世の中のニーズは、時代の流れとともに移り変わるもの。特に現代のような変化が早く激しいなかでは、目まぐるしい社会情勢を正確にキャッチし、そのニーズを把握しなければならない。

世界は過去においても大きな激動を何度も経験してきたが、それらの激動に匹敵する変化の時代を迎えている今、企業が“次世代”につないでいくために必要なことは何なのだろうか?

最新のテクノロジーやグローバルのネットワークをいかし、企業の長期的な成長・発展を支援するEY ストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EY)のビジネスコンサルティング部門でパートナーを務める髙見陽一郎氏に考察してもらった。

EY ストラテジー・アンド・コンサルティングとは?

「価値観の大転換」に順応できる企業だけが生き残る

今は歴史的な「価値観の大転換」が起きていると髙見氏は指摘する。

価値観の大転換とは、社会活動および企業活動の「前提」や「目指すものとして正しいこと」が大きく変わること。そのような状況では、ビジネスモデルやサービスモデルの変革を通じ、新しい環境に順応できた企業だけが生き残り、成長を遂げることができる。

ちなみに「価値観の大転換」に日本が直面するのは、初めてのことではない。例えば、今から約150年前。徳川将軍家のもとで約250年にわたって安定していた日本は、西洋列強の帝国主義の荒波に揉まれ、明治維新によって富国強兵への道を歩み始めた。当時を生きていた人たちは、まるで世界が変わってしまったような感覚を覚えたことだろう。

また、それから約75年後には太平洋戦争の終戦を迎えた。敗戦により、日本は「強い国づくり」から「経済的に豊かな国づくり」へとシフト。世界を相手に高度経済成長を遂げるうち、ここでも価値観の転換が起きた。

上記の事象は日本の視点で見ているが、過去におけるこれらの変化は決して日本国内の「コップの中の嵐」ではなく、世界の流れの中での動きと捉えるべきであろう。「グローバル化」が進む現代においては、地球規模で起こっている様々な事象からの影響を益々受けることになる。

そして、終戦の昭和20年から、さらに75年後の2020年が過ぎ、私たちはまさに次の大転換の最中にいる。

社会課題の解決なくして企業の成長はなし

そして、今や「社会課題」と「企業課題」は密接な関係にある。「社会課題」の解決なくして「企業課題」の解決を語ることはできないというのがEYの考えだ。

確かに、ESGの台頭や米中対立の基軸は経済活動を世界的に変えているし、SDGsに象徴されるようなサステナブルな社会の実現に寄与することが企業には強く求められている。

現在の「社会課題」は日本国内のみならず、世界共通であり、まさに人類共通。企業は、それを踏まえて戦略や計画を策定しなければならない。「社会課題」の解決によってこそ、企業はグローバルな規模で“次世代”につないでいけると髙見氏は力を込める。

社会課題の解決を通じ、日本企業と日本経済の復活を支援

そんななか、コンサルティングを業とするEYは、どのような付加価値を社会に提供していくべきなのかを模索した結果、「次世代に引き継ぐ、新たなビジネスモデル、サービスモデルの創出を支援する」というビジョンを掲げている。そこには、社会課題の解決支援を通じ、日本企業の生き残りと日本経済復活へ貢献をしていきたいという思いが込められているそうだ。

では、具体的にどのようなアプローチが有効なのだろうか? 引き続き髙見陽一郎氏に話を聞いた。

EY ストラテジー・アンド・コンサルティングとは?

――まず、御社の事業内容について教えてください。

当社は総合コンサルファームとして、クライアント企業の課題解決のために、各業界知見、テクノロジー、ビジネス、人事など様々な領域の専門家を擁し、戦略策定から実行支援にいたるまで、幅広くサービスを展開しております。

「ビジネスコンサルティング」をはじめ、先進的なIT技術で変革を促す「テクノロジーコンサルティング」、人事・組織に特化した「ピープル・アドバイザリー」が3つの柱です。これら各領域の専門家集団と、各業界の専門家がそれぞれの知見をあわせ、クライアント企業の課題解決を支援しています。

このうち、ビジネスコンサルティングは、具体的には、企業改革のロードマップ策定から、組織・業務改革のコンサルティング、サプライチェーンの変革などに対応しています。また、当社は、ビジネスコンサルティングにリスクアドバイザリーを含んでいるのが大きな特徴のひとつです。

――企業の課題を解決するため、ビジネス全般をカバーするコンサルティングサービスを提供されているのですね。そこでお聞きしたいのですが、価値観の大転換期にある今、どのようなアプローチが有効なのでしょうか?

