映画『妄想少女オタク系』の内容は、「ごくフツーの高校生男子・阿部隆弘(中山麻聖)が恋をしたのは、全然フツーじゃないヤオイ萌え(腐)女子高生の浅井留美だった! しかも浅井は阿部と彼の親友・千葉俊祐(馬場徹)がデキちゃってると信じて疑わないわ、巨乳腹黒美少女な隠れ腐女子・松井曜子(木口亜矢)も邪魔してくるわで、予想もできない大波乱!? 果たして一般男子とオタク女子の恋は成立するのか? 愛と苦悩と友情とヤオイの青春ストーリー!!」というもの。
――この映画の主人公・浅井留美は「腐女子」という役柄なんですが、「腐女子」だの「やおい」だの「BL(ボーイズラブ)」などについて、ご存知でしたか?
「知ってました。お姉ちゃんの友達に腐女子の子がいて、BL本だとかを見たことはありました。だから、知識はありましたね(笑)」
――BL本をご覧になって、どう思われましたか?
「『すごい』と思いました。こんな世界が……(笑)。あと、『絵、うまいな』とか」
――この役を演じることになって、まず原作本を読まれたんですよね。どんな感想をお持ちになりましたか。
「すごいおもしろかったです。最近、あんまりマンガ読んでなかったなと思って」
――それ以前は、どんなマンガをお読みになってたんですか。
「ちょっと前までは、『魁!! 男塾』がすごい好きで、『北斗の拳』も読んだりして。男くさいのが好きなんですよ」
――少女マンガは、あんまり……。
「『読んでないな』と思って……。そこでこの作品を読んで、『すごいおもしろいな』って。『腐女子なのに、なんでこんなにラブストーリーがあるの?!』とか(笑)。イメージが、やっぱりガラリと変わりました」
――いわゆる「腐女子」については、どういう印象をお持ちですか?
「最近の人は、おしゃれにも気を遣ったり、かわいい人とかも多いし、一見分からないんですよ」
――ご自身にも、共通する要素はあるんでしょうか?
「女の子は、みんな「腐女子」要素は絶対あるんだと思います。やっぱり、綺麗な男の人が2人とか歩いてたら、『あれ、もしかして?』って思ったりする自分がいますね(笑)」
――原作のとおりに浅井留美を演じなきゃいけないという思いはありましたか?
「やっぱり、完璧に浅井留美になりきらないと原作者の方はイヤじゃないですか。ファンの方も映画になったときに『ええっ?!』ってなったら、マンガ自体のほうもどうにかなるんじゃないかと思って、すごい怖かったんですよ」
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――役になりきるにあたって、形から入っていった部分はありましたか?
「そのとき前髪を伸ばしていたんですけれど、『もう絶対切るぞ』と思ったり、近づけるにはどうしたらいいんだろうとは思いました。似てるって言われたいです、やっぱり。見た目が、まず浅井にしか思えないって言われたいんですよ。原作者の紺條夏生先生に『浅井ー』とか言われて、すっごいうれしかったです、そのとき」
――原作の紺條先生とお会いになったんですね。
「もう何度かお会いして、すっごいうれしかったですね。今はメル友です(笑)」
――主人公の浅井留美は前髪下ろして三つ編みで、甲斐さんはあまりしたことのない髪形ですよね。
「全然したことないですね」
――髪形を原作に合わせることで、ご自身のお気持ちはどうなっていきましたか?
「髪形もそうだし、衣装だったり、メイクだったり、メガネもそうだし、その格好になったら『自分は浅井だ』と思ってやたらテンションが上がるんですよ。『まっつん』とか言ったりして。もう現場では、『まっつん』『阿部君』『千葉君』って、ずっと言ってました」
――役名で呼ぶ……。
「なんか役名でしか呼べなくて」
――原作がマンガでよかった点はありますか?
「小説だと分かりにくいところがあるじゃないですか」
――マンガだと具体的な絵があるから……。
「歩き方とか……歩き方も含めて浅井になろうと思いました。っていうか、なりました(笑)。もう浅井だと思いますよ、自分で」
――浅井を演じるに当たって、難しかった点は、どんなところですか。
「やっぱり、いくら自分はBLを知っているとはいっても、浅井は恋したことがないとか、男の子同士が付き合うとかしか考えられない子じゃないですか。そんな浅井が、目の前で阿部君と千葉君がそんな感じになってるのを目撃してしまったときの心境は、すごく難しいなと思いました」
――そのときは、どうされましたか。
「分からなかったので監督に相談したら、親身になって丁寧に教えてくださいました」