商品やサービスといったプロダクトを成功に導くキーパーソンであるプロダクトマネージャー(以降PdM)。プロダクトの成長や新たな価値の創出、課題解決をかなえる高度なスキルだけでなく、課題を多様なアプローチから捉える視点も必要とされます。そんなPdMとしての考え方を広げ、新たな視点を見つけられるよう、第一線で活躍するPdMがセッションを行い、これまでと違う考え方で目の前の課題にチャレンジするきっかけを提供するイベント「PdM Days」が開催されました。

PdM Daysとは?

株式会社リクルートが主催の「PdM Days」。「枠を超えて、未来のまんなかへ」をテーマに、それぞれのスタンスや理想のプロダクトマネジメントを共有し、新たな視点を見つけることを目的としたカンファレンスです。2024年1月31日(水)、2月7日(水)、2月14日(水)、2月17日(土)の4日間にわたって開催されました。ビジネスやデザイン、テクノロジーなど、さまざまなバックグラウンドを持つPdMが集結。本記事では、オンラインで行われたDAY1からDAY3のセッションの様子を紹介します。

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DAY1:新規プロダクトの立ち上げ〜グロース、その多様性と共通点

DAY1では、 株式会社PM Club Founder & CEO の佐々木真さんと株式会社エス・エム・エス プロダクトマネージャーの田中達規さんが登壇。異なる環境での新規プロダクトの立ち上げについてご自身の経験に基づき、事例や考え方についてシェアしました。

何度も起業を繰り返してきた佐々木さんが、新規事業の立ち上げる際に失敗しない方法として挙げるのが“課題”から考えるということ。そんな佐々木さんが、事業の立ち上げを決断するにあたって大事にしていることは、「少数の人たちにとってなくてはならないプロダクト」であるかどうかということです。この意見に対して、田中さんも事業を立ち上げることで解決できる課題の深さは大切だと深く共感しているようでした。

では、実際にどのようにして課題を把握するべきなのでしょうか。2人が共通して挙げたのが、直接ユーザーから話を聞くこと。課題の芯を捉えられるような疑問をユーザーに直接投げかけて、課題を明確化にすることが必要だとか。

そんな課題に対するソリューションを考えるときは、「常に必要最低限にそぎ落として考えていくことが大切」と田中さんは言います。それに対し、佐々木さんも「必要最低限で素早くプロダクトをリリースし、リリース後に生まれる課題を素早く解決することで、ユーザーからの信頼を得ることができ、より良いプロダクトができる」と語りました。

そんな二人が大切にしている仕事のスタンスは、常にユーザーを意識することです。田中さんは決して分かった気にはならず、ユーザーのことを理解できるよう常に努力を欠かさないようにしているのだとか。佐々木さんについても、事業に関わっている誰よりもユーザーに会っていると語ります。

最後に、田中さんは「PdMの仕事は、面白く挑戦し甲斐があって日々難しい業務だなと感じています。やりがいがある仕事なので、ぜひ一緒にPdMとして事業を盛り上げてくれる人を探しています」とメッセージ。佐々木さんについても「今回みたいな交流の機会があるイベントは貴重だと思うので、今後も進んで参加していきたいです」と語りました。

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DAY2:多様な人材が活躍するプロダクトマネージャー組織づくり

PdMの組織づくりや仕組みづくりについて伺うDAY2。株式会社SmartHR PMグループ松栄友希さんと株式会社Gaudiy 代表PdM三島和人さんが登壇しました。各社で組織づくりや仕組みづくり、PdM育成を主導してきたお二人に各社の共通点や差分を聞きながら理想のチーム作りについてのセッションを行いました。

今回のセッションでは、まず初めに各社でのPdMの役割について紹介。PdMがどういった役割を果たしているか共有され、企業同士の違いが明らかになりました。そういった組織づくりの違いをふまえて、パネルディスカッションのコーナーへ。用意されたトークテーマの中からオンライン参加者の投票が多く集まった議題について話していくことに。

まずトークテーマとして選ばれたのが、PdMのキャリアパスと育成についてです。そもそも、PdMはリード的な役割を担うことが多いことや社風から、両社とも中途採用でPdMの経験者を雇うこと が多いのだとか。そういった即戦力の人たちに対する育成という部分では、目標設定があいまいにならないように明確に設定し、コミュニケーションを密に行っているのだと松栄さんは話します。

そんな即戦力の人材を採用する両社が、PdMに求めるスタンスはどういったものなのでしょうか。三島さんが考えるスタンスとしては、どれくらいラストマンシップを持つかという部分が重要になっていくと話します。PdMは、意思決定や説明責任が伴う場面が多く、そういった中でも結果責任を果たすために、いかにラストマンシップをもって業務に向き合うかということが重要になります。

