「はたらいて、笑おう。」をビジョンに掲げるパーソルホールディングス。同社は性的マイノリティ当事者である社員を対象とした社内制度や支援を2025年4月より拡充。同性パートナーシップに係る福利厚生制度導入企業の拡大や、「LGBTQ+はたらく相談窓口」の設置といった取り組みを開始しています。

こうした動きの背景にあるのがパーソルグループ内にある、LGBTQ+支援活動を行う「アライ(Ally)」(※)コミュニティの存在です。

※アライ(Ally):セクシュアルマイノリティ当事者への理解・支援を表明する人たちのこと。

アライコミュニティ、そしてパーソルホールディングスが会社として推進するLGBTQ+支援活動とはどのようなものなのか。そして、それらはパーソルホールディングスが目指す“はたらくWell-being”にどのようにつながるのか。

パーソルホールディングスCHRO・大場竜佳氏と、パーソルグループ内にあるアライコミュニティの一つである「Rainbow PERSOL」の一員として活動を行う三輪絢子氏による対談を通して、同社のLGBTQ+支援に対する想いを解き明かします。

<プロフィール>

大場竜佳 氏(写真右)
パーソルホールディングス株式会社 執行役員 CHRO
大手生命保険会社を経て2007年にインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。人事企画、人材開発、労務労政など各領域を担当。2016年パーソルホールディングスに異動・転籍。人事企画領域を担当しグループ横断の人事施策を立案・推進。2020年4月より人事本部長に就任、2025年4月より執行役員 CHROに就任。

三輪絢子 氏(写真左)
パーソルキャリア株式会社 プロダクト&マーケティング事業本部 クライアントプロダクト本部 クライアントサクセス統括部 クライアントサクセス1部 マネジャー
2012年に新卒で旧インテリジェンスに入社。法人営業としてアルバイト領域から転職領域まで携わる。2023年から現職。Rainbow PERSOLには2020年から所属し、ALLY活動に携わっている。

LGBTQ+への理解・支援を表明する人々の社内コミュニティ「Rainbow PERSOL」とは

――まずはパーソルキャリアのアライコミュニティである「Rainbow PERSOL(レインボーパーソル)」について教えてください。

Rainbow PERSOLは「アライの輪を広げ、誰もが自分らしくはたらいて笑える世界をつくる」というビジョンを掲げて活動している社内コミュニティです。現在のメンバーは42名。活動としては、社内勉強会やお客様とのコミュニケーションに役立つハンドブックの作成、セクシャル・マイノリティの課題に取り組むNPO法人・プライドハウス東京との協賛イベントを企画・運営するといったことをしています。


私自身はジョブトライアル(興味のある別部署の業務を経験できる社内制度)を通してRainbow PERSOLのことを知り、2020年から参加しました。仕事は大好きですし、自分自身のマイノリティ性も個性の一つとして大切にしているので、そこがリンクするのはすごく嬉しいなと感じています。

パーソルグループには、ほかにも同様のアライコミュティとして、「P-Rainbow」「ALLY部」「teamRAINBOW」などがあります。


――パーソルグループは会社としてもDEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)ポリシーを掲げて、さまざまな取り組みを行っておられますよね。

そうですね。Rainbow PERSOLは有志によるコミュニティで、最初はいわば“草の根”的な活動でした。現在では私たちのコミュニティ活動の一部をパーソルキャリアの人事にも担ってもらい、会社とも連携しながら推進しています。


パーソルグループがDEIポリシーを掲げたのは2019年のことで、そこからグループ全体で積極的にDEI推進に取り組んでいます。たとえば、女性管理職比率や男性育休取得比率の向上もそうですし、LGBTQ+支援についても、東京レインボープライドへの協賛などを通じて推進しています。


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会社として大事にしているのは、経営トップのリーダーシップはもちろんのこと、それにとどまらずに、社員一人ひとりの当事者意識を高めること。そのためにも、Rainbow PERSOLや他のアライコミュニティのような有志の活動と会社全体の動きを連携させ、さまざまな制度構築や取り組みの実施に発展させていくことが重要だと考えています。


社内コミュニティと会社側が連携し、両輪で回せるカルチャーがパーソルグループの強み

――Rainbow PERSOLに対する社内外からの反響はいかがですか。

社内からはLGBTQ+に関する問い合わせや相談が増えています。今は会社としても相談窓口を設けているので、より解決できることが増えたと思います。また、新卒採用でもRainbow PERSOLの活動に興味を持って入社を決める人が出てきています。内定者の段階から、Rainbow PERSOLに携わりたいと言ってくれる人もいるんですよ。社内だけでなく、社外にも影響力を発揮できているのは嬉しいですね。


たしかに、社内外からの注目は増していますね。今回のLGBTQ+施策を発表した際、メディアにも取り上げていただいて、社外の方からも「踏み込んだチャレンジをしましたね」といった声をいただきました。他社さんから制度導入の経緯や、運用方法について問い合わせを受けることもあります。


――制度として導入したいけれど、どうすれば良いかわからず困っている企業にとって、パーソルグループの取り組みは参考になるでしょう。やはり他社と比較して、貴社の取り組みは進んでいると感じますか?

