移住先として人気が高まる和歌山県。全国の自治体と連携して地方移住を支援する「ふるさと回帰支援センター」が毎年発表する「移住希望地ランキング」では、和歌山県はセミナー参加者数ランキングにおいて2022年の8位から順位を上げて2023年は全国3位にランクインしました。

  • 移住希望地ランキング、和歌山3位

和歌山県の移住人気を支えているのは、首都圏・大阪から時間距離にして約1時間というアクセスの良さが挙げられますが、もうひとつ見逃せない要因があります。それが、移住希望者にとことん寄り添う自治体の移住サポート体制です。

その中でも、移住先の仕事と暮らしを体験できる「しごと・暮らし体験」は、移住希望者から絶大な支持を得ているのだとか。本記事では、そんな「しごと・暮らし体験」の様子をレポートします!

移住希望者からの人気プログラム「しごと・暮らし体験」とは?

しごと・暮らし体験」とは、文字通り、和歌山の仕事と暮らしを実際に体験できるプログラムです。「移住に興味はあるけど、イメージが沸かない……」「地方で何かしたいけど、いきなり移住するのは不安……」といった移住希望者は多く、移住後の生活を肌で実感できるとあって、人気を博しています。

  • しごと・暮らし体験

期間は主に1泊2日〜2泊3日で、180以上もの幅広い受け入れ先から自身の希望に合わせて選択可能。なお、交通費、食費、宿泊費等はかかるものの、体験料は無料で、宿泊費については、1泊3,000円〜5,000円の補助を受けられます(補助額は地域によって異なります)。

今回は、田辺市東部に位置する龍神村で「しごと・暮らし体験」に参加してみました。

「しごと・暮らし体験」の詳細はこちら

農業と食品加工業の「龍神自然食品センター」で梅作りを体験!

  • 龍神自然食品センター

まずは、しごとの体験から。訪れたのは、日本三大美人湯に数えられる龍神温泉の近くにある「龍神自然食品センター」さん。同社は、農薬や化学肥料を使用しない自然農法でさまざまな農作物を栽培し、加工から販売まで手がけています。

しごと体験を案内してくれるのは、営業部長を務める井谷直寛さん。新規開拓や既存顧客のフォローを担当する傍ら、農作業にも従事しています。

  • 龍神自然食品センター井谷さん

ようこそ和歌山県龍神村へ!今日は、当社の看板商品の梅干しを作る作業を体験していただきます!


エプロンを着て衛生帽子を被り、手袋を装着すれば準備は万端。早速レクチャーを受けながら、作業に取りかかります。

  • 体験の様子

体験① 梅上げ

梅上げとは、夏の収穫後、数か月にわたってタンク内で塩漬けされた梅を取り出す作業です。ザルで取り出した梅を冷たい塩水で洗いますが、ここでは「均等に並べること」が求められます。

  • 体験の様子

この作業の後に梅を天日干しします。梅上げでは、太陽の光が満遍なく当たるように均等に並べましょう!


ザルを深くまで沈めて、梅がふわっと浮き上がるようにするのがコツ。スタッフさんに教えてもらいながら何回か挑戦していくうち、はじめはあまり動かなかった梅が徐々に広がっていくようになりました。

  • 体験の様子

塩水から上げた梅は次の工程のために重ねていきます。

  • 体験の様子

上手ですね!センスありますよ(笑)次は屋上に上がって、梅を干しましょう!


体験② 梅を干す

ザルで上げた梅を天日干しします。屋上一面には、梅が載ったザルがずらり。風が吹くと、梅の香りに包まれました。

  • 体験の様子

せっかく均等に並べた梅が動いて重なってしまわないよう、ザルを水平にしたまま運んでくださいね!


  • 体験の様子

1週間ほど天日干ししますが、干して3日目か4日目にはザルをひっくり返すそうです。このときも、水平を保ったまま手早く慎重に。丁寧な仕事ぶりがうかがえました。

干し上がりを均一にすることで、おいしい梅干しができあがるんです!続いて、肥料撒きを体験しましょう!


