ドゥカティ ジャパンは、今年から発売されるスーパーバイク「1098R」の日本仕様を決定した。サーキット仕様と公道仕様が用意され、公道仕様は最高出力が78HPに抑えられるという。価格はどちらも472万5,000円。発売日は4月を予定している。

DUCATI 1098R

ドゥカティ 1098R」は昨秋に開催されたミラノショーで発表されたモデルで、L型2気筒エンジンを搭載するドゥカティ・モーターサイクルの最高峰に位置する。

今回の発表によると、日本向けの1098Rは「サーキット走行仕様」と「公道走行仕様」の2モデルが用意され、サーキット仕様は欧州仕様と同じ180HP(132.4kW)/9,750rpmとなるが、公道走行仕様は78HP(58kW)/5,500rpmになるという。両者の主な違いはCPUで、主に回転数を抑えることで、日本の騒音規制などに対応している。サーキット走行仕様では公道を走行することはできない。

「1098R」はmotoGPのテクノロジーを投入した限りなくレーシングマシンに近いモデル。以下は欧州仕様での解説となる。

エンジンのクランクケースとシリンダヘッドは砂型鋳造製。コネクティングロッドはチタニウム製で、スタンダード「1098」のコンロッドと比較し130gの軽量化を図り、運動マスを低減した。合わせて軽量なカーボンファイバー製タイミングベルトカバー、マグネシウム合金製カムカバーを装備。その結果1098に比較し2.2kg、以前のスーパーバイク「999R」より5.6の軽量化を実現した。

1198.4ccの2気筒エンジンは106×67.9mmのボア・ストロークを持ち、圧縮比は12.8:1。1シリンダーあたり4本のチタニウムバルブは窒化クロム(CrN)コーティングされた。バルブの駆動はロッカーアームを介するが、スタンダード1098に比べ約16%もリフト量をアップさせたカムシャフトを使用する。当然、強制開閉式の「デスモドロミックシステム」も搭載する。ピストンはmotoGPマシン「デスモセディッチ」と同様のデザインを採用し、最小限のピストンスカート面積で高剛性を追究。低フリクション化も実現した。

公道も可能なドゥカティとしては初めてとなる1シリンダー当たり2本のインジェクターを装備する。スロットルボディの断面積は1098と比較して6.5%拡大。直径相当で63.9mmとなった。ユーロ3基準に適合した2-1-2エグゾーストシステムは、超軽量チタニウム/ステンレス製で、マフラーをシート下に配している。トランスミッションのギヤは高強度鋼から削り出されたもの。乾式多板"スリッパー"クラッチを採用し、シフトダウン時の不安定な挙動を減少する。

フレームはドゥカティ伝統のトラス(Truss)フレームで、メインセクションは直径34mm 肉厚1.5mm のALS450パイプで構成され、総重量はわずか9kgに収まっている。フロントサブフレームはマグネシウム製、リアサブフレームはアルミニウム合金製となる。片持ちのスイングアームは1098シリーズとほぼ同じ構成だが、1098Rではブラックに塗装される。

リヤサスペンションはフルアジャスタブルのオーリンズ製TTXRシングルショック。ツインチューブテクノロジーを採用。コンプレッションとリバウンドのダンピングは完全に独立。またリヤ車高もプリロードなどに影響されずアジャスト可能とした。フロントサスペンションもフルアジャスタブルなオーリンズ製。φ43mmのインナーは低摩擦窒化チタニウムコートが施される。

フロントブレーキには、ブレンボ製ラジアルモノブロックキャリパーを採用。通常のボルト結合構造とは異なり、ワンピースの合金インゴットから削り出されたもので、より高い剛性と急制動時の耐変形性に優れ、ブレーキ性能に優れる。ディスクは大径φ330mmをダブルで装備する。ホイールには、マルケジーニ製の鍛造軽量合金Y字スポークホイールを採用した。

また、1098Rにはドゥカティティトラクションコントロールシステム(DTC)を装備する(レースキットECU)。これは8段階でホイールスピンをコントロールするもの。ホイールスピンを検知すると点火進角のアジャスト、もしくは点火カットでエンジン出力を制御し、特に中速コーナーでの加速に効果を発揮する。もっともレベルの高い「8」は、ドゥカティmotoGPのテストライダーであるビットリアーノ・グァレスキがセッティングした。

主な仕様は、全長2,100m×全高1,100mm、軸間距離1,430mm、シート高820mm、乾燥重量165kg、水冷・4ストローク・DOHC L(V)型2気筒エンジン、排気量1198.4cm3(ボア×ストロークφ106×67.9mm)、最高出力※132.4kW(180HP)/9,750rpm、最大トルク※134Nm(13.7kgm)/7,750rpm、、タンク容量15.5L、ホイール前3.50×17 後6.00×17、タイヤサイズ前120/70ZR17 後190/55ZR17。 ※日本向け公道走行仕様は、最高出力58kW(78HP)/5,500rpm、最大トルク100Nm(10.2kgm)/5,500rpm。

DUCATI 1098R

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