Comic Cozzleが目指す形は、あらゆるマンガがそろい、情報も得られ、楽しめるマンガ情報発信基地だ。今は住宅が立ち並ぶ上道駅周辺も「Comic Cozzleを皮切りに、周辺にマンガ関連の各種ショップが立ち並ぶほどになれば」と同氏。
そのためにはまず来客を増やして、店の存在を知らしめることが第一だ。これまでにも韓国の漫画家のサイン会やイラストコンテスト、雑誌への広告掲載など広報活動を行ってきたが、今後もさまざまなイベントを計画しているという。中でも「日本の漫画家を読んでのサイン会は、ぜひやってみたい」と、同氏は意気込んでいた。
十数年後の韓国にマンガは根付くか
韓国と日本のマンガ市場で大きな違いはあるのだろうか。
「マンガの好みに関しては、ほとんどありません。日本での売れ筋は、韓国でも同じように人気です。また思っていたよりは大人もマンガを読みますね」と野田さん。
Comic Cozzleで働き始めるまで、韓国とはまったく無縁だった同氏は、韓国では大人がマンガを読まないだろうと考えていた。実際に現在、Comic Cozzleの主要顧客層は中・高校生などの若者層だ。しかしその一方で、一度に10冊以上をまとめ買いしていく大人や、「こんな本を入れてほしい」といった要望を出してくれるマニア層も、多くはないが確かに存在しているようだ。
ただし、社会の全体的な雰囲気としては、まだ"マンガは子どものもの"という認識が強い、というのが同氏の受けている印象だ。こうした雰囲気をハクサン文化社でも感じているからこそ、マンガを社会にもっと深く根付かせるための拠点としてComic Cozzleがオープンしたのだろう。
「"幼い頃口にした食べ物の味は、大人になっても好きなもの"と社長が言うように、幼い頃にマンガと身近に接して親しんでいれば、大人になってもマンガを好きでい続けられると思います。今の韓国の子どもたちが大人になっても好きでいられるよう、マンガのおもしろさを伝えたい」(同氏)。Comic Cozzleを通してマンガを楽しむ子どもたちが増え、彼らが大人になったらマンガの存在を認め、親しむ土壌が韓国に作られればと願う。
ところで店名の「Comic Cozzle」は「ComicとCoffeeがあって楽しい」という意味を持つ。「zzle」は、韓国語で"楽しい"を意味する"チュルゴプタ"から"チュル(zzle)"の部分を取って、併設のカフェで飲めるCoffeeのCoに組み合わせたものだ。
Comic Cozzleの店内を見渡すと、若者たちがマンガのラインナップを眺めながらおしゃべりをしたり、漫画家のサインを背景に写真を撮ったりして楽しんで帰っていく様子が見られる。マンガを買ってもらうのはもちろんのことだが、それと同じくらいマンガを楽しんでほしいと考えるハクサン文化社の願いが、店の自由な雰囲気にも反映されている。こうして多くのマンガに触れて楽しむ若者たちを見ていると、彼らが大人になる十数年後の韓国には、マンガ文化が根を下しているではないかと思えてくる。