プライドハウス東京の取り組みに参加して感じたのですが、外資系企業や大手企業ではより進んだ取り組みを行っているところも少なくありません。弊社もそういった企業をお手本にさせていただいて、さらに取り組みを進めていきたいと思っています。


パーソルグループには社内コミュニティがボトムアップで自然に生まれるカルチャーがあるんです。そして、会社としてもそれを支援しています。グループ企業の枠を超えて、コミュニティやネットワーキング活動が自然発生していく力があり、それが企業文化として備わっているんです。経営視点でも、そうした自発的なムーブメントに着目して、積極的に連携を図っていきたいと思っています。


LGBTQ+支援制度を大幅拡充した狙い

――パーソルグループとしてのLGBTQ+支援制度について教えてください。

パーソルグループは2025年4月から社内のLGBTQ+支援制度を大幅に拡充しました。ある日急に始めたわけではなく、約1年をかけて慎重に検討を重ねたものです。たとえば、同性パートナーシップに係る福利厚生制度を導入する企業を拡大したり、通称名の使用を認めたり、 匿名性を担保するために外部の専門の窓口を採用した「LGBTQ+はたらく相談窓口」などの制度を導入しています。


こうした制度の導入にあたっては、各事業部門の意見を聞きながら、現場で運用する人事担当者や経営陣が納得感を持って制度を利用できるようにすることを重視しています。


――制度の拡充にはどんな想いがあるのでしょうか。

今回の制度拡充は、LGBTQ+の方が抱える不都合や不合理に光を当てて、より働きやすい状態を作ることを目的としました。こうした制度を通して多様な属性を持つ方が活躍しやすくなることで、イノベーションが生まれたり、今まで気づかなかったことに気づいたりできるようになるのではと期待しています。


――こうした制度の拡充について三輪さんはどう感じていますか。

実は、パーソルキャリアは2019年から、パーソルダイバース(当時パーソルチャレンジ)は2017年から福利厚生面の適用については行っていました 。ただ、Rainbow PERSOLに所属するメンバーにはいろいろな会社の出身者がいます。そういう意味では、制度が拡充されたことは嬉しかったし、ぜひ使ってみたいという前向きな意見が出ていますね。


今年4月から拡充・開始したばかりではありますが、すでに制度が活用されている実績がありますし、検討を進めている方も多いと聞いています。


私も昨年、制度を使わせてもらいました。パートナーシップの公正証書を会社に提出して、会社にも祝福していただいて。実は私のパートナーも同じ業界で働いているのですが、パーソルの制度のことを会社に伝えたら、すぐに同じような制度が導入されたそうです。


それはすごい!


LGBTQ+への支援が“はたらくWell-being”の実現につながっていく

――LGBTQ+へのサポートは、パーソルグループの定義する“はたらくWell-being”にどのようにつながっているでしょうか。

自分の「はたらく」を自分で決め、はたらくことを通じて、それぞれの幸福感や満足感が実現できていること。それを弊社では“はたらくWell-being”と定義しています。

ただ、ウェルビーイングとは主観的なものですし、何をウェルビーイングと考えるかは人それぞれで当然異なります。ですから、今回のLGBTQ+支援も、「一人ひとり前提が異なっていて、それぞれのキャリアのイメージやその先にある幸福感や満足感の在りようも違っている」という考え方からスタートしているんです。


今回はLGBTQ+の支援についてお話しましたが、それ以外の領域についても同じことが言えます。この前提さえ間違えなければ、最終的には一人ひとり、それぞれのウェルビーイングの実現につながると考えています。


――パーソルグループの取り組みに共感し、同様の制度をつくりたいと考える企業も多いと思います。そうした企業に向けてアドバイスをお願いします。

まずは、会社としてのDEIポリシーを明確にすることが重要だと思います。会社としての方針が明確であれば、社員も安心して活動できますから。その際、トップがコミットメントを宣言することも必要でしょう。やはりトップの影響力は大きいです。パーソルキャリアでは会社としてミッション・ビジョン・バリューを設定しており、会社として何を目指すのかが明確です。だからこそ、メンバーも「この会社なら声を上げても大丈夫だ」と安心できるのだと思います。


経営サイドとしては、「目に見える変化を起こす」ことが重要です。抽象的なメッセージを経営が発信するだけでは、従業員はなかなか実感を持てません。たとえばパーソルグループでいえば、DEIの取り組みの最初の第一歩として、ドレスコードフリーを導入しており、従業員は自由な服装で勤務しています。すると、会社に来ると以前とは景色が違うわけです。こういった「目に見える変化」を全従業員が実感できることが改革には必要なんです。LGBTQ+の支援制度についても、社内でしっかり発信し、さらに外部のメディアなどにも取り上げていただくことで「目に見える変化」を起こせました。


――最後に今後の展望について教えてください。

会社の制度だけでなく、提供するサービスにも支援の輪を広げていきたいと考えています。すでにdoda(パーソルキャリアが運営する転職情報サイト)でプロフィールを入力する際、男性、女性、選択しないの3つから選べる仕様になっています。あらゆるバックグラウンドを持つ方が自分らしく働ける会社に出会えるよう、業界をあげて取り組んでいきたいですね。

パーソルグループは“はたらくWell-being創造カンパニー”を標榜していますが、サービスにはまだまだ改善の余地があります。グループで一致団結して、“はたらくWell-being創造カンパニー”を目指したいです。


私はDEIの取り組みが、中長期的には会社に財務的な価値をもたらすと考えています。むしろ、そうでなければなりません。社会的価値だけでなく経済的な価値を追求する企業である以上、社会貢献的な視点だけでは、取り組みを永続させられないと思っています。DEIの取り組みにより、組織風土がより良くなる。それにより優秀な社員が集まり、生き生きと前向きにはたらいてお客様に価値貢献する。そして、会社もしっかりと利益を出せる――そんな事例を作っていきたいと思います。


***

自然発生的に生まれたアライコミュニティと、会社としてのLGBTQ+支援制度という両輪を回し、“はたらくWell-being”の実現に向けて取り組むパーソルグループ。業界でいち早く先進的な制度を導入できたのは、同社の柔軟な組織カルチャー、そして会社と従業員の信頼関係があったからこそでしょう。今後、同社の取り組みがどのように拡大し、業界全体の盛り上がりにつながっていくのかが注目されます。

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