さらにトークテーマは変わり、プロダクトの肝になるチーム形成の工夫についての話に。Gaudiyでは、それぞれが持っている思想や美学をかなり尊重したうえでチームのアサインを行っていくと言います。そういった部分を重視しつつ、それぞれのWillとやってもらいたい業務のすり合わせについて、上手にコミュニケーションを取りながら行っていくそうです。

また、SmartHRでは、いい関係性のチームを簡単にはバラバラにせず、違うプロダクトになっても同じチーム構成のままにすることも多いそう。お互いが補い合いながら、業務をしていけるようなチーム形成になる空気感を作っているといいます。

最後に話題に上がったのが、PdMの持つ裁量権。ふたりが共通して話したのが“許可より謝罪”というワード。スピードを意識した裁量権を重要視している三島さんは、「責任を担ってやるけど失敗したら謝ることでプロダクトの流れを切らないのもポイント」だと言います。また、松栄さんも「現場の人間が最もプロダクトの解像度を高く持っているので、裁量権が結果に繋がっていく」と語りました。

「プロダクトがどうしたらより良くなるのか、というのは各社が模索しているなか、会社を超えた情報交換で日本全体の活気に繋がると思うので今後もこうしたコミュニケーションの促進に携わりたいです」と松栄さん。また、「プロダクトマネジメントは、市場に人は少ないもののかなり需要が多いので、業界を盛り上げていけたらうれしいです」と三島さんもメッセージを送りました。

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DAY3:プロダクトづくりを円滑にするためのさまざまな仕組み

DAY3は、プロダクトづくりの現場において、組織やプロセスをより良くするための取り組みについてトーク。LINEヤフー株式会社 ビジネスPF企画本部本部長の門田勘太朗さんと株式会社メルカリ Growth Platformマネージャーの丸山素良さんをお招きし、理想のPdMの体制やプロセスのあり方について考えました。

メルカリでは、プロダクトづくりをより円滑にするため、TPM(テクニカルプロダクトマネージャー)を導入しているそう。TPMはPdMでありながら、プロダクトビジョンと連携した高度な設計を行うエンジニアやエンジニアリングマネージャーと一緒にプロジェクトを追求できる存在です。TPMがいることでチーム全体への意識を届けることができ、中長期的な目線で課題解決を図っているようです。また、「意識を共有するのに効果的なのは、“組織ごとにミッションを分けること”」だと門田さんは言います。小さな組織単位で意識をすり合わせることで、組織全体にまでやりたいことが伝わるとのこと。丸山さんも意識をすり合わせることの大切さは業務で実感しているようで、「定義すると議論が生まれてしまうので、定期的にすり合わせ、課題を共有することもポイント」と語りました。

しかし、仕組みを工夫してつくっても問題は起きがち。壁に当たった際に大切なのは、「“なぜ”を繰り返すこと」だと丸山さんは言います。壁に当たったときほど、課題を見る視点を変えることが必要であり、それによって新たな魅力にも気付くことができるとのことでした。 他の解決策として門田さんがあげたのが、成功体験を重ねること。どんな小さなことでも、 チームのなかで賞賛し合うことは成功体験になります。そんな成功体験を重ねることで意見が出しやすくなり、様々なアプローチから課題解決を導くことにつながるのだとか。

最後に丸山さんは、「企業が違っても悩んでいるポイントには共通点があるものなので、自分の道が間違っていないと思っていただけると嬉しいです」とコメント。門田さんも「プロダクトを良くするアプローチについては長年向き合ってきました。会社に人が増えていくと今回のテーマのような悩みはつきものです。だからこそ、このような場を通し、協力しあえたらうれしい」とメッセージを送りました。

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さまざまな企業のPdMによる数々のセッションや交流を通じて、改めてPdMが果たすべき役割や可能性に気付くことができたカンファレンスとなった本イベント。課題解決の中心を担い、未来をつくっていくためのヒントにあふれていました。

今回、イベントを開催したリクルートのプロダクトデザイン室は、多様なデザインのプロが集合知を活かし合い選ばれるサービスを生み、育て続け、カスタマー・クライアントの今日よりも明日をもっとよくしていくことを目指し、一般消費者(カスタマー)や企業(クライアント) にプロダクトやサービスの改善・計画を展開しています。いわば、プロダクトの縁の下の力持ちです。そんなプロダクトデザイン室への中途採用も積極的に行っているようです。この機会にチェックしてみてはいかがでしょうか。

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[PR]提供:リクルート