この半導体ニュースのまとめ

・ニコンがアライメントステーション「Litho Booster 1000」を2027年1月に発売
・従来機種比で計測精度を約35%、スループットを約10%向上し、ウェハ全面の高精度計測に対応
・3D構造やWafer to Waferボンディング工程で生じるウェハ歪みの把握と重ね合わせ補正に貢献

露光前のウェハ全面を計測するアライメントステーション

ニコンは7月29日、2025年末に開発していることを明らかにしていたアライメントステーション「Litho Booster 1000」を2027年1月に発売することを発表した。

アライメントステーションは、ニコン製または他社製の半導体露光装置に併設し、露光プロセス前のウェハ全面を計測する装置。ウェハ上の歪みやずれを事前に把握し、その補正値を露光装置へフィードフォワードすることで、露光工程における高精度な重ね合わせ補正に寄与する。

  • アライメントステーション「Litho Booster 1000」

    アライメントステーション「Litho Booster 1000」 (出所:ニコン)

同社は2018年よりアライメントステーションを市場投入してきており、Litho Booster 1000では従来機種比で計測精度を約35%、スループットを約10%向上させたという。

3D構造化でウェハ歪みの把握ニーズが拡大

開発の背景には、半導体デバイスが垂直方向の空間を活用する3D構造へと進化してきたことが挙げられる。CMOSイメージセンサによる2層/3層化をはじめ、NANDの多層化、そしてロジックでも多層化が進みつつあり、DRAMもプロセスの微細化の限界が見えてきており、3D DRAMの実用化が期待されるようになってきた。

しかし、そうした3D構造では、複数の層やウェハを高精度に重ね合わせる必要がある。一方で、露光工程やWafer to Waferボンディング工程では、ウェハに歪みやずれが生じやすくなる。特にウェハ同士を貼り合わせた後に重ね露光を行う場合、歪んだウェハの状態をナノレベルの精度で把握し、露光時に補正することが高い歩留まりを実現するためには重要となる。

  • ウェハ歪み補正フローのイメージ

    Wafer to Waferボンディング工程におけるウェハ歪み補正フローのイメージ (出所:ニコン)

Litho Booster 1000は、こうした工程で発生するウェハ歪みやずれを詳細に計測し、露光装置側での補正に活用できるようにすることで、歩留まり改善を支援するソリューションとなる。

計測精度を約35%向上

Litho Booster 1000では、ウェハホルダの構造を見直し、ウェハを吸着する際に発生する誤差を低減。これにより、アライメント計測精度は従来機種比で約35%向上したという。多層構造の露光工程やWafer to Waferボンディング工程では、わずかな位置ずれがデバイス性能や歩留まりに影響するため、ウェハ全面を高精度に計測できることは重要な意味を持つ。

光源強化で多様なプロセス条件に対応

また計測機構の光源も強化したことで、アライメントマークや重ね合わせマークを従来よりも検出しやすくしたとしている。

これにより、多様なプロセス条件に対応できるようになり、安定的な計測が可能になるため、歩留まりの高いプロセスを実現できるようになるとしている。

スループットを約10%向上、反りの大きなウェハにも対応

さらに搬送機構の改良により、搬送速度を向上。計測精度を向上させつつ、スループットも従来機種比で約10%向上させた。

加えて、露光やボンディング工程では、不均一な応力によってウェハに反りが発生しやすいが、Litho Booster 1000では、従来よりも大きな反りを持つウェハの搬送にも対応できるようにしたとのことで、この改良により、ウェハ全面を多点計測しながらも高い生産性を維持できるようになったとする。

複雑化する半導体製造において重要度が増すアライメント計測

半導体構造の3D化に伴い、露光工程では露光装置そのものの解像性能だけでなく、ウェハ歪み、重ね合わせ誤差、工程間の補正なども高精度に制御することが求められることとなる。その一方で、ウェハやチップの貼り合わせ、薄化、接合、再配線などの工程の複雑化も進んでおり、計測と補正を組み合わせたプロセス制御の重要性が増している。

Litho Booster 1000をはじめとするアライメント計測装置は他社も提供しているが、そうした露光装置の前段でウェハ状態を把握し、露光装置側の補正に活用する装置の存在は、複雑かつ3D化が進む今後の半導体製造におけるウェハの重ね合わせ精度向上を支える役割を担う存在として重視されていくものと思われる。