「怒りやすくなって、ついイライラ」「すぐに動悸や息切れが……」「急に滝のような汗をかく」のが更年期症状(※1)で、それに該当しなければ更年期症状の心配はないと思っていませんか? 実はそれらの症状だけではなく、目の疲れ、肩や首のこりといった更年期以外でもよくある症状や、物事が覚えにくかったり、気力が出ないといった精神的な変化なども更年期症状のひとつです。これらの症状は複数が重なってあらわれることも多く、更年期は女性ホルモンの減少に伴い、自律神経にも影響を及ぼすことでバランスが崩れ、さまざまな心とからだの不調が表面化していきます。

知っているようで、まだまだ知らないことが多い更年期症状。誤解のないよう、正しい知識を知ることが、更年期症状と向き合う第一歩になります。

今回、スタイリストなど幅広く活躍している大草直子さんをゲストに迎え、ご自身の心とからだに関するお悩みを伺いました。お悩みの相談相手は、一般社団法人日本女性財団の理事長であり、医療法人社団ウィミンズ・ウェルネス 女性ライフクリニック銀座・新宿の理事長 産婦人科医である対馬ルリ子先生です。

(※1)早めの相談がカギ 更年期に多い症状と病気 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)

大草 直子
大草 直子 さん
スタイリスト、webメディア「AMARC」主宰。大学卒業後、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。 雑誌「ヴァンテーヌ」の編集に携わったのち、独立。ファッション誌だけでなく、さまざまなメディアやイベントで活動をしている。
対馬 ルリ子
対馬 ルリ子 先生
一般財団法人日本女性財団 理事長、NPO法人女性医療ネットワーク 理事。医療法人社団ウィミンズ・ウェルネス 女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長 産婦人科医。女性のための総合医療を実践。NPO法人女性医療ネットワークでは、全国約450名の医師らと連携し、さまざまな啓発活動や政策提言を行っている。コロナ禍の2020年、次世代の女性の心身の健康および社会的な活躍を後押しするため、課題を抱える女性の支援を行う団体活動をサポートする日本女性財団を設立。「女性の生涯の心身と社会的なウェルビーイングを支援する」テーマを掲げ、新たな取組みを始めている。

汗がムワッと出る、夜中に目が覚める――「更年期」かな、と気づいた

――現在、51歳の大草さん。まさに“更年期のただ中”だと、おっしゃいますが、具体的に、心やからだに、どのような不調を感じているのでしょうか?

大草 さん: 更年期かなと気づいたきっかけは、40代にかけての月経の変化でした。もともと経血量は多い方だったのですが、すごく量が多くなり、周期が短くなりました。3年くらい前からは、ほてりを感じるようになって「これは間違いない」と確信。私の場合は、汗がバッと出るというよりもムワッとなる感じです。不調の中で一番ストレスを感じているのは、夜中に目が覚めること。多い時は2回くらい、パチッと目が覚めてしまうんです。ラッキーなことに、またすぐ眠りにはつけるのですが……。

――大草さんはご自身の症状から「更年期かな」と気づいたそうですが、対馬先生に改めて更年期症状とはどんなものか、教えていただけますか?

対馬 先生: 更年期とは閉経を挟んだ前後5年の計10年間なので、だいたい50歳前後の人たちは更年期に該当します。今までなかった症状が出てきて、それが不快な状態を更年期症状、それがさらにひどくなり、日常生活に支障をきたす状態を更年期障害といいます。 みなさん、のぼせや発汗(※2)、イライラ(※3)が更年期症状だと思いがちですが、これらの症状が出ない人もいます。大草さんのように睡眠の悩み(※4)を抱えたり、ある朝起きたら急に手が痛い(※5)、肩こりがひどくて首が回らない、体中の関節がこわばって痛くなる、蕁麻疹や湿疹に悩む人も。私は急に皮膚が弱くなり、肌トラブルで入院したほど。本当に症状の出方は人それぞれです。

(※2)ホットフラッシュ | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)
(※3)イライラ | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)
(※4)不眠 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)
(※5)女性に多い痛み疾患 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)

――実際に行ったweb調査でも、「肩や首がこる」「目が疲れる」などの一般的な症状を挙げる方が多いという結果に。「夜眠っても目を覚ましやすい」「夜なかなか眠れない」などの不眠に関するお悩みも挙げられました。

【不調を感じている更年期症状】(単位:人)

  • ※クラシエWEB調査/期間:2023年1月、4月、7月、9月計/対象者:30~59歳女性3,633名

対馬 先生: これらの症状は、ホルモンの減少に伴う自律神経の影響です。自律神経というのは、体温や胃腸の調節、心臓の調律など、生きるために必要不可欠な部分の調節を担っています。その自律神経をコントロールしている大源が、脳の視床下部と下垂体という部分です。この視床下部の指令で卵巣から女性ホルモンが分泌されるのですが、更年期になり卵巣機能が低下すると、ホルモンをもっと出せと指令を出しても十分に分泌されなくなります。その結果、自律神経の嵐のような乱れた状態になるのです。急に熱くなる、急に寒くなる、心臓がバクバクし出す、手が震える、吐き気がする、下痢・便秘になるなど。

