「新選組で一番好きな隊士は? 」と問われれば、間伐入れずに「沖田総司」と即答する筆者にとって、天然理心流は憧れの剣術である。天然理心流の第四代宗家は近藤勇、そして他の新選組の幹部(土方歳三・沖田総司・井上源三郎)も東京都新宿区市ヶ谷付近にあった道場「試衛館」にて、天然理心流を修めているからだ。現在は東京・牛久の2道場で稽古が行われているほか、2008年4月からは多摩道場も開かれる予定となっている。

天然理心流とは

読者の方の中には「そもそも天然理心流て何? 」という人も当然いるかと思うので、かいつまんで説明しておくと、天然理心流は剣術を主に居合術、柔術、根法(棒術)、活法、気合術等を含む総合武術である。近江国の近藤内蔵之助が寛政年間(1789~1801)頃に創始したのが始まりで、第四代宗家の近藤勇が京都で新選組を結成したことで知名度を上げる。

心武館に伝わる天然理心流の全ての技を継承している唯一の人物、大塚篤氏

近藤勇の死後は勇の婿養子である近藤勇五郎が継承し、現在は近藤勇の生家である宮川家の子孫、宮川清蔵が象徴的な意味で9代目宗家道統を継いだ。ただし、天然理心流は奥義を宗家の口伝によって伝承するが、前宗家から口伝を受けたのは四代目の近藤勇まで。技術的には東京都あきる野市の「心武館」において、今日まで天然理心流の技が完全な形で引き継がれている。

心武館は天然理心流二代宗家近藤三助の弟子である松崎正作の門弟、井上才市則清が開いた道場であり、現在は井上家の現当主義弟に当たる大塚篤氏が四代目を継いだ。なお大塚氏は、心武館に伝わる天然理心流の全ての技を継承している唯一の人物だ。

現在、天然理心流の門弟は約100名。現在、大塚館長と心武館の高鳥天真塾頭の2人が牛久道場(茨城県牛久市、第1・第3日曜日)と東京道場(東京都新宿区、毎週水曜日)にて指導を行っている。なお、東京道場は2007年8月から始まったばかり。2008年4月からは多摩道場(東京都昭島市)でも毎週土曜日に稽古が開始される予定だという。

高鳥天真塾頭

事前に情報を収集しているうちに1つ困ったことが出てきた。道場の場所についてあいまいな情報しか書かれていないのだ。