――この映画に出演して、監督からは、どんなことを教わりましたか。

「『聴いて話す』ということをいつも言われました」

――「聴いて話す」とは?

「セリフを憶えると、それを言わなくちゃって思うじゃないですか。普段も早口だから早口になったり、芝居ができなくなったりとか。だから監督から、相手のセリフを聴いてそれに対して話すように、ということはいつも言われました。すごい勉強になりましたね、今回の撮影は」

――ほかにはありますか?

「心を動かすとか言ってくださって。そのときに薄っぺらな芝居しかしてなかったのかなって思ったんですよ。『なんだったんだ、今までの私は』みたいな(笑)。これからも気をつけなきゃいけないと思っています」

――この映画への思いをうかがえますか。

「とにかく、ぜひ見ていただきたいです。今までの甲斐麻美を知っている方にもそうでない方にも、見ていただくと『浅井ー!』ってなってもらえると思います。劇場に足を運んでいただいて、見ていただいて、『受けるー』とか言ってもらいたい(笑)。『男の子たち、かっこいいなー』とかでもいいので、主人公の4人の奮闘っぷりを見ていただきたいなと思います」

――原作の連載はまだ続いているんですよね。続編を制作することになったら、それも演じてみたいですか?

「2代目には譲りません(笑)。制服が着られる限り続けます」

――年齢的には、あまり高校生と差はないわけですが、制服を着てみた感想は。

「テンション上がりますね。『わー、着ていいんだ、私』と思って。やっぱり、うれしいです。若くなった感じ。二十歳で何言ってるんだって感じですけど(笑)」

――『妄想少女オタク系』の原作すら読んだことのない方に、この映画のことをどうアピールなさいますか。

「そうですね、腐女子って女バージョンのオタクじゃないですか。その腐女子の女の子が恋ということを知っていって、そのうちに親友もできて。その女の子の心境の変化、心の移り変わりですね。最初は恋なんかしたこともない浅井という子の気持ちが、氷が融けるように変わっていく様子。それを見ていただけると思うので、例えば、恋に億劫になっている人とか。それから阿部君を見て、『オレはもっと勇気出そうかな』とか思ってもらえると思うし、勇気を持ってもらえると思うんです」

――4人の主人公のそれぞれに見どころがあるわけですね。

「そうです。『浅井ってオタクだけど自分の好きな道を貫いていてかっこいいな』とか。『阿部君は、かないそうもない恋にがんばって勇気出して何度もアタックしてるな』とか。『まっつんは、今の自分になるために努力してるんだな』とか。『千葉君は』……何だろ?(笑)。そんなこと言ったら、千葉君役の馬場君に怒られちゃうけど(笑)。千葉君は千葉君なりにがんばってる姿が見られると思うので、見て勇気を出したり、自分の好きなことを一生懸命やったりとか、そういう気持ちになってもらえる映画です!」

――なるほど、大変よくわかりました。どうもありがとうございました。

写真:中村浩二