この半導体ニュースのまとめ
・古河電工が情報コンポーネント領域の成長戦略を提示
・AI半導体とデータセンター需要を軸に事業拡大
・材料・光デバイス・冷却で半導体を多層的に支援
古河電気工業(古河電工)は6月4日、エネルギーインフラ領域と情報コンポーネント領域に関する事業説明会を開催。情報コンポーネント領域において「高機能」「差別化」製品を軸とした成長戦略を掲げ、AIおよびデータセンター市場を中心に、半導体分野での成長に向けた取り組む姿勢を示した。
6つの事業部門が集まって構成されている情報コンポーネント領域
同社の情報コンポーネント領域は、「AT・機能樹脂事業部門」、「サーマル・電子部品事業部門」、「メモリーディスク事業部門」、「銅箔事業部門」、「ファイテル製品事業部門」、「光電融合デバイス事業部門」という6つの事業部門が集まって構成されている。
そうした同領域の根底にあるのは、データ量とトラフィックの増大であり、その流れに伴い、半導体市場、ストレージ市場、光部品市場はいずれも中長期的な成長が見込まれ、この構造的な需要増加を前提に事業の成長を期待している。
同社が特徴的なのは、半導体の個別部品ではなく、製造から実装、運用に至る複数レイヤーにまたがって製品を展開している点だ。
先端プロセス向け材料に注力するAT・機能樹脂事業
まず、AT(先端テープ)事業では、HBMなどの先端プロセス向け材料に注力する。ウェハ薄膜化やステルスダイシングといったプロセスの進化に対応し、透明性や剥離性、追従性を最適化したテープ材料を提供することで、半導体製造工程に直接関与するポジションを強化するとしている。
AI半導体の高発熱化への対応を図るサーマル・電子部品事業
次に、サーマル・電子部品領域では、AI半導体の高発熱化に対応した冷却技術の展開を推進する。従来の空冷ヒートシンクに加え、水冷モジュールの開発と量産体制を拡充し、GPUや光モジュール、メモリといった複数デバイスを含めた冷却ソリューションを提供する。2030年度に向けて780億円規模の投資を行い、利益を2025年度比で15倍に拡大する計画を掲げている。
AIサーバで求められる高性能銅箔の提供に注力
さらに、銅箔事業ではAIサーバ向け基板用途で活用されるハイエンド銅箔規格である「HVLP4(第4世代超低粗度銅箔)に注力する。表面の粗度を抑えることで、高周波信号の伝送ロスを軽減した銅箔で、高速通信と低損失が求められるサーバ基板で需要が急拡大しており、生成AIの普及とともに成長の中核となっているとする。
光源需要の増加への対応を推進するファイテル製品事業
このほか、同社の光通信関連製品・ネットワーク機器のブランド「ファイテル」を展開するファイテル製品事業としては、データセンター内外通信向けのレーザデバイスが展開されており、400Gから800G、さらに1.6Tへといった高速化に伴い、DFBレーザやSOAなどの光源に対する需要が急増しており、同社は供給体制の拡張と高出力化で対応するとしている。
データセンターの通信性能向上を支援する光電融合デバイス事業
加えて、光電融合デバイス事業では、変調器やトランシーバといった統合デバイスを開発し、CPO(Co-Packaged Optics)など次世代アーキテクチャへの対応を進める。これは電気配線の限界を補い、データセンターの通信効率を向上させる重要技術として位置付けられる。
半導体の進化を周辺技術から支えることで成長を目指す
古河電工は、材料、実装、熱対策、通信といった複数領域を横断する構造を確立しており、半導体産業において競争の焦点がプロセスの微細化だけでなく「先端パッケージング」「消費電力の低減」「通信速度の向上」などへと広がる中、同社はそれらを支える周辺技術を押さえることで存在感を高めようとしている。
2030年に向けてAIデータセンターを中心に、高性能半導体領域の成長は続くことが期待されている。そうした市場の状況を踏まえた古河電工の今後を見据えた戦略は、半導体そのものを作る企業ではなく、それを成立させるインフラと部材を提供する企業としての役割を明確に示したものといえる。