それをお話しする前に、当社の理念をお伝えできればと思います。もはや日本はバブル崩壊から「失われた30年」と言っても過言ではありません。つい最近まで1989年の株価が史上最高値でしたし、初任給の金額は私が20代の頃と比べてほぼ横ばいです。世界ではGAFAに代表される新興企業が伸び、日本はさまざまな分野で韓国や台湾といった新興国の勢いに後塵を拝しています。

たとえば、“Data Is the New Oil”と言われ始めて久しいですが、ビッグデータの活用が企業においても欠かせません。今は価値観の大転換期にあり、変革は待ったなし。当社は社会課題と経営課題の解決を目指し、様々な領域の専門家と各業種・業界の専門家が協業することによって、クライアントに最大のバリューをお届けするという課題解決型アプローチを徹底しています。

複雑化した社会課題や経営課題の解決のためには、様々なソリューションの組み合わせに加えて、深い業界知見に裏付けられたコンサルティングサービスを提供することが必要です。

その結果として、日本のコンサルファームとして、日系企業の新しいビジネスモデルやサービスモデルの創出や、そこに向けた改革を支援していきたいと考えています。 内外の経営環境の変化スピードもさることながら、将来予測が非常に難しい時期に企業は直面しているのではないかと思います。これに対応するためには、複合的な課題に対応して、企業自身が変革を推し進めるための組織や仕組みを自身の中に組成し、そのための人材を確保・育成していくことが必要になります。

たとえばこうした状況に対応するための手段の一つとして、企業の課題解決のために複数領域の専門家が協業し、また、経営者のニーズに応じて複数のソリューションを組み合わせた「Global Business Service(GBS)」が挙げられます。

――「Global Business Service(GBS)」とは、どういったものですか?

GBSは、グループ内の業務を集約・標準化するという意味においては、シェアードサービスに似ているものです。しかしながら、シェアードサービスが間接部門のコストを下げて企業の収益性を上げる目的であるのに対し、GBSは単に業務を集約するのではなく、日に日に進化するテクノロジーを活用しながら企業の変革をリードする戦略的組織である点が大きく異なります。

刻々と変化する経営環境に対応するために、業務を効率化するだけでなく、Digital Transformation(DX)を推進して仕事の仕方を根本的に変えたり、ビジネス部門に対してこれまでにはなかった情報や分析を提供したり、常に早い変化が求められるビジネスニーズに柔軟に対応したり、といった変革をリードする組織が求められています。

――GBSの導入事例があれば教えてください。

あるクライアントの事例ですが、グループ内にGBSを作るプロジェクトが3年ほど前にスタートしました。当社は、当該GBS組織の戦略策定から、設置場所の選定、どういった業務・情報・人を集約すべきかの提案、新業務の設計など、組織の設計から運用定着までを一貫して支援させていただいています。

コストの軽減はもちろんですが、内部統制の強化や業務の効率化も重要な目的です。こういった取り組みは一朝一夕に成果が出るものではありません。しかし、成功体験としてクライアント内で評価されれば2カ所目以降のGBSを作るスピードが加速し、それに伴って早期に目的が達成されるのではないかと期待しています。

――たくさんの企業を支援するうえで大切にされていることは何ですか?

現在のような価値観の大転換期においては、取り巻く常識が変わっています。わかりやすいのが環境問題です。数十年前なら企業はあまり気にしていなかったはずですが、今はそうはいきません。企業戦略、提供サービス、モノづくりやサプライチェーンを考える上でも環境問題を無視できなくなっています。

このように価値観が変われば、企業の意思決定に大きな影響を与えるものです。その傾向は年々強くなっていますので、「社会課題の解決を通じて、企業課題の解決につなげていく」というスタンスを愚直に貫きたいと考えています。

――先ほどGBSに関連して「一朝一夕に成果が出るものではない」と仰っていましたが、仕事をしていてどういったところにやりがいを感じますか?

「あのときに変革を支援したから、クライアントは世の中に新しいサービスを提供できているんだな」と、後から振り返って感じる達成感が何よりのやりがいです。この長期的な達成感を大切にしつつ、ひとつずつの短期的なプロジェクトに力を尽くしていきたいです。

――お話を伺っていると、世の中の価値観の変化を敏感に察知することが求められるように感じます。御社のようなコンサルティングファームで活躍するには、どのようなスキルや心構えが必要なのでしょうか?

ロジカルに考える力やコミュニケーション能力といった基礎的なスキルに加え、新しいものへのチャレンジを具現化して提案する力が今後ますます必要になってくるでしょう。また、成果が出るまで時間がかかるケースが多いので、クライアントに寄り添って最後まで変革をやり抜くコミット力も非常に大事です。

――最後に、どういった未来を創っていきたいか、展望をお聞かせください。

概念的な話になってしまいますが、人々が将来に不安を感じない社会を創りたいですね。経済的安定を支える政治分野は支援しにくいものですが、例えば、地方創生について当社は付加価値を多分に提供できます。総合コンサルファームの強みをいかしながらさまざまな分野を支援し、将来の安定を感じ取ることができる社会の創造に貢献したいと考えています。

企業が“次世代”につなぐには、変わることが至上命題

価値観の大転換期を迎えているのにもかかわらず、変革ができないでいる企業は少なくないのが実情だろう。そのことが、日本全体の成長を鈍化させてしまっている要因かもしれない。

企業が“次世代”につなぐには、変わることが至上命題。それを支援するEYには、社会をドラスティックに動かそうとする使命感がみなぎっている。

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