毎日コミュニケーションズは7月29日、東京・竹橋のパレスサイドビルにて「リタイアメントセミナー『おもろく生きよう! 』~定年バ・ン・ザ・イ~」を開催した。共催はりそな銀行、協力は大和証券投資信託委託、江崎グリコ。

セミナーは3部構成に分かれ、定年を迎えた人々が心配する老後の資金について、各分野の専門家が講演した。

いちのせかつみ氏が、定年後の生活設計をアドバイス

まず、第1部ではテレビ・ラジオなどで活躍中の生活経済ジャーナリストでファイナンシャルプランナー・いちのせかつみ氏が、定年後に必要な賢いお金の遣い方や楽しい生き方をアドバイス。大阪生まれのいちのせ氏は、関西弁で時折ジョークを交えながら会場を沸かせ、飽きさせないトーク術で熱弁を振るった。

生活経済ジャーナリスト・いちのせかつみ氏

いちのせ氏は、定年したら「自分の24時間時計」を作ることを勧める。「自分の24時間時計」とは、1日において、起床から就寝まで「何時から何時までは、何をする」を細かく記入し、1日の行動を一目で把握できるというもの。この24時間時計を7日分作ると、1週間の行動パターンが予測でき、必要なお金の額がわかってくるというのだ。予測ができれば対策も立てられるわけで、結果、「自分の"定年後に自分のやりたい事"を実現させるためのやりくりが可能になり、自分の理想に近づけることができる」という。そして、いちのせ氏は「周囲がやっているからやろうという意識はダメ。まず、自分がどうしたいのかを自分で考えることが大事」と語る。これはお金の賢い付き合い方にも繋がるという。なるほど、貯金が苦手な30代の筆者にも十分納得がいく話だ。

また、投資のリスクについても、いちのせ氏は「勝ち続けている投資家はいないんです。ただ、負けない投資家というのはいる。皆さんには負けない人になってほしい」と、訴える。「例えば、100円で株を購入したら、『120円になったら売ろう』と考えてはいけません。購入したらまず、『90円になったら売る』というようにリスクを予め判断しておくこと。こうすることで、損をするお金を決めることができますから」といちのせ氏。普段の生活も投資も「自分で考えて判断をすること」が大切なのだ。

いちのせ氏が提唱するお金の賢い付き合い方のポイントは「生活設計資金を3つに分ける」「自分の投資スタイルを確立する」の2つ。

生活設計資金を以下の3つに分ける

○残すお金(葬式費用や相続税、子どもや孫のために残しておかなければならないお金)

○備えるお金(病気やケガ、介護費用並びにマイホームの増改築費用などにそなえておかなければならないお金)

○遣うお金(退職後の生活費はもとより、余暇や健康などのために遣わなければならないお金)

そうした上で、自分の投資スタイルを確立する。そこで、大事なのは

○流行に左右されないこと。自分でしっかり決めて、責任を持つこと

○良い話には裏がある。自分が納得いくまでとことん疑問点を訊くこと

○自分にとって一番良い金融機関はどこなのかを吟味すること

○投機ではなく、投資をすべし。投機はギャンブル。あくまでも投資をすること

○賢くお金を遣うこと

だそうだ。投資というと一般人には、難しいという印象がある中、いちのせ氏のわかりやすい解説に、投資初心者の筆者も大変勉強になる講演だった。そして、人生そのものを教わったような、そんな感覚に襲われたのだった。