基幹産業の1つとして日本のものづくりを支える「製造業」。みなさんは、そんな「製造業の働き方」についてどのようなイメージを持っていますか?「体力的にキツそう」「残業が多そう」などの印象を持っている人もいるかもしれません。そこで今回は、マイナビニュース読者が思う「製造業の働き方」について、実際の職場ではどこまで本当なのか、そのなかで働いている人に直撃してみました。
読者313人に聞いた! 製造業の働き方に対するイメージ
まず、マイナビニュース読者313人を対象に「製造業の働き方のイメージ」について聞いてみました。結果は、「体力が必要」と回答した方が最も多く、次いで「休みが取りにくい」「残業が多い」といった勤務時間、勤務体制について不安を感じているような回答が続きます。「安定している」や「スキル向上がはかれる」などのポジティブなイメージもある一方で、「風通しがいい」や「教育制度が充実している」といったイメージを持っている方は少なく、閉じられた空間という印象や人材育成への期待度の低さが見受けられました。
一方で、製造業の働き方や企業としての価値観、人事制度などは、今の時代に合わせて大きく変化しています。そこで今回は製造業のリアルを探るべく、グローバルな自動車メーカーである日産自動車に協力してもらい、実態を調査することにしました!
・イメージ②「年齢や性別による格差がありそう」→エンジニアとして活躍するA.Fさんのケース
・イメージ③「働き方改革・グローバル化が進んでいなさそう」→多国籍の社員コミュニティを率いるD.Oさんのケース
日産自動車って?
1933年に神奈川県横浜市にて創業し、世界160以上の国や地域で商品・サービスを提供する自動車メーカー。「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける。」というコーポレートパーパスの実現のために、「日産リーフ」や「アリア」「サクラ」などの100%電気自動車や、e-POWERをはじめとした先進の電動化技術、プロパイロット等の自動運転化技術等を通じ、お客さまと社会に新たな価値を提供するべく取り組んでいる。
イメージ①「仕事と私生活のバランスが取りづらそう」
31歳・女性:休みが少なそう
34歳・男性:シフト制での勤務が多く、ワークライフバランスが取りにくいイメージ
仕事の価値観のなかでも優先順位が高いとされている「ワークライフバランス」。製造業では「休みが少なそう」「私生活とのバランスが取りにくそう」といったイメージが持たれていますが……。
聞くと、日産では様々な制度を導入して社員のワークライフバランスをサポートしているのだそう。今回は、5ヵ月間の育児休業(以下、育休)を取得したY.Mさんにお話を伺いました。日産自動車は働くパパとママにどのようなサポートをしているのでしょうか?
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Y.Mさん
2004年入社 車両計画・車両要素技術開発本部 車体技術開発部 ドア・機構要素技術開発グループアシスタントマネージャー |
――Y.Mさんは5ヵ月間の育休を取得されたとお伺いしました。周囲の反応はいかがでしたか?
全社必須研修などを通じて、育休に関する知識や心がまえは周知されているので、周囲から「え!? 育休を取るの?」という雰囲気はありませんでした。むしろ後輩からも「先輩や上司が率先して取ってくれると、自分たちも育休を取りやすい雰囲気ができて嬉しい」と言われたほどです。
国の推奨もあって、自分の周りでも育休を取得する男性社員を少しずつ見かけるようになりました。これから産休・育休に入る人を対象に『プレパパママセミナー』と呼ばれるイベントも社内で開催されていて、育児と仕事の両立を見据えた中長期でのキャリアプランを考えるヒントになるとして、男女問わず参加者が多いと聞いています。
――育休取得にあたって不安はありませんでしたか?
