映画『グラン・トリノ』の特別試写会が16日、都内で行われ、ゲストとして徳光和夫、鳥越俊太郎が登場した。

クリント・イーストウッドが『ミリオンダラー・ベイビー』以来4年ぶりに主演・監督を務める本作。イーストウッド演じる偏狭で頑固な老人ウォルト・コワルスキーは自分の正義に外れるものを決して許さない。妻の葬儀に来た孫娘の露出過剰なファッションに激昂、参列者にも暴言を吐き、説教が気に入らなければ牧師でも容赦せず「頭でっかちの童貞」と罵る。近所に住むアジア系の移民たちには嫌悪感を隠そうともしなかったウォルトだが、事件をきっかけに少数民族であるモン族の少年・タオと心を通わせていく。そして、本当の家族をも超えたその友情は、予測できない衝撃の結末を招くことになる。

徳光和夫(左)と鳥越俊太郎(右)。この日は作品タイトルにもなっている車「グラン・トリノ」が劇場に運び込まれた。1972年から1976年に生産されたフォード・トリノを「グラン・トリノ」と呼ぶのだとか

徳光は「日本の頑固親父代表」として呼ばれたと聞くと「僕が? 全然頑固じゃありませんよ」と心外な様子。「相当いい加減なオヤジですからね。いい加減さを貫いているという点では頑固かもしれませんけど」と会場を笑わせた。「侍JAPANの感動が消えないうちに、またこんな感動を味わえるとは。イーストウッドに人生の道しるべを示してもらったという気持ちです」。

鳥越俊太郎は大のイーストウッド・ファンで作品をすでに2回見たという。「頑固な老人が心を許すまでのあのプロセスは彼じゃないと描けませんね」と絶賛し、人種差別や世代間の対立など、アメリカが抱える問題を投影しているかのような構成にも感心していた。

ウォルトのように、若い人と接して意識が変わったことは? と聞かれ「これから清春のコンサートに行くんですよ。エネルギーをもらえるから、若い人と接するのは好きですね」

反して鳥越は「僕、若い人嫌い」。というのも、60年代安保でデモに明け暮れた青臭い自分を思い出すからだそうだ

徳光は心筋梗塞、鳥越はガンを経験していることにちなみ、「理想的な人生の締めくくり方」を聞かれた2人。鳥越は「ウォルトは血を吐いていたので胃ガンじゃないでしょうかね。私は劇的な終わり方はできないと思うので、畳の上でモーツァルトの40番か、オスカー・ピーターソンのジャズ・トリオを聞きながら、食うモノは食った! 女性も…できるだけ、知った(笑)! という思いで死んでいきたいですね」。

そして徳光は「こういう仕事をしてますので劇的な死に方をしたいですね。『これを孫娘に渡してくれ……! と言って万馬券を持って死ぬ、とかですね、あまりにも高価な万馬券ゆえにショック死をしてしまうとか。あとは、巨人の二軍戦を観に行って、ボールがこのへん(頭を指さしながら)に当たって死ぬとか。いいですねえ」と、徳光らしいユニークなコメントで場を沸かせた。

「鳥越さんは女子アナとよく合コンしているらしいですが……」とこっそり徳光が暴露する場面も

『グラン・トリノ』は4月25日より、丸の内ピカデリー他にて全国ロードショー。

最初は大切な愛車グラン・トリノを盗もうとしたタオだったが……

(c) 2009 Warner Bros. Entertainment Inc. and Village Roadshow Films (BVI) Limited. All Rights Reserved.