2020年に小学生のプログラミング教育が必修化となり、幼少期からのIT教育にいま注目が集まっています。今回、次世代型ロボットの「LOVOT(らぼっと)」を開発するGROOVE X株式会社 代表取締役社長の林 要氏と、ファミリーロボットの「BOCCO emo」を開発するユカイ工学株式会社代表の青木 俊介氏にインタビューを実施。

ロボット開発において第一線で活躍しているお二人に、幼少期の経験を振り返っていただきながら、「子どもの教育で大切だと思うこと」についてお話しいただきました。

  • ファシリテーターは関口由依さん。関口さんは以前GROOVE Xにてマーケティング・CX領域に従事、現在はレノボ・ジャパン合同会社でSNSマーケティングを担当している

関口さん:まず、自己紹介をお願いします。

林さん:GROOVE X株式会社の創業者・CEOの林 要です。最先端のテクノロジーが詰まった心を満たすロボット「LOVOT(らぼっと)」の開発・販売事業をしています。

青木さん:ユカイ工学株式会社 代表の青木 俊介です。「ロボティクスで、世界をユカイに。」というビジョンをかかげ、「BOCCO emo」、「甘噛みハムハム」、「Qoobo」などさまざまなロボットを開発してきました。

「人と”一緒に”生活するロボット」の原点

関口さん:お二人のロボットは、「人と一緒に生活すること」が共通していますよね。特にこだわったポイントはありますか?

林さん:簡単に言えば「生命感」ですね。人が可愛がりたくなるよう、ロボットに命を吹き込むことです。そのために、多彩なセンサー情報を処理するAI等の情報処理システムに加えて、やわらかさや温かさなどのハードウェアにもこだわっています。

青木さん:私は「一緒に生活したい」と思ってもらえるロボット作りを意識しています。「遊ぶときだけ電源を入れる」ような使い方だとオモチャになってしまいますよね。そうではなく、ずっと電源がついていて、ロボットが家族の一員になれるようにイメージしています。

林さん: LOVOTにも電源専用のボタンがありません。アプローチの仕方に多少の違いはありますが、同じようなコンセプトを大切にしている気がします。

関口さん:お二人がロボットを作ろうと思ったきっかけは何でしたか?

青木さん:中学生のときに観た、映画『ターミネーター2』ですね。映画で登場するAIエンジニアの姿を見て、「かっこいい! 僕もこういう仕事をやりたい!」と憧れるようになりました。

青木さん:あと、小学4年生のときに仲間を集めて電気自動車を作ろうとしたことも原体験になっています。家の近くに自動車の修理工場があったので、自動車の部品が手に入りやすい環境でした。部品を見ていると次第に「自分にも作れそうだな」と思うようになって。お金持ちの同級生を巻き込んで、必要な部品やバッテリーを買ってもらってなんとか人が乗れるようなものを作りあげました。

林さん:スタートアップに必要な「スポンサーを集める」という行動が、自然とできてしまっていますね(笑)。

青木さん:結局坂を下れるくらいの出来栄えで、成功体験にはなりませんでしたけどね(笑)。 ロボット作りをはじめた大きなきっかけは、2005年の愛知万博でした。そこで大企業だけでなくスタートアップ企業も魅力的なロボットを作っていることを知ったのです。ロボットの研究していた後輩と「かわいいロボット作ろうよ」という話になり、ユカイ工学をはじめました。

関口さん:青木さんは愛知万博がきっかけなのですね。林さんはいかがですか?

林さん:私の場合は、昔からロボット開発に憧れがあったわけではありませんでした。ただ未来を担えるテクノロジーとして「何か面白いことはないかな」と探していて、たまたま機会をいただいたのがロボットで。

関口さん:詳しく聞かせてください!

林さん:簡単な経歴をお話しすると、最初は自動車会社にいて、ドイツで「フォーミュラ1」というレーシングカーを開発するなど、エンジニアとしての経験を積みました。その後、日本に帰国し市販車の製品企画に携わります。そのタイミングで、ソフトバンクが次世代リーダー育成のために開講している「ソフトバンクアカデミア」へ学びにいっていました。それがきっかで「Pepper(ペッパー)」の開発に携わることになり、ロボット開発の面白さに目覚めました。

「正解を探り当てる」ではなく、「好きなことを突き詰める」

関口さん:きっかけはさまざまですね。お二人は小さい頃どのような子どもでしたか?

青木さん:小学生のときは工作がとにかく大好きでしたね。工作キットをたくさん買ってもらっていましたし、教室にも通っていました。中学生のときに『ターミネーター』を観たことがきっかけで、プログラミングに興味を持ちはじめました。でも、なかなかパソコンを買ってもらえなくて……。親を説得するのに1年もかかりました(笑)。

関口さん:青木さんは中学生でプログラミングの世界に足を踏み入れたのですね。

青木さん:そうですね。最初はプログラミングでゲームを作っていました。ただ、当時はプログラミングができる環境を作るのに、パソコン本体に加えて3万円ほど必要で。そんなお金はなかったので、無料体験版を使っていました。ただ、無料版はデータの保存ができなかったので、パソコンの電源をつけっぱなしにして執念でゲームを作っていましたね(笑)。

関口さん:すごいですね……! 林さんはどうでしたか?