体験③ 肥料撒き

毎年3月くらいになると、梅の木に肥料を撒きます。肥料1袋につき、梅の木2本分が目安。ちなみに、肥料は化学肥料ではなく有機肥料。井谷さんたちの自然農法へのこだわりが垣間見えます。

  • 体験の様子

梅の木は、枝の広がりと同じくらい根を張っています。幹を中心に枝先まで円を描くように肥料を撒きましょう!


バケツや小鍋で肥料をすくい、袋ごと抱えるスタッフさんと一緒に辺りを回ります。言葉を交えながら、美しい清流「日高川」の川沿いや急な斜面に生える梅の木に肥料を撒きました。

  • 日高川

お疲れさまでした!次は、加工現場をご紹介しますね!


体験④ 加工現場の見学

加工現場で最初に目に飛び込んできたのは、巨大な5トンタンク。

  • 梅をつける桶

このタンクの中で梅と塩の層を作り、塩漬けにします。数か月後、先ほど体験いただいた梅上げと天日干しを行います。


干し上がって「白干し」と呼ばれる状態になった梅は、樽に8キロずつ小分けに詰められます。その後、2週間しそ漬けにされ、よく見る赤味がかった梅干しに。ちなみに、しそも無農薬で栽培されています。

  • 梅干しが保存される様子

「自分たちが食べたい安心安全の農作物を作る」というのが当社のポリシーです!特に、しそなどの葉物を無農薬で栽培するのは大変なんですけどね……(笑)

でも、龍神村の豊かな自然環境を守っていくためにも、一貫して自然農法にこだわっています!


  • 体験の様子

栽培から加工・販売にいたるまで、ほぼ手作業。手間暇かけて作る自慢の梅干し「龍神梅」は、酸っぱいながらも旨味が濃く、有名な料理店から注文が殺到しているのも納得のおいしさでした。

また、昼食時は、スタッフのみなさんと一緒に食事を取りながら、お話を伺うことも可能です。お仕事のことだけでなく、和歌山の暮らしについても質問する参加者さんも多いのだとか。

井谷さんから移住希望者にメッセージ

「しごと体験」を終え、移住希望者に向けてメッセージをいただきました。

  • 井谷さん

農業に少しでも興味があるのでしたら、一度体験してみましょう!体験をしてみた結果、「思っていたのと違う……」と感じる場合もあるかもしれませんが、それもまた気づきのひとつです。

ちなみに、当社には未経験から働き始めたスタッフが大勢います。私も前職は自動車ディーラーで働いていました。異業種からの転身について、いろいろと相談にも乗れるのではないかと思います。当社の体験プログラムを学びの機会として最大限にご活用ください!


龍神自然食品センターの詳細はこちら

宿泊先の「もんぺとくわ」で、暮らしも体験!“和歌山移住のレジェンド”を直撃!

  • もんぺとくわ

龍神自然食品センターさんから徒歩約5分のところにある「もんぺとくわ」さんが今回の宿泊先です。到着すると、オーナーの下山眞実さんが出迎えてくれました。

  • もんぺとくわ下山さん

しごと体験、疲れたでしょう。ゆっくり身体を休めてくださいね!


「暮らし」の体験は、宿泊をしながら、地元の食事をいただいたり、自由に地元の方と交流することが主な内容。案内されたドミトリースタイルの宿は昔ながらの和室で、縁側に座れば雄大な山の景色を望めます。

  • 体験の様子

併設するカフェでは、無農薬で栽培した新鮮な季節の野菜をふんだんに使った料理やオーガニックコーヒー、焼き菓子などを提供。見晴らしの良い店内は、地元民や観光客で賑わっています。

  • 体験の様子

ちなみに夕食は、もんぺとくわの畑で取れた野菜をはじめ和歌山の野菜をふんだんに使ったお料理。お肉を使っていないのもこだわりの一つで、「毎日お肉が当たり前に食べられる世の中なので、たまにはお肉を食べない食事も提案したい」との想いからだそう。

  • 夕食

また、お風呂は近隣の龍神温泉を案内されます。日本三大美人の湯の一つに数えられる温泉地で、肌がつるつるになる泉質とのこと。

  • 龍神村

下山さんは、夫である英範さんと共に1993年に龍神村に移住。夫婦そろって“和歌山移住のレジェンド”として知られています。そのため、話を聞いてもらいたいという移住希望者が後を絶たないそうです。移住を決意したきっかけや、移住を成功させる心構えなどを尋ねてみました。

  • インタビューの様子

――下山さんは、どうして移住しようと思われたのですか?

