この半導体ニュースのまとめ
・キオクシアの2027年3月期第1四半期は売上収益1兆7671億円、営業利益1兆2700億円
・AIサーバ向け需要を背景にSSD & ストレージが1兆1747億円へ拡大、販売単価も大幅に上昇
・第2四半期は売上収益2兆3900億円を見込み、株式分割と上限8000億円の自社株買いも発表
売上収益は1兆7671億円、営業利益は1兆2700億円
キオクシアホールディングスは7月31日、2027年3月期第1四半期の連結決算を発表した。
2027年3月期第1四半期(2026年4月1日~6月30日)の売上収益は1兆7671億円で、前年同期の3428億円から1兆4243億円増加した。前四半期比でも7643億円増加しており、売上収益は約1.8倍に拡大した。
営業利益は1兆2700億円となり、前年同期の449億円から1兆2251億円改善した。税引前四半期利益は1兆2347億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は8422億円となった。
また、Non-GAAPベースでは、営業利益が1兆3262億円、税引前四半期利益が1兆2915億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が8870億円となった。Non-GAAP営業利益率は75.0%で、同社によるとNon-GAAP営業利益は過去最高を更新し、3か月間で前年度12か月分を上回ったという。
AIサーバ向け需要で平均販売単価が大幅上昇
大幅な増収増益の主因は、生成AI用途を中心としたデータセンター向け需要の拡大である。
NANDフラッシュメモリ市場は、スマートフォンやPC向け需要が堅調に推移する一方、データセンターおよびエンタープライズにおけるAIサーバ向け需要が増加している。キオクシアでは、こうしたAI需要の拡大により、NANDの平均販売単価が大幅に上昇したことが業績を押し上げたとしている。
同社は販売単価の上昇がすべてのアプリケーションで起きているほか、出荷量も記憶容量ベースで前四半期比1桁前半%増加した。特にデータセンター向けが強い増加を示したと説明する一方、ガイダンス比では販売単価が想定より上振れたものの、一部の出荷が第2四半期へ後ろ倒しとなったことで、物量は一時的に期ずれが生じたとしている。
SSD & ストレージが売り上げの66%に拡大
アプリケーション別の販売実績を見るとSSD & ストレージの売上収益が1兆1747億円となり、前四半期比95.7%増、前年同期比440.3%増となり、売上収益全体に占める比率は66%に達した。
SSD & ストレージのうち、PC向けなどは売上構成比で4割弱を占め、物量は減少したものの販売単価の上昇により売上収益は増加した。一方のデータセンター・エンタープライズ向けは売上構成比で6割超となり、旺盛なAIサーバ向け需要を背景に、データセンター・エンタープライズ向けSSDの物量が過去最高を記録したほか、販売単価の上昇も加わったことで、売上収益が過去最高を更新したという。
一方のスマートデバイスの売上収益は5257億円で、前四半期比55.8%増、前年同期比565.1%増とこちらも伸張している。売上収益全体に占める比率は30%で、販売単価が上昇した結果、売上収益は過去最高を更新したとしている。
その他の売上収益は667億円で、前四半期比2.3%増、前年同期比44.0%増だった。この項目には、SDメモリカード、USBメモリなどのリテール向け製品のほか、製造合弁会社経由で計上されるSandiskグループ向け売り上げなども含まれるという。
第8世代BiCS FLASHの生産比率が50%超へ
生産面では、第8世代BiCS FLASHの生産比率が2026年6月末時点で50%超に拡大したとする。
同社の量産向け技術としては最新世代となる第8世代BiCS FLASHは、データセンター・エンタープライズ向けSSDを含む高性能製品の供給拡大を支える技術世代となっており、今回の増収増益にも寄与したとみられる。
また、同社は北上工場で第10世代BiCS FLASHの生産を開始したほか、7月30日には第9世代BiCS FLASH 1TビットTLCのサンプル出荷を開始したことも公表している。
四日市工場は研究開発機能を兼ね備えた中核拠点として位置付け、北上工場とあわせたマルチサイト生産体制により、AI時代の需要拡大に対応する製造インフラの拡張を進めるのが現在の同社の戦略のようだ。
