石井竜也氏、AIRAに込められた思いを語る
日本鉄鋼連盟会長の馬田一氏による挨拶、記念事業実行委員会委員長の関沢秀哲氏の事業説明の後、イメージキャラクタのお披露目が行われた。名前は「AIRA」(アイラ)。お下げ髪のかわいらしい女の子で、丸い鉄の球を抱えている。AIRAという名前について石井氏は「(鉄の英語である)アイアン(Iron)にちなんで名付けました。女性の姿にした理由は、鉄に優しさや、"あらゆるモノを産み出す母"というイメージがあったからです。丸い鉄を抱いていますが、あれは地球です」と説明した。
「近代製鉄という言葉から、未来っぽいモノもたくさん浮かんだ。でも、いままで鉄をつくるために苦労した人々がいてこその現在であり、未来であるという思いがありました。過去をちゃんと見つめ直すために古風な姿とし、民族衣装風の出で立ちになりました」と石井氏。ちなみに、AIRAの素材は鉄ではなくFRP製とのことだった。
でんじろう先生の実験に助手役の石井君もビックリ!?
石井氏に続いて米村でんじろう先生が登場。白衣のでんじろう先生は、助手に石井氏を指名。石井氏の白衣姿は初公開、本人も「ぜひ着てみたい」とノリノリだった。
でんじろう先生はこの日、鉄を使った2つの実験を披露した。1つ目はスチールタワシを使った着火実験。「キャンプに来ました。飯ごう炊さんをしようとしましたが、マッチやライターを忘れてしまいました。しかし、懐中電灯の中には乾電池があり、調理器具を洗うためのスチールタワシもあります。これで火を付けてみましょう」と提案。
乾電池2本を直列に並べ、スチールタワシを伸ばして電極を結ぶと、なんとスチールタワシが発火!! 「鉄に電気を流すと熱が発生します。細いスチールウールに熱が発生すると、鉄も燃えるんです」とでんじろう先生。
2つ目は鉄で火の延焼を止める実験。大きなビーカーに可燃性ガスを封じ込め、ろうそくに火を付けてビーカーに入れると、ろうそくは激しく燃え出す。ところが、同じくビーカーにガスを入れ、今度はろうそくを鉄の網で囲んでから入れると火は出ない。なぜだろうか。
「実は、鉄の網の中では燃えていたんです。鉄の網は熱を吸収するので、炎は網から外に出ません。ガスが発生した炭坑ではろうそくの炎が原因で爆発することがありますが、この仕組みを応用したランプの登場によって、石炭の大量採掘が可能になったのです」とのこと。火の上に平らな網をのせると、たしかに炎は上に出ない。このような楽しい実験が今後、先に紹介した小学校訪問で行われていくことだろう。
日本の近代製鉄を記念する事業だが、石井竜也氏は地球という単位で鉄を捉え、米村でんじろう先生は未来を担う子供たちに鉄の面白さを伝えていく。日本の鉄の歴史を振り返り、21世紀の鉄鋼を知る。それだけに留まらず、近代製鉄発祥150周年記念事業には、もっと広い視野で地球と未来を考えるという大きなテーマがあるのだと感じた。