この半導体ニュースのまとめ
・SKが半導体用シリコンウェハメーカーSK Siltronの株式持ち分70.6%を斗山に売却へ
・売却額は約2兆3000億ウォンで、業績や品質認証、資産処分に応じた追加支払い条項も設定
・SKはAI関連など成長分野へ集中し、斗山はウェハ事業取得で半導体バリューチェーンを強化
韓国SKグループの持ち株会社であるSKは7月31日、半導体用シリコンウェハメーカーSK Siltronの株式持ち分70.6%を、韓国の重工業・建設機械大手グループDoosan(斗山)に売却する株式売買契約を締結することを決定したと発表した。売却額は約2兆3000億ウォンとされるが、今後の業績などに応じて追加代金が発生する可能性がある。
SK Siltronは1983年にLG Siltronとして設立された半導体用シリコンウェハメーカーで、2017年にSKグループ入りして現在の社名となった。シリコンウェハを中心に事業を展開し、SK hynixをはじめ、Samsung Electronics、Intel、キオクシアなどを顧客に持つ。2025年売上高は2兆575億ウォン、営業利益は1931億ウォンで、売上高の8割超は長期供給契約によるものとされる。
ウェハは非中核事業に位置づけ
SKグループは近年、AIを中心とした事業再編を進めており、シリコンウェハ事業は非中核事業と位置付けられてきた。SKは2025年12月に斗山を優先交渉対象者に選定していたが、AI需要で半導体産業が拡大する中、ウェハ事業を手放すことへの疑問も出ていたため、交渉は一時中断され、最終的に取締役会で判断されることとなっていた。
追加支払い代金に関する条項を記載
今回の契約では、基本売却額に加え、将来の業績や資産処分に応じて追加代金を支払う「アーンアウト」条項が盛り込まれた。2027年から2034年までの8年間、SK Siltronの年度別EBITDAが契約上の基準を上回った場合、超過分の40%に持分比率を乗じた額をSKが受け取る。また、2026年から2029年上半期までに特定顧客向け4品目の品質認証を取得した場合、1品目当たり250億ウォンに持分比率を適用した金額が追加で支払われる。さらに、清算予定の米国子会社などの資産を帳簿価格より高く処分した場合も、差益に応じた追加支払いが発生する。
新工場の稼働で成長期待も米国SiC子会社は清算へ
SK Siltronは亀尾の本社工場に隣接して300mmバルクおよびエピタキシャルウェハの新ラインを整備しており、稼働が本格化すれば成長余地は大きい。一方、2020年に米DuPontから買収したSiCウェハ事業については、EV向け需要の減速と供給過剰により業績が悪化し、米国子会社SK Siltron CSSの清算手続きが進められている。
買い手となる斗山は、半導体テストを手掛けるDoosan Tesnaや、銅張積層板(CCL)事業を持つDoosan Electronics Business Groupを通じて半導体関連事業を拡大してきた。今回SK Siltronを傘下に収めることで、テスト、材料、ウェハを含む半導体バリューチェーンを強化し、2031年までにシリコンウェハ売上高3兆ウォンを目指す方針である。
SKグループ会長持ち分は別途協議
なお、SKグループ会長の崔泰源氏が個人で保有するSK Siltron株式29.4%については、今回のSK保有分の売却完了後に別途協議される。韓国では同氏の離婚に伴う財産分与問題との関連を指摘する見方もあるが、今回の発表では、SKは売却目的について財務健全性の強化と将来成長投資に向けた資金確保と説明している。AI需要の拡大で半導体材料の重要性が高まる中、SKの選択は事業集中を優先する動きであり、斗山にとっては半導体材料事業へ本格参入する転機となる。

