全商品の紹介が終わったところで、11製品の違いが一目でわかるチャートをお見せしておこう。

おいしいビールをもっとおいしく飲むために

さて、お好みのビールは見つかっただろうか。せっかくのプレミアムビールなので。ここでもう一工夫してさらにおいしく飲んでみよう。

前回の発泡酒のときも「是非グラスに注いで飲んで」と提案した。今回もそう。ただし「お父さんの晩酌」のイメージがある小さいグラスではなく、大きめの、できれば330mlないし350mlの瓶や缶ビールが1本まるまる入る大きさのものを使ってほしい。なぜなら、プレミアムビールの多くがきめ細かい泡までをおいしさの一部と考えて造っているからだ。

そしてさらに、上のチャートの要素にある香り(モルトの香りや比喩的にフルーツの香りなど)、苦味、キレといった要素の中から、アナタ自身が「これぞビールの醍醐味! 」と思える要素を強調させるようなグラスを使うと、一層楽しめる。ということで、私、実際に探してみましたよ、皆さんのために。「高いグラスは買えないよ!」という方もご安心を。私がいったのは100円ショップ。今時の100円ショップはグラスも充実していて、十分に機能を果たすものが見つかる。機会があれば、是非購入してほしい。なんといっても、ビールより安いのだから……。

香りを強調したい時のグラス

こちらのグラスは飲み口がクイッと広がっており、注ぐとモルトの香りがふわっと広がる。「ビールで香り??」と思われるかもしれないが、これが結構楽しいのである。

このグラスに合うソムリエのオススメビール
「エビス<ザ・ブラック>」「プライムタイム」「ザ・プレミアム・無濾過<リッチテイスト>」「エビス」「ザ・プレミアム・モルツ」「ニッポンプレミアム」「エーデルピルス」

ギネスとホワイトビール用のグラス

「ギネス」は、本来は専用グラス(キャンペーンの際、3本買ったらついてくるグラス)が望ましいが、ないなら限りなく近い形の写真のようなグラスを使って欲しい。これでサージングも上手くいく。

ホワイトビールは小麦麦芽の配合が多いため他のビールより泡立ちが豊か。その泡を受け止めるべくグラスの上方が広いほうがいいのだ。ゆえに、「ザ・プレミアム・無濾過<ホワイトビール>」もこのグラスで。さらにこのビールを飲む際、ヨーロッパではごく普通にやっているのだが、レモンを少し絞ってみてもおもしろい。甘さとコクが増す。

このグラスに合うソムリエのオススメビール
「ギネス」「ザ・プレミアム・無濾過<ホワイトビール>」

苦味を旨くしたい時のグラス

スリムで飲み口も広くないもの。飲み口が広くないものは、香りや味が逃げないので雑味を感じさせず、純粋なホップの苦味と風味が楽しめる(飲食店で飲むエーデルピルスや熟撰もこのようなグラスで供されている)。

このグラスに合うソムリエのオススメビール
「ザ・プレミアム・無濾過<リッチテイスト>」「エビス」「ザ・プレミアム・モルツ」「エーデルピルス」「エビス<ザ・ホップ>」「アサヒプレミアム生ビール 熟撰」

「やっぱりキレよね」の時に使うグラス

こちらは上方にいくに従って広がっていくノーマルなデザインのグラス。ただし、前述のように大きめのタイプを選んでもらいたい。もう、ただただ素直に「プファーッ」とやりたいときはこれがよいかと。炭酸も存分に楽しめる。

このグラスに合うソムリエのオススメビール
「キリン ニッポンプレミアム」「エーデルピルス」「エビス<ザ・ホップ>」「アサヒプレミアム生ビール 熟撰」

さすがにプレミアムビール、単にキレだけ、苦味だけというのはなく、ほとんどが要素が重複している。ピッタリなグラスを探すのは難しいかもしれないが、パズルのように色々なグラスを当てはめていくと、「コレだ! 」というベストペアリングが見つかるはず。アレだコレだと悩みながら飲んでいる過程も楽しいんだから。

最後に少し余談を。今回の企画では11種類のプレミアムビールをテイスティングをした。しかしテイスティングの際に私は、同席した編集部のH嬢にも言えないような状態に陥っていた。

「口が苦い……」。

ワインのテイスティングは数々経験し、一度に何十種類というワインを試す機会も多々あった。ビールに比べてアルコール度数が高いためにそのうち疲れてくる、ということは確かにある。だがワインの成分として「苦い」と感じることは少なく(例外はもちろんあるが)、苦さによってテイスティングに支障をきたすということはない。

しかし! 今回のテイスティングでは、香りは感じられるものの、飲みすすめるうちにホップの効力が予想以上で、口中が苦味に占領され、味覚が麻痺してしまったのである。何とか一通りのテイスティングを終えたものの、自分の味覚判断に自信が持てず、後日、今度は1本1本の間隔をおきながら飲みなおしたのであった……。

長々と書いてしまったが、それだけ"純粋"な原料をふんだんに使っている、ということが言いたかったわけである。皆さんも、とことんこだわりぬいた「ビールの上をいくプレミアム」たちを是非ご堪能あれ。

撮影: 中村浩二