今春、ボクシングの歴史が変わる。4月9日(土)にさいたまスーパーアリーナで、ボクシングWBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(36=帝拳)と、IBF同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)の対戦がようやく実現するのだ。

当初この試合は、昨年末の実施が予定されていた。日本ボクシング史に語り継がれるであろうビックマッチとして注目を集めていたが、新型コロナウイルスの影響でやむなく延期に。期待が高かった試合だけに、ボクシング界には衝撃が走り、ファンからは悲しみの声が溢れた。それだけに、この対戦の実現がありがたく、待った分だけ楽しみが増した、必見の試合なのである。

村田とゴロフキンの対戦は国内では過去最大級の興行

本場ラスベガスで活躍したボクシング界のスーパースター・ゴロフキンが来日するというだけでも驚きだが、かつて筆者のジムメイトだった村田との対戦とあって、興奮が隠せない。

この試合が日本のボクシング史上に語り継がれるであろうビッグマッチといわれる理由として、その興行の規模も挙げられる。特にミドル級のトップボクサーは、1試合で驚くほどの金額を稼ぐ。

今回村田と対戦するゴロフキンは、米経済誌フォーブス(電子版)によると2019年の年収は約27億円(※)。また、映像配信サービス「DAZN(ダゾーン)」と6試合で約104億円の大型契約を結んでおり、単純計算しても1試合あたり約17億3,000万円以上のファイトマネーと推定できる。
(※)2019年時点のレート換算。

過去に日本で開催された世界戦として有名なのは、1990年の元統一ヘビー級王者マイク・タイソンの防衛戦だが、村田が所属する帝拳ジムの本田明彦会長によると「時代も違うけれど、タイソン戦の時よりも今回の試合の方が(総費用は)かかっている」とのこと。村田とゴロフキンの対戦は日本国内の興行として、過去最大級といえるだろう。

追い求めた舞台で村田は最強を示せるか

村田とゴロフキンとの対戦は2019年に実現する可能性があったが、調整は難航。ようやく実現するかと思った矢先に、新型コロナウイルスによる延期が決定。ようやく実現したこの試合は、村田自身が「プロに来て8年、追い求めて来た舞台」というほどの最大の挑戦であり、日本ボクシング界にとってもターニングポイントとなり得る“絶対見るべき熱い試合”なのだ。

村田もモチベーションを下げることなく、来るべき対戦の日まで調整を重ねてきた。ここ数年は感染状況によりなかなか試合を組めず、当対戦が2年4か月ぶりの試合となる。村田自身にとっても歯がゆい期間だったかもしれないが、そのぶん、パワーアップした姿を見せてくれるに違いない。

ボクシングWBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(36=帝拳)

村田は2014年のプロ5戦目の前にゴロフキンのトレーニングキャンプに参加している。当時を振り返って「彼はとても紳士的で尊敬できる人だった。スパーリングはトータルで7ラウンド。彼と僕の実力差は、本当に雲泥の差でした」と語っている。

そこから村田も着実にキャリアを積み、時には悔しい思いをしてプロのリングで戦ってきた。「ようやく(自分が)ふさわしい実力になった。」と、ずっと追いかけてきた存在とついに対決することになったのだ。対戦会見では「世界タイトルを取ったときに上にいるのはゴロフキンしかいない。ずっと見てきた選手なので、拳を交えるのが楽しみ」と静かに闘志をたぎらせていた。待ち望んだ試合であればこそ、普段の実力以上の力を発揮できるのがボクサーというもの。その闘いぶりに期待したい。

“生きる伝説”ゴロフキンとは

フルネームはゲンナジー・ゲンナジーヴィッチ・ゴロフキン。頭文字をとったニックネームのGGG(トリプルジー)の愛称で親しまれている。 彼の経歴はほかのボクサーとは一線を画する。アマチュア時代は2003年世界選手権で金メダル、2004年アテネ五輪で銀メダルを獲得。プロデビュー後は、強打を武器に世界戦を含め23試合連続KO勝利という金字塔を打ち立てた。2010年にWBA世界ミドル級タイトルを獲得してからは、19度の連続防衛記録も作った。まさに“生きる伝説”級の選手、そして史上最大級の敵なのである。

IBF同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)

また、強さだけではなく、人柄にも魅力がある。反則行為やクリンチ(※)をしない彼のスタイルはアメリカでも人気があり、ファンサービスも素晴らしく、人格者としても人気が高い。破壊力がありながらクリーンなプレースタイルと紳士的な人柄で、村田も尊敬し、目指し続けていた凄まじいボクサーだ。


(※)相手の攻撃を避けるためにすばやく接近、あるいは抱きつく防御法。反則行為ではないが、試合の見栄えが悪くなる行為。

“日本ボクシング界の常識を覆してきたパイオニア”村田

一方村田は、アマチュア時代には2012年のロンドン五輪で、日本人として48年ぶりに金メダルを獲得した。五輪での金メダル獲得は、プロで世界王者になるより難しいといわれており、現在プロで大活躍している井上尚弥や井岡一翔でさえ、五輪出場すら叶わなかったほどだ。

そして、プロ入りから4年ほどでWBA世界ミドル級の王座を獲得。小柄な日本人にとって戦うことが難しい中量級のなかでも、ミドル級は特に選手層が厚く、最激戦区と呼ばれる階級である。だからこそ、この階級での王座獲得には非常に価値がある。

筆者もかつて村田と同じジムでトレーニングしていたが、当時から日本人離れしたフィジカルを持っていた。村田は合宿などのランニングでは常にトップを走り、長距離走でも、短距離走でも村田に勝てる選手はいなかった。ボクシングの試合における近距離での打ち合いでは、抜群の強さを誇る。特に右ストレートはゴロフキン戦でも大きな武器になるだろう。

歴史的な挑戦、あなたの応援が勝利につながる

試合会場が国内であることは大きなアドバンテージになる。昨年行われた東京五輪でも、日本代表選手たちは過去最多のメダルを獲得した。試合に向けた調整やスタッフからのサポート、また何よりファンからの応援が届きやすい環境は、選手に大きな力を与える。

リングの上に立つためには勇気がいる――。特に強い相手と戦う時は、怪我はもちろん、最悪の場合死ぬかもしれないという恐怖に陥る。試合前は不安で眠れず、試合が決まったその日から恐怖との戦いが続く。

“生きる伝説”が相手ともなると、試合そのものも相当チャレンジングなものになる。ゴロフキンの得意な距離は長距離から中間距離、それに対し村田は近距離を得意としている。相手のパンチを掻い潜り、一歩踏み込むためにはとても勇気がいるはずだ。試合前から試合当日にかけて、筆者の選手時代の経験からも、ファンから届く声援が、大きな支え・チカラになるのは間違いない。

特に村田は「人の期待に応えたい」という気持ちが人一倍強いボクサーだ。試合会場に行ける人もそうでない人も、この日本ボクシング史に語り継がれるであろうビッグマッチに挑む村田をおもいきり応援しよう。きっとあなたの声援がチカラになるはずだ。

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村田も挑戦と位置づけ、「全てをかけて戦う」という決意をしているこの試合。精一杯の応援をして、彼の勝利を後押ししてほしい。Amazon Prime Videoの独占ライブ配信で、熱い戦いと日本ボクシング界の歴史的瞬間を見届けよう!

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執筆者 木村悠
第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン。商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンに。現役引退後は、株式会社ReStartを設立。

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