対馬 先生: 一番有名なのがホットフラッシュ(※6)などの血管運動神経障害ですが、ホルモンの分泌量が減るとコラーゲンも減っていくので、肌も弱くなって乾燥するし、ドライアイ、ドライノーズ、ドライマウス(※7)になったり、膝や腰、関節が痛くなる(※8)ことも。「これも更年期症状のひとつだったの! 知らなかった」とみなさん、びっくりされます。

(※6)ホットフラッシュ | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)
(※7)ドライシンドローム(ドライマウス・ドライアイ・腟の乾燥) | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)
(※8)膝痛、腰痛(更年期に多い症状と病気) | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)

大草 さん: ちょうど2~3か月前に、急に気持ちの落ち込みとイライラを感じることがありました。人と比べたり、嫉妬したり、そういうことはずいぶん前に手放して生きてきたつもりだったのに……。ひとつのことが頭から離れなくなってしまって、20代とかの幼い私だったらわかるんですけれど、自分でもこれだけ生きてきたのに、「えっ」とびっくりしました。ホルモンの影響かと思うと、自分ではどうにもしがたいですね。

対馬 先生: ひねた気持ちになってしまうのよね。エネルギーレベルが落ちて、小さなことに執着しやすくなったり、ダメージを受けやすくなったり、くよくよしやすくなったり。今までは、そんなこと、跳ね飛ばしてきたはずなのに。きっかけがなく、急に落ち込んでしまう。それが更年期なんです。 ホルモン減少による症状のひとつに、脳機能の低下もあります。頭がボーッとして、記憶力や判断力が低下し、物覚えが悪くなったり物忘れが多くなることも。

大草 さん: 小さいものから大きいものまで、ほんとうにさまざまな不具合が出てきますよね。

――特に40代にかけてのプレ更年期世代だと、更年期症状とPMS(月経前症候群)を間違えてしまいそうですが、違いを教えてください。

対馬 先生: 月経が順調にきている人で、月経周期に伴って同じ時期に不調があらわれるのがPMS(※9)。閉経の前5年、後ろ5年の時期に、今までなかった症状が日常的にあらわれるのが更年期症状です。プレ更年期の40代は、だんだん月経が不順になり、自律神経の不調が出やすくなってきます。

PMSも更年期症状同様、女性ホルモンの変化が不調の原因です。排卵後、妊娠に備えてプロゲステロンというホルモンが分泌され、からだを守るために敏感になります。PMSの症状が強い人は、月経痛も重い傾向にあり、不調がずーっと続き、そのまま更年期へと移行する方もいます。

(※9)月経前症候群(PMS) | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)

ちゃんと知れば怖くない! 更年期症状との向き合い方・上手な付き合い方とは?

――大草さんは更年期症状に、どのように向き合っていますか?

大草 さん: 規則正しい生活と適度な運動は、できる限りやろうと思っています。年齢とともに筋力が落ちることは知っていたので、体型を維持するためにも、40歳を過ぎてからホットヨガを始めました。10か月ほど前からは、7~10日に1回のペースで、マンツーマンでマシンピラティスをやっています。体型を維持すること、なりたい自分でいることは、私にとって平穏であるためにとても大事なことなので。

対馬 先生: 生活のリズムをきちんとする、運動、食事、睡眠、ストレスをかけないことは、王道の対策ですね。

大草 さん: からだを冷やさないよう、できるだけ温かいものを飲むようにもしています。午前中だけで、白湯を2リットル近く飲むことも。ハーブティーなどのお茶もよく飲みます。 お風呂も大切な時間です。バスソルトと好みのエッセンシャルオイルを入れて、一年中、湯船につかっています。浴室の電気は消して、リラックスするように。 オイルやクリームを塗りながら自分で自分を触ってあげるセルフマッサージも毎日の日課です。肌の乾燥対策にもなるし安心するので、ずっと続けています。

対馬 先生: 人から触ってもらうのと自分で触るのとで、実は肌で感じる触感や安心感は同じなんです。自分で頭をなでなでしてあげたり、自分で自分をハグしてあげると落ち着くので、おすすめのセルフケアです。

大草 さん: 眠りが浅くなっているので、睡眠環境も整えるようにしています。ベッドや枕などのリネン類は、必ずコットンやリネンなどの天然素材に。パジャマもスウェットではなく、一年中シルクを愛用しています。

対馬 先生: 更年期や老年期の女性はクオリティに敏感になっている時なので、上質なものを使うことは、とてもいいことです。自分に手をかけて、自分のウェルビーイングを自分で作っていくことは大切なことだと思います。基礎体温表をつけるのも、自分のからだを客観的に知ることができるのでおすすめですよ。