正直、今後のキャリアアップなどを考えて不安がなかったというと嘘になります。そんな不安を上司も感じてくれたのか、実際に育休に入ったあとは、月1回30分ほど上司とオンラインで話す機会を設けてもらいました。今の職場の状況について把握したり、子育てについて話したりすることができ、おかげでスムーズな復帰につながったと思っています。比較的早く日々の業務に追いつくことができ、復職後すぐに海外出張にも行ったほどでした。
――そのほかに、日産自動車で働くうえで「ワークライフバランスが取りやすい」と思うところがあれば教えてください。
コロナ禍で在宅勤務という文化が会社に根付いたので、「仕事=出社」でなくなったのは大きいですね。在宅勤務でもCAD(コンピューター支援設計)が使えるくらいIT環境は整っていますし、会議もほとんどオンラインになりました。
また、休みの取りやすさや柔軟性の高さも働きやすさにつながっていると思います。例えば、子どもが急に熱を出したなどの場合、以前は半日か1日の休みを取るしか選択肢がありませんでした。ですが今は、通常の有給休暇とは別に取れる「ファミリーサポート休暇」があり、1年間に最大12日間、1時間単位で取得できて非常にありがたいです。私のような育児目的だけでなく、結婚や出産、介護、不妊治療等、家族のために使うことができます。
――1時間単位で取得できるのは魅力ですね! 最後に、製造業に興味・関心を持っている読者にコメントをお願いします。
製造業に限らないことかもしれませんが、会社として社員のワークライフバランスを重視する企業が増えてきていると感じます。そのなかで、パートナーと一緒に育児のスタートを切るためにも、育休の取りやすさは大切な指針の一つになると思います。 子どもが生まれたら「いつ(育休)取るの?」といったポジティブな会話が当たり前になると良いですよね。私自身「まずはあまり考えすぎに取ってみたら?」と周りにアドバイスするようにしています。業界のイメージにとらわれず、各会社の制度や取り組みの実態に注目して、ご自身のワークライフバランスを大切にしていただければと思います。
イメージ②「年齢や性別による格差がありそう……」
36歳・女性:女性は働きづらそう
31歳・男性:男社会の気がする
一人ひとりが、性別や年齢に関係なく評価され、キャリアを積むことができる職場が理想的ですよね。アンケートでは製造業は「年齢や性別による格差がありそう」といったイメージが上がりましたが、実際はどうなのでしょうか……?
日産自動車でエンジニアとして活躍しているA.Fさんにお話を伺いました。
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A.Fさん
2009年入社 内外装技術開発本部 HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)部品設計 アシスタントマネージャー |
――外装設計などに携わっているとお聞きしました。もともと車の設計などの仕事を目指していたのですか?
ファッションが好きで、アパレル業界に興味はあったのですが、理系科目が得意だったことから大学は理系の道に進みました。将来のキャリアを考えた際に、自分自身の好きなことに携わりたいという想いがあり、それならばデザイン色が強い仕事が自分に合っているのではないかと思ったんです。そこから、どういう会社、職種であれば自分のやりたいことができるかを考えて絞り込んでいきました。
エンジニアというと現場で機械をいじるイメージがあるかもしれませんが、実際はデザイン業務を行うなど、オフィスで働く仕事も「エンジニア」としての働き方です。日産自動車であれば、エンジニアとしてデザインや装飾にも関わる仕事ができると思い入社しました。
――読者アンケートでは「性別や年齢による格差がありそう」という回答がありました。A.Fさんは日産自動車で働くなかで、そのような違いを感じたことはありますか?
私はこれまでのキャリアのなかで、日本だけでなくフランスでも働いた経験があり、日本では車の外観の設計をする外装設計を、フランスでは部品開発の統括業務などをしていました。どちらも女性の割合が少ない職種・職場でしたが、私自身は自分が「女性」であるがゆえの働きづらさを感じたことはほとんどありません。
個人的には、働きやすさや働きづらさは、「性差」というよりも自分の置かれている環境や周りのメンバーとの関係性、仕事の充実度や満足度によるところが大きいと思います。これまで、男女だけでなく年齢に関しても、日産入社当時から面と向かって尋ねられることは一切なかったですし、卒業大学についても聞かれませんでした。そういった自ら発信しないプライベートな領域に関して、質問されたり質問したりする環境はなかったですね。
このようななかで、私自身これまでエンジニアとして経験を重ね、キャリアを積み上げてきました。日産は、性別も国籍も関係なく、個人の考え方を尊重し、夢や達成したいことに対して公平にチャンスがある会社だと思います。
――性別や年齢にとらわれない会社や働き方を実現するためには、どのような意識や価値観が必要だと思いますか?