林さん:勉強は嫌いでしたが、模型飛行機を飛ばすために航空力学の本を読むような面はありました。中学生の頃に映画『風の谷のナウシカ』に出てくる「メーヴェ」に憧れて、尾翼がない飛行機の模型を作り、家の2階から飛ばしていました。何度か調整すると、風がない日はよく飛ぶようになるのですが、少し突風が吹くと回転して落下してしまいます。そのときいろいろ考えて、「これは僕の手に負えないな」と大きな挫折を経験しました。

関口さん:お二人ともやりたいことがあると一直線に取り組みますね。

林さん:やりたいことが思い浮かんだら、深く考えずにとにかく形にしていました。で、普通に挫折を経験しています(笑)。ただ純粋に「作りたいものを思いついたから、作りたい」という気持ちでした。

青木さん:憧れるものがあると「自分にもできる」と勘違いできるのは、子どもならではかもしれないですね。

林さん:お話をお伺いしていて、青木さんも私も似たところがあるように思うのですが、私たちは勘違いと失敗を繰り返して大人になってきているので、その分学んだことも多いのかもしれないです。

関口さん:親御さんの教育方針が気になります!

青木さん:好きなことをやっているときは傍で見守って、なるべくやりたいようにやらせてくれていました。「あれをしなさい、これをしなさい」とはあまり言われませんでしたし、何かを禁止された経験もありませんでした。

林さん:私は全然勉強しなかったので、さすがに「勉強しなさい」とは言われていました。漫画を2階の窓から捨てられるとか(笑)。教育方針ではありませんが、父親の背中に影響を受けた部分が大きいように思います。

関口さん:どのようなお父様でしたか?

林さん:父は電動工具会社に勤めていて、モノづくりが好きな人だったんです。私が小さいとき、いとこからで5段階変速の自転車をもらったことがありました。でも、おさがりだったので、使い古されていてボロボロで。父に新しい自転車をねだりました。すると、「ちょっと待って」と、ギアを加えて15段階変速の自転車に改造してくれたんです。父が常に想像を超えることをやって見せてくれたので、「おねだりするのではなく、自分でやってみないといけないんだな」と子どもながらに思いましたね。

関口さん:なかなかない経験ですね……!

林さん:あと、自分がほしいものはあまり買い与えてもらえなかった記憶があります。当時流行っていたゲームも買ってもらえなくて、友達の会話にもついていけませんでした。

青木さん:そこは、私も似ている部分があります。周りの友達はパソコンを持っていたのに、自分はなかなかパソコンを買ってもらえなかった経験があるので。でも面白いことに、パソコンを持っていた同級生たちが必ずしもIT業界に進んでいったわけではないですよね。私みたいに買ってもらえなかった欲求不満感が、大人になっても執着し続けられる力になっているのかもしれません。

林さん:「やっちゃだめ」と言われると興味が沸いてきて、逆に「やりなさい」と言われると興味がなくなるのが”子ども心”なのかもしれないです(笑)。

青木さん:たしかに。私も親の目を盗んでプログラミングをしていました。私が中学生のときはプログラミングという言葉の認知度が低く、「プログラミング=怪しいもの」でした。その怪しさが魅力的に見えたのかもしれません。

子どもが「やりたい」を見つけられる環境を作る

関口さん:子どもの「やりたいこと」を見つけるためには、どうしたらよいでしょうか?

林さん:「正解」を考える癖づけばかりをしないことだと思います。たとえば、「テストで良い点をとる」とか、「良い子でいる」というのは正解を探し求める旅になってしまいます。親の求める「良い子」にはなるかもしれませんが、好きなものを見つける力が弱まる気がします。30年後に「良い子」が活躍できるのかはとても怪しいです。むしろ好きなものを見つけ、没頭する力の方が重要になるかもしれません。

青木さん:子どもが「やりたい」と自然に思えるものを見つけられるように、親が手助けをするのがいいと思います。私の親の例で言うと、子どもにいろんな刺激を与えるために、毎週末さまざまな場所へ連れて行ってくれました。その中で私の反応が良かったものをどんどんやらせてくれたので、好きなものができていったように思います。

関口さん:まずは「好きなもの」を見つけることが大切なんですね。

林さん:「好き」という感情は太陽のようなものです。太陽の方にしか植物が育たないように、子どもが好きなことでなければ能力は育まれていきません。そもそもプログラミング好きな子は放っておいても興味を持つと思います。

青木さん:私たちが開催している夏休み中の子ども向けロボット製作イベントでは、まずは「モノを作って動かす」というのが目的で、その手段の1つとしてプログラミングがあるという話をしています。「動かすことが楽しい」と思ってもらえることが最初の一歩です。

林さん:LOVOTを導入した小学校でも、LOVOTを好きになったことがきっかけでプログラミングに興味を持った子がいました。プログラミングが目的の授業だと興味が持てない子も、LOVOTという好きな存在を動かすためならプログラミングをしてみたくなるんですよね。

林さん:プログラミング教材に興味を持ていない子どもにもプログラミングを学ばせたいと思ったら、親御さんはゲームの「マインクラフト」とユカイ工学の「ユカイなパチパチブロックキット」と「LOVOT」の3つを与えてみてください(笑)。この3つがあれば少なくともどれか1つに興味を持つと思います。それぞれプログラムで動くものですが、まったく違う特徴があります。自然と「プログラミングを学びたい」という思いも高まり、自らプログラミング教材にも興味を持つようになるでしょう。

関口さん:「好きこそものの上手なれ」ですね。本日はありがとうございました!

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お二人のお話から、子どものときはいろいろなことにチャレンジして「好き」を育てることが大切だと分かりました。親は子どもが興味を持ったものに集中できるように環境を作ってあげましょう。 そこで今回、子どもでも楽しくプログラミングを学べる、レノボ・ジャパンの『みんなでプログラミング』をご紹介します。

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