メルクセローノはこのほど、全国の25歳~45歳未満の不妊に悩む既婚男女1,015人を対象に不妊治療に関する意識調査を行い、その集計結果を発表した。調査結果からは男女ともに不妊に関して一定の知識を持っていることがうかがえる一方で、男性が原因の不妊に関しては知識や情報が不足しているという実態が明らかになっているという。

日本では一般的に定期的な夫婦生活があるにもかかわらず、1~2年程度経過しても妊娠しない状態を「不妊」としている。調査によるとこうした不妊の基本知識については全体的におおむね正しく理解されているが、男女別に見るとやや男性の正答率が低く、不妊知識が女性に比べて不足していることもわかった。

調査では男性に原因のある不妊が認知されてきたことを踏まえ、「不妊の原因が男性にある割合はどれくらいだと思うか」とも尋ねた。その結果、「20~30%」との答えが最も多く、どちらかと言うと不妊原因を女性側にイメージしている実態が浮き彫りになった。実際には医学的に言って不妊の原因の約半数は男性にあることが報告されている。調査結果は、不妊に悩む夫婦であっても「男性不妊」について正しい知識を持っておらず、その可能性を過小評価していることを示すものとなった。

「不妊カップルのうち、男性に原因があるケースは、全体の何%くらいだと思いますか?」『「不妊について悩んでいる」既婚男女の不妊意識調査』より メルクセローノ調べ

興味深いのは「不妊に悩んでいる男女」を調査対象にしたにもかかわらず、不妊検査を受けていない人が男性の5割以上、女性の4割以上に上ったこと。その理由として男性は「時間不足」や「受診の場所がわからない」と物理的な要因を挙げ、女性は「結果が恐い」といった心理的な要因を最も多く挙げた。主婦らしく「検査費用がかかるから」との答えも男性に比べて多かった。 また、不妊治療に対しては男性の7割、女性の9割が何らかの不安を抱いていると回答した。

「あなたはこれまで、不妊に関する検査を受けたことがありますか?」
「あなたが検査を受けない理由を教えてください。(複数回答:3つまで)」

実際に不妊治療を受けるに際して気になることや不安材料を聞いたところ、男女ともに圧倒的大多数が「費用面」と回答。男性では「信頼できる情報の乏しさ」、女性では「治療における肉体的苦痛」との答えも多かった。

「あなたが不妊治療に対して気になっていることや感じている不安を、教えてください。(複数回答:3つまで)」

「不妊症が治るとしたらいくらまで支払いますか?」との問いには、「10万円以上~50万円未満」との答えが最も多く、「100万円以上~300万円未満」が続いた。金額が大きく分かれたことから、払える金額は世帯や個人の志向に左右されると見られる。平均額は男性「60.9万円」、女性「64.7万円」。

「もしある一定の料金を支払うことにより、不妊症が治るとしたら、あなたはいくらまで支払いますか?」

これらの調査結果について不妊体験者を支援するNPO法人Fineの松本亜樹子理事長は「不妊治療における『経済的・精神的・身体的・時間的負担』を象徴する結果となっており、これらの悩みの普遍性を痛感した。また、女性不妊のみならず男性不妊も含めた検査、治療に対する『正しい情報』の更なる啓発が課題であると感じた」とコメントしている。