同社は2026年度から2028年度までの3年間で、年平均4700億円の設備投資を計画しており、こうした設備投資による世代移行と並行して、AIによる生産性向上、JVパートナーシップの加速、マルチサイト生産体制を組み合わせる形で需要拡大に対応していく考えだ。
営業キャッシュ・フローは過去最高の8663億円
キャッシュ・フロー面でも改善が進んだ。
営業活動によるキャッシュ・フローは8663億円となり、前年同期の611億円から8052億円増加した。販売単価の上昇とデータセンター・エンタープライズ向けSSDの販売増、第8世代BiCS FLASHの生産拡大などが寄与した。法人税の支払い1005億円を吸収したうえで、過去最高の営業キャッシュ・フローを創出したとしている。
投資活動によるキャッシュ・フローは1173億円の支出となった。主な内容は、Nanya Technologyへの出資782億円ならびに、補助金などを除いた第8世代および第10世代BiCS FLASH向けの製造装置を中心とした設備投資支出総額(Gross CAPEX)524億円などである(これら2つの金額に補助金120億円ならびにその他の13億円を引くと投資活動によるキャッシュ・フローの金額が1173億円となる)。
同社が今後も活用していく指標とするコア・フリー・キャッシュ・フローは8272億円となり、過去最高を記録した。コア・フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローからネットCAPEXを差し引いたもので、Nanyaへの投資782億円は除いて算出されている。
第2四半期は売上収益2兆3900億円を見込む
2027年3月期第2四半期(2026年7月1日~9月30日)について、キオクシアは売上収益2兆3900億円を見込む。第1四半期実績比では35.2%増となる。
Non-GAAP営業利益は1兆9000億円、営業利益は1兆8900億円を予想する。Non-GAAP営業利益率は79.5%となる見通しで、Non-GAAP営業利益は過去最高だった第1四半期を約6000億円上回り、2兆円に迫る水準となる。
Non-GAAP税引前四半期利益は1兆8800億円、税引前四半期利益は1兆8700億円、Non-GAAP親会社の所有者に帰属する四半期利益は1兆2800億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1兆2700億円を見込む。
第2四半期も、データセンター向け需要が引き続き旺盛に推移すると想定しており、第1四半期比で増収増益を見込む。販売価格、物量ともに前四半期から増加する見通しである。
また、研究開発費用については、第10世代および第11世代BiCS FLASH、推論AI向けSSDなど次世代製品に向けて投入する予定で、第1四半期比で増加するとしているほか、通期では2000億円を見込むとしている。
エージェンティックAIがNAND需要拡大の成長ドライバーに
NAND市場について、同社はAI需要の拡大を追い風に、データセンター・エンタープライズがNAND成長をけん引すると見ている。
特にエージェンティックAI向けアプリケーションが、NAND需要拡大の主要な成長ドライバーになると見ており、従来型サーバでも、エージェンティックAI向けアプリケーションの広がりが需要拡大を押し上げるとしている。
PCやスマートフォンでの停滞はあるものの、AI関連需要の高まりの持続を背景に、NAND市場全体では、2026年のビット伸長率を10%台後半と予想しており、同社も市場見通しに準じたビット成長を想定するほか、2027年については、需要が供給を上回る状況を予想している。
株式分割と上限8000億円の自社株買いを発表
なお同社は、継続的な企業価値向上に向けた施策として、株式分割と自己株式取得も発表した。
株式分割については、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ることを目的に、普通株式1株につき3株の割合で分割する。基準日は2026年9月30日、効力発生日は2026年10月1日としている。
一方の自己株式取得については、資本効率の向上と株主還元の充実を目的とし、取得株式総数を上限3000万株、取得総額を上限8000億円として実施する。取得期間は2026年8月3日から10月30日までで、東京証券取引所における取引一任契約に基づく市場買付を予定している。