今、様々な会社が「企業文化や働き方の改善」に対して真剣に取り組んでいると思います。それが大切である一方で、一人の社会人としては、仕事や働き方に対する考えを柔軟にとらえることも必要なのではないかと考えます。
例えば、私が駐在していたフランスでは、仕事に対するアプローチがまったく違っていました。自分や家族との時間が最上級にあって、それを支え、日々を豊かにするためのツールが「仕事」という考え方なんです。なので、性別や年齢にとらわれないことはもちろんのことですが、あわせて「自分の人生がすべて仕事で決まるわけではない」という広い視点や柔軟な考えを持つことも意味があるのではないでしょうか。そうすることで様々な考え方があり、働き方があることが当たり前だと思える一歩となると思います。
――最後に、製造業に興味・関心を持っている読者にコメントをお願いします。
「製造業」と聞くと馴染みがなくイメージが沸かない方が多いと思いと思います。私たちの商品はクルマなので、クルマを製造・販売することが主ですが、実際には、私のようにテクニカルセンターや海外拠点で部品開発に携わったりする職種、他には、商品を企画する、クルマをデザインする、世界中を飛び回って部品を調達する職種等、様々なフィールドで働く人たちが集まって一つの商品を作り上げています。
自動車は部品の総点数が30,000を超える商品であり、なによりも、人の命を預かるものです。『1台のクルマ』として皆さんが運転するに至るまでの過程には、実に様々な種類の仕事に関わる大勢の社員が関わっています。「製造業」という業種でひとくくりにするのではなく、ぜひそうしたそれぞれ異なる職種にもフォーカスを当てて見てもらえると嬉しいなと思います。
イメージ③「働き方改革・グローバル化が進んでいなさそう」
27歳・女性:昭和の古い価値観や人間関係がありそう
36歳・男性:昔ながらの考えがまだ残り、現代の流れにまだまだ取り残されている企業が多いように思います
最後は、読者アンケートの「働き方改革・グローバル化が進んでいなさそう」というイメージ。「古い価値観や人間関係がありそう」「前時代的な考えがまだ残っているイメージ」……と、かなり辛辣な回答。実際はどうなのでしょうか?
日産で働く人の国籍の数は、なんと100以上! 多様な価値観を持つ社員が集まり、それを尊重し合う企業文化を根付かせようとしています。そこで、日産自動車におけるこうした様々な取り組みについて、人事部門のD.Oさんにお話を聞きました。
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D.Oさん
2020年入社 人事本部 グローバル・タレント・マネジメント部 アシスタントマネージャー |
――現在、日産では100以上の国籍の人たちが働いていると伺いました。
私は中途入社で日産に入りましたが、その多様性に富むメンバーにまず驚きました。最初に人事担当に就いたのは、海外で展開する「INFINITI(インフィニティ)」という車種ブランドを扱う部門であり、メンバーの70%がノンジャパニーズという職場で、世界22か国から集まって一緒に働く、まさにダイバーシティな環境でした。また、現在私が在籍しているチームのメンバーは15人ほどですが、日本のほかフランス、イギリス、ルーマニア、アメリカ、オーストラリア、インド、中国、韓国、シンガポール……と、ほとんど全員の国籍が違います。
――様々な国籍の人たちが働くことによる良さはどういったところにあると感じますか?