長野県の「軽井沢プリンスホテル」で調理をしていた夫が、有機農業に興味を持ったのがきっかけでした。埼玉県の有機農家を訪ねてみると、普段食べている野菜との味の違いに驚いてしまって……。

「自分たちが食べるものは、自分たちで育てたい」との思いが強くなり、自給自足の生活をするために移住を決意しました。


  • 下山夫妻

――なぜ、移住先に和歌山県を選んだのですか?

私の実家がある近畿方面で探していて、とんとん拍子に進んだのが和歌山県の龍神村でした。ご縁があったということですね!


――移住されて30年以上が経ちますが、どのあたりに和歌山県の魅力を感じますか?

和歌山で暮らす人たちの人間性でしょうか。素朴でおおらかで、まっすぐな人が多いですよ!


――そのような人が多い和歌山県への移住を成功させるには、どういったことがポイントになるのでしょうか?

これは和歌山県に限りませんが、過去の物差しで移住先を測らないことですね!そうしてしまうと、「こんなはずじゃなかった」「これはおかしい」と嫌なところばかりが目についてしまいます。「郷に入っては郷に従え」という言葉がありますが、無色透明のまっさらな気持ちで受け入れようとしてみるのが大切です。

そのうえで、1年間暮らしてみる。四季を通して自然の移り変わりや地域の人々の行動を把握できれば、2年目から本当のスタートが切れます。


  • インタビューの様子

――色眼鏡なしで地域を観察し、自分のほうから馴染む姿勢が必要なんですね。

さっき言ったように素朴でおおらかで、まっすぐな人が多いので、心をオープンにして積極的にコミュニケーションをとっていけば、かわいがってもらえますよ!私たちも2015年に炭化火災により住居・店舗ともに全焼しましたが、たくさんの人たちに手を差し伸べてもらったおかげで宿とカフェを再建できました。

特に若い人たちは田舎特有の人間関係の距離の近さに戸惑うようですが、私は「明るく対応していれば大丈夫!」と伝えています。


  • インタビューの様子

――移住する前の「しごと・暮らし体験」をより充実させるには、どのようなことに気を付けたら良いでしょうか?

一番は、体験自体を楽しむことですね!そして、受け入れ先の人たちはもちろん、地域の人たちとも話をしてみることです。人と深く交流し、つながらないことにはご縁は生まれません。


――最後に、移住希望者に対してアドバイスをお願いします。

アドバイスなんて偉そうなことは言えませんが、一歩踏み出してみませんか?そうすれば、新しい人生が待っているかもしれません。もし失敗だったと思えば、そのときは都会に戻ったら良い。「二度と戻らない」とか「骨を埋める」とか、そこまで決め込まなくても良いのではないかと思います。

ただ、パートナーや家族の理解は不可欠です。ご夫婦の場合、男性が燃えていて、女性が冷めているケースが少なくありませんが、そういったパターンはたいていうまくいきません(笑)


  • インタビューの様子

もんぺとくわの詳細はこちら

移住を迷っているのなら、いつまでも悩んでいないでとにかく体験を!

移住するかどうかは、人生の大きな決断。そう易々と決められないものですが、だからといって悩んでばかりいては答えが出ることはありません。和歌山県の「しごと・暮らし体験」なら、短期間で移住後の生活を濃密に体感できるため、有効な判断材料になるのは間違いないでしょう。

「しごと・暮らし体験」は、以下の流れで申し込めます。体験内容については希望に沿って柔軟にカスタマイズしてもらえます。

  • 申し込みの手順

後悔せずに理想の移住を叶えたいのなら、「しごと・暮らし体験」に参加して田舎暮らしのリアルに触れておきましょう。

「しごと・暮らし体験」の詳細はこちら

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