ゆらぎやすい年齢の女性のために、セルフケアのサブスク便『ファントゥーミー』

クラシエは、新たにメノテック事業として、ゆらぎやすい年齢の女性に向け、セルフケアできる「食と情報」をお届けするサブスク便『ファントゥーミー』をスタートさせました。独自に構築した「バランス状態チェック」で自身のバランスタイプを判定し、心身のバランスを整えるために必要な商品やセルフケアを提案しています。

「バランス状態」とは、漢方理論と世界の伝統療法を融合し、独自に定義した虚-実、寒-熱、燥-湿の3軸6要素の組み合わせで、個々の状態を8タイプに分けて判定します。過不足や滞りのないバランスの摂れた「中庸」に整えることを目指し、その人に合った養生スープと養生茶をお届けするほか、その人に合ったセルフケアアドバイスなどを個別に提供するサービスです。実際に大草さんにもバランスタイプをチェックしてもらいました。

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――大草さんのバランスタイプはいかがでした?

大草 さん: 実・熱・燥タイプでした。

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大草さんのタイプは「『実』はプレッシャーやストレスを感じやすい環境にあり、それによっていろいろ考え込んでしまったり、『熱』はほてりを感じやすく、『燥』は水分不足で乾燥しやすい傾向にある」とのこと。バランスタイプから、おすすめの商品を試飲してもらいました。

大草 さん: ほてりや肌の乾燥を感じていたので、ぴったり。熱のお茶はペパーミントが入っていて、すっきり爽やか。コーヒーが苦手なので、ノンカフェインなのはうれしいです。就寝前にもよさそうですね。ティーバッグなのも、手軽でいいなと思います。

対馬 先生: 漢方ベースのものは、偏ったバランスをニュートラルに戻してくれるイメージ。香りや味など、その人のからだにとって必要なものがおいしいと感じるのだと思います。セルフケアのひとつとして、このような商品も上手に活用したいですね。

今までは、女性のからだについて学校でも学ばないし、情報源が少なく、また“言ってはいけない、我慢するのが美徳”みたいなところがあったけれど、今は変わってきて、正しい情報、知識を学びたいと思ったら手に入るようになりました。自分のからだに起こっていることを知らないと余計に不安になるし、どんどん症状も重くなってしまいます。ちゃんと更年期症状について理解し、自分なりの対策をどんどん試してみてほしいですね。サプリやハーブティー、エクササイズなど、できることをやってみる。やってみて自分なりに対策できると、ものすごい自信になるんですよ。これを「キーストーン・ハビット」というのですが、キーになる自分の健康習慣を見つけていくと、あれもやってみよう、これもやってみようとポジティブな行動に結びつきやすくなるのです。セルフケアに加えて、年1回のメディカルケアも忘れずに。かかりつけ医をはじめ、漢方(※10)など各分野の専門家を味方につけて、自分の更年期対策チームを作れたら心強いですよね。

(※10)女性と漢方 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)

大草 さん: アベンジャーズみたい! それ、おもしろいですね。ただ中にいる私たちも、これから経験する女性たちはもちろん、パートナーや家族、同僚、友人など、みんなが女性の更年期について知っておくべきなのではないかと思っています。

対馬 先生: そうです。当事者も症状に対する悩みや気になっていることを発信すれば、問題提起になります。それにどう対応していけばいいか、みんなで考える機会になるんですね。みんなをサポート部隊にして、巻き込んでいくことが大事だと思います。

大草 さん: 私も、家でも更年期だからしんどいという話をしています。「更年期で眠りが浅くて、パフォーマンス上がらないから30分昼寝するわ」と(笑)。

対馬 先生: 正直でいいですね。人生100年時代のちょうど真ん中の節目に立っているわけだから、大事に自分自身をケアしてほしいです。ネガティブにとらえてしまうのではなく、人生の中においてさまざまなことが起こり得るととらえて、どうやって柔軟に対応できるか、そのスキルを身につけておくことが大切です。そのためにも、正しい知識を得てほしいですね。

大草 さん: ただ中にいる私だからお伝えできることとしては、“更年期は決して怖くない”ってこと。今はそれに応じた対策や情報が揃っているので、怖がらないで! 更年期症状やゆらぎというのは、ひとつのサインだと思うんです。今まで仕事や家族、両親など外側に張っていたアンテナを内側に向かわせるタイミングなのだと。不調という変化としてあらわれるけれど、そのサインを逃さず、自分の方へベクトルを向けてほしいなと思います。

更年期症状について、知っておいてほしい大事なこと

・更年期症状は、女性ホルモンの減少により、自律神経の乱れによる影響も。 さまざまな症状が複合的にあらわれることも。

・PMS(月経前症候群)と更年期症状は、いずれも女性ホルモンの変動によるもの。間違えやすいが、月経周期に伴って同じ時期に不調があらわれるのがPMS(月経前症候群)。閉経の前後5年に、日常的に不調が現れるのが更年期症状。

・対策は、セルフケアとメディカルケアの2本柱で!自分の心とからだのバランス状態を理解して、自分なりの更年期対策を見つけよう!

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