半導体エネルギー研究所(SEL)は、耐発火性に優れる民生用リチウムイオン2次電池(LiB)を開発したと5月28日に発表。独自のニッケル添加コバルト酸リチウム(LCNO)を正極に採用したところ、釘刺し試験を行っても発火や破裂が見られなかったという。
スマートフォンなどに搭載されるLiBの正極は、エネルギー密度の高いコバルト酸リチウム(LCO)を使うのが一般的だが、発火リスクの高さが問題とされる。そこで同社はLCOにニッケルとマンガンを微量添加することで、充電中にリチウムイオンが負極へと移動しても結晶構造が崩れないようにした。既存LCOは充放電を何度も繰り返しているうちに電極構造が崩れてしまい、これが発火の原因になっていた。
開発したLCNOは4.6V以上の高電圧充電時において、リチウムイオンが多く抜けてもニッケルやマンガンが支えとなって構造が崩れないのが特徴だという。このため放電時にはリチウムイオンが元の場所に戻ることができ、発火や熱暴走につながるリスクを抑えられる。
LCNO正極電池の試作に使った負極、セパレーター、バインダー、電解液は、「市販されている材料」としている。負極にリチウム金属をつかったコイン型セルで測定した充電電圧は4.58V(セル温度摂氏45度)。充放電レートは充電0.5C、放電1.0Cである。
想定するアプリケーションはスマホやタブレットなどのモバイル機器であり、市販LCO同等のコストで量産可能と考えている。事業化にあたって量産メーカーとやりとりをしているところだ。昨今LiB火災事故が多発しているだけに、できるだけ早い時期に量産化をめざす。
なお関連する技術の詳細は6月1日、同社瀬尾哲史社長が米国カリフォルニア州サンディエゴで開催される「GFMAT-3」の基調講演で発表予定。



