この半導体ニュースのまとめ
・インフィニオンが205℃連続動作に対応した車載向けSiCパワーモジュールを投入
・既存設計比で最大15%高い出力電流を可能とし、電力密度向上に貢献
・1300V耐圧と高温動作により、EVインバーターの高出力化と冷却簡素化を支援
Infineon Technologies(インフィニオン)は、最大205℃までの連続動作に対応する1300VのSiCモジュール「FS01M9R13A7MA2B 」を同社の「HybridPACK Driveファミリー」に追加したことを発表した。温度上限の引き上げにより、既存のインバーター設計におけるピーク出力と連続出力の向上、ならびに新規設計におけるシステム複雑性および全体コストの低減が可能になるという。
動作温度の上限引き上げで出力向上
一般的な上限の175℃を上回る最大205℃の連続動作対応としたことで、既存設計と比べて最大15%高い出力電流が可能となり、インバーターの電力密度向上が可能となるという。また、同時にモジュールのサイズ、フットプリント、インタフェースを変更せずに導入できるため、既存プラットフォームへのシームレスな組み込みが可能となり、高コストな再設計や開発期間の長期化を伴うことなく性能をアップグレードすることができるようになるという。
冷却システムの簡素化も可能に
さらに、より高い接合部温度に耐えられるようになることで、インバーター側では、従来よりも小型、あるいは簡素な冷却システムでの設計が可能になることから、システムコストの低減、車両重量の削減、それに伴うエネルギー効率の向上にもつながる可能性があるとする。
電気自動車(EV)においては、パワーモジュール単体の効率改善だけでなく、それを取り巻く冷却機構や実装体積まで含めた最適化が性能向上という面で重要となることから、動作温度の引き上げは車両全体の設計自由度にも影響する要素となる。
1300V耐圧で900V超のバッテリーにも対応
今回発表されたSiCモジュールは、HybridPACK Driveファミリーとして初めて1300Vの耐電圧を備えた点も特徴となる。これにより、900Vを超える高電圧バッテリー領域でも、インバーターの性能、効率、堅牢性を高められるとしている。
高電圧化が進むEVプラットフォームでは、電流低減による損失削減や急速充電対応などの観点から、パワーデバイスにもより高い耐圧と信頼性が求められており、1300V対応はその流れに沿ったものといえる。
既存の1200V品にも205℃対応を展開へ
このほか同社では、今回市場投入を果たした同製品を第一弾に据え、HybridPACK Driveファミリーの既存1200V SiCモジュールについても205℃動作対応を順次展開する予定としている。
この方針により、同社は車載向けSiCパワーソリューションのラインアップを高温動作・高耐圧の両面で拡充していくこととなり、将来における用途やプラットフォームのニーズに応じた展開の強化につなげていく構えだ。