私が一番感じるのは“活気”です。文化的背景の異なる人たちが集まり、母語以外を使いながらも、相手を尊重して気兼ねのない意見交換や活気のあるディスカッションによって、まったく新しいアイデアや価値が生まれることがたくさんあるんです。まるで虹色のように、カラフルでポジティブな空気が生まれると思います。
――お話を聞いていると、普段から風通しがいい社風があるように感じました。
毎年、全社員を対象にした従業員意識調査が行われていますが、人事をはじめ役員層はその結果を重視しており、それをもとに真摯に対応策が作られていると感じます。
ハラスメントなどの相談・通報のための専門窓口もあり、オフィスの中の目につきやすいところに関連するポスターや掲示が出ているなど、社員にとって身近なものになっていると思います。専門の部署に直接、確実に声を届けることができます。
――D.Oさんは、様々な国籍の人のために社員コミュニティグループを立ち上げ、運営していると伺いました。
一人ひとりが自分らしく活き活きと働くためには、多様性が“ある”だけでは不十分で、インクルージョン、つまりそれが受け入れられることがなにより大切です。日産では最近「従業員リソースグループ」と呼ばれる社員コミュニティの活動が本格的に始まりました。同じ興味・関心事や、価値観などを持つ社員が主体となってテーマに沿って活動するもので、現在「マルチカルチャー」「ジェンダー」「LGBTQ+」「ワーキングペアレンツ」の4つのグループがあり、私は「マルチカルチャー」のリーダーを務めています。
日産では、共通の志を持つ仲間たちとコミュニケーションがはかれる場として、こうしたグループへの参加を働きかけており、こうした活動は部門や地域を超えた社員同士のつながりを築き、多様な社員の声を組織に反映することにもつながります。
――具体的にどういった活動をされているのでしょうか?
50人を超えるメンバーと一緒に、国籍や文化的背景・語学力に関係なく一人ひとりが能力を発揮できるよう、職場での文化的多様性とインクルージョンを推進しています。直近では「カルチュラル・セレブレーション」と題して、世界の各地域で大切にされている文化的なお祝い(ディワリ、クリスマス、旧正月など)を行う活動をしています。社内の垣根を越えて様々な人が参加することが大きな魅力です。
――最後に、製造業に興味・関心のある読者にコメントをお願いします。
製造業はものづくりの担い手として日本としての「誇り」にも結びつくような大事な産業だと思いますし、そこに直接的に貢献できることには魅力を感じます。そして、自身の会社が作りだした商品を自分の目で見られるという経験は製造業ならではあり、自分にとっても家族にとっても大きな喜びにつながると思います!
これからの「働き方」のキーワード
一見働きやすさに関してネガティブなイメージも持たれがちな製造業ですが、実態は様々な制度で働きやすい環境づくりがされていました。ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平)&インクルージョン(受容)という言葉を耳にする機会も増えてきているなか、今回紹介した日産自動車が目指すのは、まさに誰もが価値ある存在として認められそして尊重される、多様性に富んだ、公平でインクルーシブな職場づくりです。
こうした環境や働き方は、マイナビが現在就職活動中の学生に向けて行った「会社選びで重視したいポイント(※)」で上位に挙がった回答とも一致する内容。「楽しく働きたい」や「個人の生活と仕事を両立させたい」「人のためになる仕事をしたい」等、今の世の中では働く人それぞれの考え方やライフスタイルに合った環境や仕事に就くこと、そして環境づくりが非常に大切であるといえます。
時代の流れ、働き手の意識の変化に対応し、多様な従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮することを目指して挑戦を続ける日産自動車。そこにはきっと、読者のみなさんにマッチした職場や仕事があるのではないでしょうか。
(※)マイナビ 2024年卒大学生就職意識調査
調査期間:2022年12月1日~2023年3月26日
調査対象:2024年3月卒業見込みの全国大学3年生、大学院1年生(調査開始時点)
調査数:41,197名
調査方法:WEB入力フォームによる回収
調査時期:2024年1月24日~2024年1月26日
調査対象:10~30代の男女
調査数:313名
調査方法:インターネットログイン式アンケート
[PR]提供:日産自動車