――桃井さんを語る上で秋葉原と並んで欠かせないものがインターネットだと思うのですが、そのインターネットを始めるようになったキッカケをうかがえますか?

「そもそもは中学生のときに私、ラジオの番組にすごく投稿してて、結構読んでもらったりしてたんですよ」

――ハガキ職人みたいな……。

「私は主にFAXだったんですけど。『今日のFAXテーマ』とか言われると、もう書く準備してて。それも油性ペンの太いもので。FAXって送るときに薄くなっちゃうじゃないですか。だから読みやすいように書いて。ちゃんと端が切れないように、真ん中に寄せて書くとか」

――そのへんがヲタクですね(笑)。

「読まれると結構素敵な品物とか商品券を送ってもらったりして。その商品券持って、また秋葉原に来るっていう繰り返しだったんですけど(笑)。ラジオで聴いた曲のCDと交換したりして(笑)。そういう循環だったんですけど」

――えらい循環ですね(笑)。

「で、そのラジオのイベントで、局に集まれ、みたいなのがあったんですよ。そのときに、隣になった人と話とかして。並んでるときって、結構話とかするじゃないですか」

――しますね。

「『女の子で来る人、なかなか珍しいよね』とかって。『今、実はパソコン通信てのがあるんだよ』って。『アイドルとか好きだったら、絶対入ったらいいよ』とか」

――それで、すぐ入ったんですか?

「『周りに話が合う人いないから入りたいけど、でも、男の人ばっかりだろうし』」

――まだ、ためらいがあったんですね。

「そのときまだね、私はこう踏み止まってるっていうか、『私は、普通の女の子になりたいんだ』みたいのがあっったんですよ(笑)。『わたしはイケてる女になりたい』っていう」

――無駄な抵抗を……(笑)。

「『違うもん』みたいな。『私はアイドルの曲とか聴いてるけど、洋楽も聴くもん』みたいな(笑)。そういう時期だったから、ここでパソコン通信なんていったら楽しいかもしれないけど、ホントにそっちに行ってしまう、っていうのがあって(笑)」

――(笑)。

「でも1年くらい、当時は電話とかでですよね、話ししてたらすごい楽しそうで。『じゃあ、モデムも貸してあげるよ』って言われて。いらないもの、遅いものを。当時、高かったんですよ、モデム。で、高1ぐらいで。そこで、どんどん"ヲタもだち"ができていったわけですよ」

――その流れで、ホームページも作るようになったわけですか?

「そのころは、まだインターネットが普及し始めの時期で。なぜかマックユーザーばっかりだったんですけど(笑)。なんか、インターネットっていうのがあると言われて。パソコン通信では、白黒の写真データをバイナリで一晩かけてダウンロードしてたのが……」

――そうでしたね。

「もうインターネットはカラーの写真が出てくるし、世界中から見られるんだよ、みたいな。NASAのホームページをなぜか必ず最初に開くんですよ(笑)。で、友人が応援してるアイドルのコラムの集合体みたいなホームページを作っていて、『はるこちゃんのページも作ってあげるよ』って」

――なるほど。

「『やったー』って。最初のころはパソコン通信でその人にメールを送って、ネットに転載してもらってたんですよ。で、そのうち自分でやってみたいってなって、Librettoっていうパソコンを買いまして」

――それまでは、パソコンじゃなかったんですか?

「それまでは、OASYS Pocketっていう携帯&ポケット型ワープロで」

――そこから、インターネットを始めるにあたって、Librettoになったわけですね。

「htmlを自分で書いて。なんか、『できる』みたいな本買って。ザ・コンとかで(笑)。で、今、おでん缶で有名なチチブデンキに、ノートパソコンのポインタとかなくなると、買いに行ったりしてましたね」