマCDでずっとお世話になっていたんですけど、これからは絵のほうとお芝居の共同作業になっていくわけで、それを楽しみにしています。ニコは思った以上にネコっぽかったです(笑)」
杉田「待望の映像化ということで、とても楽しみにしていたんですけど、『伯爵と妖精』という作品に関わってきた中で個人的に絶対に忘れられないのが、過去2回のイベントです。そして1話上映イベントというのが、この先控えています……。努力します」

――そ~とめ監督にお伺いします。ロケもあったということですが、アニメ化が決定したときのご感想や第1話にいたるまでのエピソードなどはありますか?
そ~とめ「19世紀ということで資料がすごい不足していて、とにかくやっぱり行ってみようということで、ロンドンのほうまでロケを兼ねて行って来たんですけど、それが絵作りにもすごくいい経験になりまして、また行けたらいいなって(笑)。第1話はまだ少しだけしか絵がついていない状態なんですけど、どこをどうしていけばいいかというのも大体わかってきて、これからもっとスパイスがいっぱい入ってきて、もっと良くなっていくと思います。声優さんたちがすごくよくやってくれているので、絵のほうも負けないようにスキルアップしていかないと大変だなって思っています」

――谷先生にお伺いします。アフレコ収録に立ち会った感想などはありますか?
「皆さんの演技は前から聴かせていただいていたのですが、アニメになって、絵とピッタリ合ったという感じがすごくして、うれしく見させていただきました。何か、声優さんがしゃべっているというより、本当にキャラクターがしゃべっているというのを強く感じました」

――最後に、TVアニメ『伯爵と妖精』を楽しみにしているファンの方へのメッセージをお願いします
水樹「私も実はこういう中世ヨーロッパの世界が大好きなんです。本当にファンタジックな世界がそこにあって、いつでも夢の世界にトリップできます。みなさん、ぜひ最後までお付き合いいただけるとうれしいです」
緑川「こういうお話なので、どうしても心理描写とかせりフとかが結構多くなってくると思います。やはり当然ですけど、たくさんしゃべれば、それなりに難しいなって思うこともあるのですが、ディレクターの田中さんがとてもわかりやすく演技指導をしてくれるので、こちらとしてもとても気持ちよく、楽しく、まだ第1話ですが演じることができました。きっとこれからもそんな感じでやれるんだろうなって。やはり何だかんだいっても、現場の雰囲気って大事だと思うので、きっといい作品になっていくんじゃないかなと思っております。ぜひぜひ皆さんも期待して観てください」
優希「大人でも忘れちゃいけない夢みたいなものが、このお話の中にはいっぱい入っているような気がします。セリフにもあったんですけど、目に見えないものが見えるとか、聞こえないものが聞こえるっていう、それがリディアなんですけど、そういう忘れちゃいけないものみたいなものがいっぱいいっぱい入っているお話なんじゃないかなって思ってます。だから、大人でも子どもでも、きっとたくさんのいろいろな夢が見られるので、最後まで観てほしいと思います」
杉田「幅広い層に自信を持ってオススメできる作品だと思います。作品へののめり込み具合、世界観への信頼、楽しみ方の深さに応じて、面白さが増すというのが最大の魅力ではないでしょうか。どっぷりとこの世界観に染まってください。よろしくお願いします」
そ~とめ「一応ファンタジーなんですけど、魔法とかアイテム関係のものは出てこなくて、本当に知恵と勇気で、変わり者のリディアが成長していく過程を見ていただければと思います。毎回毎回、各キャラをどのように格好良く見せようかと考えていまして、2話にはアクションシーンもあったりします。ぜひ楽しみに観ていただけたらと思ってますので、よろしくお願いいたします」
「今まで原作を読んでくれた方は、たぶんキャラクターが動くということをすごく楽しみにしてくれていると思うのですが、それは本当に今回、ちょこっと絵がついて、色がついたものを見ても、格好良かったりかわいかったりするので、満足していただけると思います。原作を知らずにアニメを観てくださる方は、基本的に恋愛物と思っていらっしゃるかもしれないんですけど、もちろん恋愛もたくさんありますが、アクションとか謎解きとか、ちょっとしたサスペンスの部分などがあって、ストーリーもすごく楽しんでいただけると思うので、ぜひ観てください」

出演キャストと監督、原作者で記念撮影。原作者の谷瑞恵(前列中央)は、「本当にこんな風にアニメ化されるとは夢にも思ってなかったので、びっくりしつつ、本当にうれしくて思っています」と語った

TVアニメ『伯爵と妖精』放送スケジュール

放送局 放送開始日 放送時間
テレビ愛知 10月9日 (木) 毎週木曜日 26 : 28~
チバテレビ 10月7日 (火) 毎週火曜日 25 : 15~
テレビ神奈川 10月8日 (水) 毎週水曜日 25 : 15~
テレ玉 10月7日 (火) 毎週火曜日 25 : 30~
サンテレビ 10月9日 (木) 毎週木曜日 26 : 10~
KBS京都 10月9日 (木) 毎週木曜日 26 : 00~
AT-X 10月10日 (金) 毎週金曜日 10 : 00/21 : 00 (リピート放送あり)
※各局とも放送予定のスケジュールのため変更になる可能性があります。



(C) 谷 瑞恵/集英社・アシェンバート伯爵家