この半導体ニュースのまとめ
・Yole Groupは、パワーSiCデバイス市場が2031年に110億ドル規模へ拡大すると予測
・800V EV、再エネ、蓄電、急速充電に加え、AIデータセンター向け電源需要が拡大
・供給面では200mmウェハへの移行と垂直統合が進み、SiC市場が新たな成長局面に突入
AIデータセンターがパワーSiCの新たな成長源に
仏Yole Groupは、材料やウェハ、デバイス、アプリケーション、サプライチェーン、技術開発までを俯瞰したSiCに関する年次レポート「Power SiC 2026 – Markets and Applications」を公表した。同レポートでは、AIデータセンターの電力需要拡大とクルマの電動化を背景に、パワー半導体であるSiCが次世代の電力変換を支える中核技術になりつつあると分析している。
2031年に110億ドル市場へ、800V EVが車載需要を押し上げる
Yole Groupによると、パワーSiCデバイス市場は2025年の37億ドルから2031年には110億ドルへ拡大し、2025~2031年の年平均成長率は約20%を見込む。成長を支えるのは電気自動車(EV)、再生可能エネルギー、蓄電池、EV充電、鉄道に加え、AIデータセンター向け電源需要の立ち上がりだ。中でも自動車分野は依然として最大市場で、2024~2025年にEV需要が一時減速した後も、800V BEVの普及拡大が新たな成長をけん引するとみる。2031年には高電圧プラットフォームがBEV市場の過半に広がり、車載がSiCにおける収益の最大源であり続ける見通しだ。
非車載分野でも採用は広がる。急速充電器では高効率と小型化の両立が求められ、SiCは高出力充電ネットワーク拡大の基盤技術として位置付けられる。太陽光発電インバータや蓄電池システムでも、系統連系の効率向上と信頼性確保の観点から利用が進む。一方、風力ではコストと信頼性の兼ね合いから導入は比較的緩やかだ。さらにAIデータセンターでは、電源装置の出力が3kWを大きく超え、48/54Vラック給電から三相サイドカーHVDC、最終的には800VDC/±400Vへ移行する流れが、AIファクトリー向け電源構成の鍵になるとみる。SiCは高電圧・高効率動作で優位にあり、PSUやBBU、将来のソリッドステートトランスでも採用余地が広がるという。
200mm移行と垂直統合が供給網再編の焦点に
供給面では、垂直統合が依然として主流で、主要IDMは社内ウェハ能力の強化や長期供給確保を進めている。同時に、材料メーカーの一部はエピ工程へ進出し、SiCエコシステムの裾野も広がっている。大きな転換点となるのが200mmウェハへの移行で、Yoleはこれがコスト競争力と量産性を高める重要施策になるとみる。世界では300億ドル超の投資が進み、中国がウェハからデバイスまで存在感を強める一方、欧米でも主要各社が200mm量産体制を拡張している。技術面では、6インチから8インチへの移行と並行して、薄ウェハ化やレーザースライスなど加工技術の改善も進む。300mm化に向けた初期開発や、高耐圧向けのスーパージャンクションSiC MOSFET、10kV級製品の開発も前進しており、SiC市場は自動車中心からAI・エネルギー分野へ裾野を広げながら、新たな成長局面に入りつつある。


