ヤマハ、「FZ1」「FZ1 FAZER」を国内向けに発売

ヤマハ発動機は、同社スーパースポーツバイクの「YZF-R1」から継承した1000ccエンジンを搭載するノンカウルモデル「FZ1」、およびセミカウルを装着した「FZ1 FAZER」を、日本市場に向けて2008年2月28日より発売する。価格は「FZ1」が99万7,500円、「FZ1 FAZER」が105万円。

2006年より欧州に導入された「FZ1」「FZ1 FAZER」は、スーパースポーツの高性能を市街地などでも効果的に、心地よく楽しめるモデルとして高い人気を得ている。特にイギリス、フランス、ドイツなど、交通環境の変化が比較的大きな地域では、スーパースポーツよりも広い対応範囲が高く支持されている。一方、国内のスポーツバイク需要(250cc以上)は年間約18万台規模で推移しているが、2005年の高速道路二人乗り解禁などの影響を受け、ビッグバイクと呼ばれる401cc以上の販売が増加傾向にある。この市場変化の中でニーズの多様化も著しく、高いパフォーマンスをより実用的な用途でも楽しみたいという声が聞かれる。

こうした中、今回のモデルは欧州モデルをベースに、"エモーショナル・アーバンスポーツ FZ1"、"エモーショナル・ツーリングスポーツ FZ1 FAZER"をキーワードとし、国内の使用環境に適合させて開発。新時代のビッグバイクとして高性能エンジンを街乗りの実用域から郊外へのツーリング走行まで快適に楽しめるモデルとしている。

エンジンは2004年の輸出仕様「YZF-R1」と基本仕様を共通とする水冷4ストローク・並列4気筒・5バルブエンジン。圧縮比の変更(12.3:1 → 10.5:1)、カムプロフィールの最適化、クランク慣性マス40%アップなどを施し、ワインディングや実用域でのパワフルさとスムーズな扱いやすさを両立させた。併せて優れたドライバビリティと環境性能を両立させるため、サブスロットルバルブ併用のフューエルインジェクション(F.I.)を採用。特に今回のモデルは、エンジン仕様変更に合わせたマッピングの最適化を行ない、実用域でのリニアな応答性を実現した。また、チャンバーレスのエキゾーストパイプにより軽量化を図り、ヘキサゴン設計のショートサイレンサーを採用した。エキパイ内部には酸化触媒を搭載している。

フレームは金型鋳造のオールアルミ製。縦・横・ねじれ方向の最適バランスのため、ピボット周辺やヘッドパイプ廻りのアルミ材の肉厚を段階的に変更。エンジンの懸架は「YZF-R1」やmotoGPマシン「YZR-M1」同様にエンジンを車体強度メンバーとして活用し、優れた縦剛性を確保。高次元でのスポーティなハンドリング、高い旋回性、ブレーキング時の安定性を引き出すポイントとなっている。また、前後重量配分は前:50.2%、後:49.8%と最適化が図られた。

リアスイングアームはヤマハ独自の製造技術「CFアルミダイキャスト」による鋳造品。フロントサスペンションは43mmの倒立式とした。「FZ1」「FZ1 FAZER」独自の方式として、圧側減衰力を左側、伸側減衰力を右側のフォークで発生させる左右独立減衰発生方式を採用。motoGPマシン「YZR-M1」でも実績のあるこのシステムは、減衰力発生用のオイルの流れが常に一方向となることからセッティングが容易になるという特長がある。

フロントブレーキは320mmディスクとキャリパー変形の少ないワンピースキャリパーを採用。リアブレーキは245mmと1ポットピンスライド方式キャリパーの組み合わせ。ホイールは「YZF-R1」と同一の軽量5本スポークタイプを採用した。

メーターパネルは左側にデジタル表示の速度計、右側に指針式アナログタコメータを配置。メーター照明は、バックライト輝度調整機能だけでなく、キーオンでバックライトが少しずつ浮かび上がるフェードイン機能も備える。

FZ1の主な仕様は以下のとおり(カッコ[ ]内はFZ1 FAZER)。全長2,140mm×全幅770mm×全高1,060mm[1,205mm]、軸間距離1,460mm、シート高815mm、乾燥重量199kg[205kg]、水冷・4ストローク・DOHC・4気筒エンジン、排気量998cm3(ボア×ストローク 77.0×53.6mm)、最高出力69kW(94ps)/9,000rpm、最大トルク80Nm(8.2kgm)/7,500rpm、セル式スターター、タンク容量18L、タイヤサイズ:前120/70ZR17M/C(58W)、後190/50ZR17M/C(73W)。