まとめ

・2026 VLSIシンポジウムのサーキット分野の投稿論文件数は537件
・投稿論文の最多国は中国、採択件数最多は韓国
・日本は13件が採択、トップは東京科学大学の6件

VLSIシンポジウムはもともと、テクノロジー(材料・プロセス・デバイス技術)とサーキット(集積回路設計)の2つのシンポジウムで構成されていたが、最近は技術と回路設計の同時最適化が必要になってきたことを受け1つのシンポジウムに統合された。発表内容によりテクノロジー分野とサーキット分野に分類され、両分野共通のセッションも企画されている。今回より、サーキット分野の投稿・採択状況や注目論文の紹介をしたいと思う。

サーキット分野の投稿は537件、採択率は24%の狭き門

2026 VLSIシンポジウムのサーキット分野への論文投稿件数は573件で採択件数は138件。採択率は24%と、テクノロジー分野同様の狭き門である。投稿件数は2023年までは300件台で推移していたが、2024年以降は半導体研究人口が増加していると見られる中国および韓国からの投稿数が急増し、500件台に跳ね上がっている。また、Late News Paper(一般投稿締切後に投稿された緊急性のある内容の論文)には5件の投稿があったがいずれも採択されなかった。

  • 2026 VLSIシンポジウムのサーキット分野への投稿・採択論文件数、採択率の推移

    図1:2026 VLSIシンポジウムのサーキット分野への投稿・採択論文件数、採択率の推移 (出所:2026 VLSI Symposium委員会、以下すべて)

最多投稿国は中国、最多採択国は韓国

投稿論文数の地域・国別内訳は、中国が173件(香港、マカオを含めると205件)で最多、次いで韓国の126件、北米98件、欧州55件、台湾43件、日本25件と続く。アジアからの投稿論文の割合は72.4%で、特に中国からの投稿が33.5%(香港、マカオを含めると35.8%)、韓国からの投稿が22.0%で、中国と韓国だけで5割を超える規模となっている。

  • VLSIシンポジウムのサーキット分野への地域・国別投稿論文件数の推移

    図2:VLSIシンポジウムのサーキット分野への地域・国別投稿論文件数の推移

また、採択件数の地域・国別内訳は、韓国が37件でトップ。次いで北米の33件、中国28件(香港・マカオの7件含む)、欧州21件、日本13件、台湾6件と続く。

採択率トップは日本の52%

地域・国別で見た場合の投稿件数に対する採択割合(採択率)は、日本が52%でトップ。次いで韓国と欧州が各38%、北米が34%、中国と台湾がともに14%、インドとシンガポールが0%となっている。日本勢の採択率は、例年通り全地域・国の中で最高ではあるものの、投稿論文数の4%、採択論文数の9%という割合で、半導体研究人口の層の薄さが感じられ、日米の学会が主催する国際会議としては寂しいといえる。

  • VLSIシンポジウムにおけるサーキット分野の地域・国別採択論文件数の推移

    図3:VLSIシンポジウムにおけるサーキット分野の地域・国別採択論文件数の推移

プロセッサ関連の投稿が最多の126件も採択率は21%の激戦分野

サーキット分野への投稿論文数の技術領域別内訳を見ると、プロセッサ関連が126件で最多となるが、採択率は21%となり激戦分野となっており、パワー(電力変換・管理)回路が投稿数93件(採択21件)、センサー/イメージ/ディスプレイ回路の60件(採択16件)、データコンバータ55件(採択10件)、バイオメディカル54件(採択18件)と続く。

  • VLSIシンポジウムのサーキット分野への技術領域別投稿論文件数の推移

    図4:VLSIシンポジウムのサーキット分野への技術領域別投稿論文件数の推移

  • 2026 VLSIシンポジウムのサーキット分野に対する技術領域別投稿・採択論文件数

    図5:2026 VLSIシンポジウムのサーキット分野に対する技術領域別投稿・採択論文件数

投稿の約9割が大学からだが採択率は21%、産業界の採択率は43%

サーキット分野への投稿および採択論文の産業界・大学別内訳は、大学からの投稿が502件、産業界からの投稿が71件だが、採択件数は大学107件の採択率21%、産業界43件で採択率43%となっている。

  • VLSIシンポジウムのサーキット分野への大学・産業界別投稿・採択論文件数の推移

    図6:VLSIシンポジウムのサーキット分野への大学・産業界別投稿・採択論文件数の推移

東京科学大学がワイヤレス回路分野で6件の論文を発表

サーキット分野への分野別採択論文の全体と日本の状況を見ると、日本の内訳は、無線通信(ワイヤレス)分野に6件(すべて東京科学大学)、メモリ分野に3件(TSMC Japan2件、キオクシア1件)、データコンバータに1件(東京大学)、パワーマネージメントに1件(東京大学)、センサ/ディスプレイに2件(ソニーと九州大学)の合計13件となる。

  • VLSIシンポジウムのサーキット分野における分野別採択論文件数および日本からの採択件数の推移

    図7:VLSIシンポジウムのサーキット分野における分野別採択論文件数および日本からの採択件数の推移

発表機関(大学・企業)の採択件数ランキングを見ると、トップは、中国南部の特別行政区(元ポルトガルの海外領土)にあるマカオ大学(8件)とSamsung Electronics(サムスン)の8件である。マカオ大学は2025年から急に頭角を現し、あっという間に最多件数を発表するに至った。同大学はマカオ・タイパ地区に本部を置くマカオ唯一の公立大学で、創立は1981年と比較的新しいが、世界大学ランキングで100位台に位置している大学である。3位は、韓国の科学技術振興のための国策大学であるKAISTとと米ミシガン大学の7件、5位は中国の清華大学、東京科学大学、TSMCの6件で、8位はIntel、imec、韓国延世大学の4件、11位にオランダのデルフト工科大学の3件が入ってきている。

日本勢としては、東京科学大学の6件が際立っており、そのすべてが無線通信領域での発表である。毎年、複数件数の論文がコンスタントに採択されている日本勢は同大学だけであることから、ほかの日本勢の奮起を期待したい。

  • 2026 VLSIシンポジウムにおける発表企業・大学採択論文数ランキング

    図8:2026 VLSIシンポジウムにおける発表企業・大学採択論文数ランキング

次回は、ワイヤレス回路、オプティカル回路、データコンバータ分野の注目論文を紹介する予定である。