H3ロケット6号機の打ち上げや記者会見については、すでにお伝えした通りだ。今回の現地レポートの最終回では、記者会見後に行われたグループインタビューの内容や、観光関連の情報など、書き切れなかった内容をまとめてお届けしたい。現地の楽しい雰囲気なども伝われば幸いだ。
有人ロケットにつながるピースとなるか
H3ロケット6号機で実証した30形態には、「固体ロケットブースタがなくて安い」という以上の意味がある。見方を変えると、日本は初めて、液体エンジンのみの基幹ロケットを手に入れたことになるのだ。これは、有人ロケットへの第一歩にもなり得る。
【動画】現地ではアップロードできなかった360度動画も公開。固体ロケットブースタの噴煙がないと、どこを飛んでいるのかさっぱり分からないが、上空の雲には航跡の影のようなものが見えた(JAXAの指定により下側と後方にはボカシを入れています)
固体ロケットは、飛行中に何か異常が起きても、一度点火したら最後、途中で止めることはできないが、一方、液体エンジンは、バルブを絞れば燃焼はストップする。さらにH3のメインエンジン「LE-9」は、「エキスパンダーブリード」と呼ばれるサイクルを採用。これは副燃焼室を持たず、異常時にも爆発しにくいとされる。
有人ロケットには、無人ロケットよりもはるかに高い安全性が求められる。30形態がそのまま有人打ち上げに使えるというわけではないものの、有人仕様に発展可能なロケットが完成したという事実は大きい。
日本はこれまで、有人宇宙輸送を他国に依存してきた。現時点で、独自の有人ロケット開発の計画があるわけではないのだが、現在、「次の有人活動は月面」という世界的な流れの中で、有人輸送の重要性は増しつつある。
しかし、打ち上げ後の記者会見では、有人輸送の構想について問われた内閣府宇宙開発戦略推進事務局の西野聰参事官が、「立法府・行政府の中で関心が若干高まっていると認識している」としつつも、「今の段階では何か“これ”というものはない。今後の検討課題のひとつだと思っている」と、述べるにとどめた。
幻の"20形態"とは
今回の打ち上げで、30形態、22形態、24形態というH3ロケットのラインナップが出揃ったが、記者会見後のグループインタビューで、JAXAの有田誠H3プロジェクトマネージャは、「当初は20形態、22形態、24形態を考えていた」と明かす。これならLE-9エンジンは全形態で共通して2基で、ラインナップとしてはよりシンプルだ。
LE-9エンジンの推力は150トン。開発当初から推力150トンはイメージとしてあり、「合計300トンあれば、そこそこのことはできる」ということで概念設計を進めていたが、さらに進めると「300トンでは足りなかった。1基あたり180トンくらいの推力が必要になる」ことが分かったという。
ただ、液体水素と液体酸素のエンジンは、ただでさえ大きくなる。製造設備等の制約で、推力はやはり150トンくらいが限界と見えてきた。それでも、「液体エンジンのみで飛ばすことがH3の神髄」というこだわりもあり、その結果、エンジンを増やした30形態を実現することになったそうだ。
炎はなぜ赤っぽく見えたのか
30形態の初打ち上げでは、その“見え方”にも注目が集まった。事前の説明会において、有田プロマネは「透明な炎になると思う」とした一方で、「ただ、田代試験場で燃やしたら、意外とオレンジっぽかった。大空を背景にしたとき、炎はまったく見えないかもしれないし、オレンジがかって見えるかもしれない」とも述べていた。
実際、今回の打ち上げでは、エンジン近くではほぼ透明だった炎が、すぐ赤っぽくなっている様子が見られた。有田プロマネによれば、この色はノズル内面のフィルム冷却で使っている水素によるものではないか、ということだ。
30形態と同じく、液体水素と液体酸素のエンジンのみで飛行したロケットとしては、米国のデルタIVがあったが、これとの比較については、「同じ液酸/液水のエンジンでも、アブレーション冷却のRS-68エンジンとは、炎の見え方がちょっと違った。H3ならではの光景を皆さんに見せられたかなと思う」とした。
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ちなみに、現地レポート1本目で紹介した筆者開発のロケットCGメーカーだが、30形態のフライト結果を受け、炎の見え方を修正しました
宇宙センターの中で登山?
種子島は高い山もなく、全体的に平坦なイメージなのだが、それなりの起伏はある。じつは種子島宇宙センターにも、宇宙科学技術館のすぐ横に「カーモリの峯」という小山があって、プチ登山を楽しむことができるのだ。筆者は今まで、なぜか行ったことがなかったので、打ち上げ延期で空いた時間に、足を運んでみた。
入り口は、宇宙科学技術館のすぐ前にある。そこに立っていた看板によれば、標高は75mくらいとのことなので、それほど体力は使わない。筆者は、途中で写真を撮りまくっていても10分ほどで頂上に到着したので、正味の登山時間は5〜6分くらいではなかろうか。ただ、途中に滑りやすい場所もあったので、サンダルなどは避けたほうが無難だ。
頂上には展望台があって、射点から門倉岬までの景色を一望することができる。種子島宇宙センター内をこのアングルで見たことはなかったので、ちょっと新鮮だった。
ロケットと花火の打ち上げをまとめて見るチャンス
ロケットの打ち上げを見に行くときの楽しみのひとつは、オリジナルグッズなどのお買い物。今回、宇宙科学技術館の売店に行ってみると、H3ロケット6号機のTシャツがあったので、筆者はこれを購入した。6号機のグッズはこのほか、マグカップ、タンブラー、マフラータオル、ステッカー、ピンバッジなども用意され、充実していた。
ところで、H3ロケットの次の打ち上げ日程が早くも発表された。搭載するのは準天頂衛星システム「みちびき7号機」で、日時は8月7日(金)の早朝だ。射場がある南種子町ではちょうどその2日後、9日(日)に「ロケット祭」が開催される予定。夜には花火大会もあるそうなので、打ち上げ見学の計画に組み込んでみてはいかがだろうか。
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半年前に報道公開されていた「みちびき7号機」。種子島で打ち上げ再開を待っていた













