この宇宙・航空ニュースのまとめ
- 小惑星探査機「はやぶさ2」による小惑星「トリフネ」フライバイ探査は、太陽系天体フライバイ探査における最小距離を更新
- 世界初の小惑星フライバイ時のレーザ測距にも成功、「日本のプラネタリーディフェンスにとって大きな前進」
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」によって7月5日に行われた小惑星「トリフネ」のフライバイ探査に関して、ふたつの新情報を発表。ほぼ目標時間通りに、トリフネの中心から約744mの地点(表面からは約400m)を通過させることに成功しており、これは過去の同様の探査と比べて最も天体に近づいたことになるという。
さらに世界で初めて、レーザ高度計「LIDAR」による小惑星フライバイ時のレーザ測距に成功したことも合わせて発表。はやぶさ2からトリフネに照射したレーザパルスが反射して戻ってくるまでの時間を計測して、対象までの距離を高精度に測定できており、今回は2回、約20kmと15kmの地点から測距することに成功したという。
レーザ測距には、太陽光の当たる場所だけでなく、影になって見えない場所に照射してもデータが得られるというメリットがある。将来的には、高性能なレーザ照射装置を用いることで、日照条件の悪いフライバイ軌道しか取れない場合でも探査機を正確に誘導し、天体の大きさや形状、運動といったさまざまな情報が得られると考えられている。
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トリフネフライバイにおける探査機とトリフネの位置と観測姿勢の関係をあらわしたイメージ。はやぶさ2は毎秒約5kmという速度で、トリフネの中心から約744mの位置まで接近し、そのまま通り過ぎた(表面からの最小距離は約400m)。LIDARは、最接近の4分前から1分後まで1秒に1回レーザを照射。予定通りの軌道と姿勢であれば、距離が20km前後、最接近の約4秒前から2秒に満たない時間帯のみ、レーザがトリフネに当たることになる(赤線) (C)JAXA 出所:JAXAニュースリリース
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レーザの照射領域を表したイメージ。測距に成功したときのレーザ照射領域(赤)と、測距できなかったときの照射領域(青)をトリフネの画像に重ねている。右上から左下に向かって時間が進み、はやぶさ2がトリフネに近づいたことで照射面積は小さくなっていっている。この解析に必要な、機器間での精密な時刻合わせが現在進められており、今後改訂される可能性がある (C)JAXA 出所:JAXAニュースリリース
こうした成果は、探査機の軌道や姿勢を高精度に制御するため、各社の技術を結集して運用することで得られたものであり、JAXAでは「探査機を小さな小惑星に衝突させる制御技術を実証したといえる。日本のプラネタリーディフェンスにとって大きな前進だ」とアピールしている。
なお、今回フライバイ探査を行ったトリフネの大きさについては、長軸が約840m、短軸が約340mで、平均直径は540mと推定しており、測距時にレーザがトリフネ表面のどこに当たっていたのかについては、詳細な解析を進めているとのこと。

