トークコーナーの第一部は、喜井竜児氏による「コダマレコード/怪獣がいっぱい特集号」。これは怪獣ブームのころ、コダマレコードというレーベルから発売されたソノシート「怪獣がいっぱい特集号/前世紀怪獣大あばれ」とその続編「怪獣がいっぱい特集号/宇宙怪獣大あばれ」を聴こうという企画。
両者はいずれも、オープニングからすでに60年代テイスト炸裂だ。その内容は、人類が宇宙探検に乗り出した時代、数十名の調査隊員たちが乗り込んだ宇宙調査船ノア号の活躍を描いたもの。子どもたちに親しみをもってもらうための配慮であろう、乗組員の中には少年少女もおり、大いに活躍する。
「前世紀怪獣大あばれ」のストーリーは、「地球への帰路についたノア号は偶然にも緑色の惑星を発見し、調査のため着陸する。その惑星はなんと、地球の恐竜時代に似た星だった。上陸した調査隊は、突如恐竜ディプロドクスに襲われる。そこにティラノザウルスも現れ、恐竜同士の闘いが始まった。さらに、空からプテラノドンが飛来し、急降下爆撃を仕掛ける(?)。しかも、マンモス象までやってきた」
「調査隊は、恐竜同士が争っている隙に難を逃れた。見ると、マンモスがプテラノドンを鼻でつかまえて地面に叩きつけ、別のプテラノドンがマンモスの目玉を突き破っている。ティラノザウルスもマンモスに喰らいつく。この光景を見た調査隊の少年は、恐竜たちが共倒れで絶滅しないよう、地球で飼うことを船長に進言する。船長は、おり良く船に備えてあったリモート・テレパシー・コントローラーで恐竜たちの心を操ることに成功。こうして乗組員たちは、前世紀の怪獣を4頭捕まえ、貨物気球に積んで、眠らせながら地球へ持ち帰る」
「地球へは、前もって多摩動物園(!)に恐竜館を作るよう要請することも忘れない。やがて怪獣たちは多摩動物園・前世紀ランドに収容され、来園者は、見学バスで怪獣たちの様子を見て周るようになった。前世紀ランドには檻も掘り割りもないが、新しく開発された電磁波エネルギースクリーンが使われている。これは、目に見えない鉄の壁のようなものだ。ほどなく、前世紀ランドは、日本中で大評判となる。ところがここに、地球を破滅させようと企む恐ろしいオリオン星雲の宇宙人が、なんの複線もなく登場する」
「彼らは、スパイとしてこの動物園に入り込んでいたのだ。動物園の自動発電機を大爆発させるオリオンの宇宙人スパイ。そのため、電気は止まり、スクリーンは壊れ、怪獣たちは逃げ出して大暴れした挙句、オリオン星雲のスパイたちを踏み潰す(笑)。水に誘われた怪獣たちは、奥多摩湖に移動する。マンモスは、観光バスを片っ端から水に放り込み、ディプロドクスは湖に浮いた浮橋をくわえて振り回す。ティラノザウルスとプテラノドンは決闘を始める」
「とうとう、4大巨獣が入り乱れての闘いとなった。このため湖のダムは決壊し、恐竜たちは洪水に押し流されて、東京中が水浸しとなる。マンモスは代々木の屋内競技場、NHK放送センターに衝突してこれらを全壊させ、ティラノザウルスは東京タワーの鉄骨を食いちぎってこれを倒す。さらに、水に流された怪獣たちは、ついに東京湾に入り込んだ。ここでも4大巨獣は決闘し、船舶は次々に転覆し全滅した」
「ノア号の乗組員たちは、宇宙開発センターからやっと届いたリモート・テレパシー・コントローラーを使って恐竜たちをノア号へと誘導した。ノア号は、再び恐竜たちを貨物気球に積んで、眠らせながら前世紀惑星へと戻した。かくして、恐竜たちは、以前のように自由に暮らすことができるようになったのだ。メデタシ、メデタシ」
実際の進行は要所要所で音を止め、出演者が突っ込みを入れる……という形で進められた。これを読んでおわかりのとおり、突っ込みどころ満載のストーリーである。無論、続編の「宇宙怪獣大あばれ」も同様のストーリーであったことは言うまでもない。