この半導体ニュースのまとめ

・Arasが半導体設計・製造企業向けPLMソリューション「Industry Accelerator」を発表
・ステージゲート型プログラム管理、IP管理、製造プロセス管理支援の3つのアプリケーションを提供
・設計、製造、サプライヤ、コンプライアンス、変更管理の情報をつなぎ、AI活用に向けたデジタルスレッド基盤を構築

半導体向けPLMソリューション「Industry Accelerator」を発表

Arasは、半導体の設計・製造企業におけるPLM(Product Lifecycle Management)戦略を支援する新ソリューション「Industry Accelerator」を発表した。

同ソリューションは、同社のPLMプラットフォーム「Aras Innovator」を基盤に、半導体業界で共通する業務プロセスに対応した事前設定済みアプリケーション群として提供されるもの。半導体製品の設計、製造、サプライヤ、品質、コンプライアンス、変更管理といった情報をつなぎ、製品ライフサイクル全体にわたるコネクテッドデジタルスレッドの構築を支援する。

半導体業界では、チップ単体の設計だけでなく、パッケージ、システム、製造工程、サプライチェーン、輸出管理、品質保証などを含めたライフサイクル管理の複雑化が進んでいる。Arasは、Industry Acceleratorにより、こうした複雑性に対応しつつ、設計・製造企業がより十分な情報に基づいて意思決定できる環境を提供する考えだ。

3つの半導体特化型アプリケーションを提供

Industry Acceleratorは、半導体業界向けに3つのアプリケーションを提供する。各アプリケーションは単体でも、組み合わせても導入できる。

1つ目は「ステージゲートプログラム・ポートフォリオ管理」。プログラムのマイルストーンを、製品、製造、サプライヤ、品質、コンプライアンスに関する情報と連携させることで、データに基づくライフサイクル上の意思決定を可能にする。

2つ目は「IP管理」。半導体IPを、製品、ライセンス、輸出管理、設計変更と関連付けて管理し、トレーサビリティを確保する。これにより、半導体IPを単なる設計資産ではなく、適切に管理された再利用可能な資産として活用できるようにする。

3つ目は「製造プロセスおよび製造関連情報の管理」。製品情報に加え、プロセス計画、製造関連情報、作業指示書、検証・認定のエビデンス、製造準備状況などを統合管理し、デジタルスレッドを製造領域まで拡張する。

IP再利用や製造準備状況の可視化を支援

半導体開発では、設計資産の再利用、IPライセンス管理、輸出管理、設計変更の影響把握などデータ管理が重要になる。特に、多数のIPを組み合わせてSoCやチップレット、システムを開発する場合、どのIPがどの製品に使われ、どのライセンス条件や規制に関係しているかを把握することが求められる。

Industry AcceleratorのIP管理機能は、こうした情報をPLMの文脈で管理し、設計変更や製品展開時の影響把握を支援することを目指しており、IPの再利用を進めながら、品質やコンプライアンスのリスクを抑えることが狙いとなる。

また、製造プロセス管理では、製品設計情報と製造プロセス、作業指示、検証結果、認定エビデンスをつなぎ、製造準備状況を可視化することで、設計変更が後工程や量産準備、サプライヤ対応に影響を与える影響などを早期に把握することを可能にする。

AI主導エンジニアリングのデータ基盤に

Arasは、企業がエンジニアリング・ワークフローの加速に向けてAI導入を進める中で、製品情報を強固なデジタルスレッドの枠組みのもとで連携させ、適切に管理することの重要性が高まっていると説明する。

AIを設計や製造、品質管理に活用するためには、単にAIモデルを導入するだけでなく、AIが参照するデータの信頼性、構造化、権限管理、履歴管理が必要となる。Industry Acceleratorは、エンジニアリング、製造、サプライヤ、コンプライアンス、変更管理を含むライフサイクル関連情報を統合し、半導体製造業界におけるAI主導のエンジニアリングを支援するデータ基盤を提供する。

生成AIやエージェンティックAIの活用が製造業にも広がる中、AIがどの設計データや品質情報を参照し、どの変更判断に関与したのかを追跡できることは重要になる。PLMを起点とするデジタルスレッドは、AI活用における信頼性とガバナンスの基盤にもなる。

チップからシステムまでの意思決定を支援

ArasのCEOであるレオン・ローリセン氏は、半導体業界が驚異的なスピードで進化しており、IPの再利用、設計、製造に関する意思決定が長期にわたってビジネス成長に影響を及ぼすと説明する。

同氏は、Industry Acceleratorについて、業界特有の課題に対処するというArasのアプローチを反映したものだと説明しているほか、半導体関連企業の製品ライフサイクル情報を相互に連携させることで、チップからシステムまでのライフサイクル全体を通じて、より的確な意思決定を可能にするとしている。