3月10日、午前中の雨がやみ薄曇りの天気の中、三四郎池手前の掲示場所には多くの受験生、多数の報道陣関係者、サークル勧誘のビラをまく人などが押し掛け、立錐の余地もないほどごった返していた。合格者は例年通り予定の午後1時よりも早めに掲示され、恒例の運動会応援部によるパフォーマンスやアメフト部による胴上げなどが行われていた。番号を発見し喜びを爆発させる受験生や静かに携帯で友人や家族と連絡を取り合う受験生、さらには派手な祝福に照れる受験生などそのスタイルはさまざま。ただいずれの受験生も満面の笑みをたたえ、一目で合格者と分かる。学生の話では、合格発表当日が1年間のうちもっとも華やかな1日なのだそうだ。

合格発表当日。番号を発見し喜びを爆発させる受験生や静かに携帯で友人や家族と連絡を取り合う受験生、さらには派手な祝福に照れる受験生などそのスタイルはさまざま

そんな合格者を迎えてお祝いし、その努力をねぎらうスペースとして設けられたのが1日限定の「赤門カフェ」だ。このカフェを運営するのは通信教育や模試で有名なZ会。昨年はじめてオープンさせ好評だったことから、今回はより広い喫茶店を借り切っての開催となった。今回はドリンク、オリジナルクッキーの無料サービスのほか、プロカメラマンによる記念撮影と、ビデオによるインタビューなどが企画されたこともあって、多くの受験生が集まっていた。その赤門カフェで合格の喜びに浸る受験生に話を聞いてみた。

愛知県から理科 I 類に合格した受験生は喜びと今後の抱負を次のように語る。「高1のときから東大を目指して勉強してきました。やはり目標は高い方がいいと思ったことと、自分は工学に興味があったのでオープンキャンパスに行き、最先端の研究をしているところを見て、ぜひ行きたいなと思ったからです。小学生の頃から電子工作などが好きでした。工学部に行って、将来は最先端の技術を使った製品の開発をしたいと思っています。」模試はずっとA判定だったが、最後まで油断はできないと思い、努力を続けてきたという。

赤門カフェ。合格した受験生とそれを取材に訪れた報道関係者が多数詰めかけ、ヒーローインタビューさながらの大変な盛り上がりを見せていた

一方、千葉県から共に文科 II 類に合格した2人は同じ学校のクラスメート。「ちゃんと勉強したのは夏ぐらいかな。東大の入試が終ってからなんですけど、私大のどこに振り込もうか相談に行ったら、担任、副担任の先生とも、そんなもの振り込まないで東大落ちたら浪人するように言われました。だから合格できてよかったです。今後はダイエットしたいですね。」「僕はそこそこやりましたよ、でもハンドボールやっていたのでそんなには。受験から解放されたあと、遊びすぎて風邪ひいちゃいました。東大を受験したのはイメージというか、雰囲気ですね」と、いずれもユニークなコメントを残してくれた。

店内ではZ会のロゴマークをバックにビデオによるコメント撮影も行われ、これから東大を目指す後輩に向けたアドバイスとして、「模試の判定は気にせず最後までがんばろう」「自分を信じて勉強してください」など、スポーツ系のコメントに通じるものが多かったのが印象的だった。

Z会の企画担当者は「昨年の赤門カフェはゆったりとくつろぐムードだったのですが、今年は記念撮影などを企画して、積極的にコミュニケーションを取りたいと考えました。ウェブサイトも作ったこともあって、かなりたくさんの受験生においでいただき、ちょっと想定外でした。」と、次々に訪れる受験生に驚きを隠せないようすだった。