商品パッケージのエコ化を進め、2021年1月にはサステナビリティ推進委員会を設置するなど、サステナブルな取り組みを加速させる久光製薬。彼らの環境保護への取り組みは、ここ最近始まったわけではない。むしろ、長い歴史を持つ大企業だからこそ、社会的責任を全うすべく、さまざまな活動や工夫を展開してきた。

今回は久光製薬がマテリアリティ(重要課題)として挙げている「環境経営の推進」について、今後の取組や課題を聞くべく、同社のEHS管理委員会、エネルギー管理委員会を代表して、尾﨑太郎氏(執行役員 生産環境本部長)、高取正広氏(鳥栖工場長)、大坪暢人氏(鳥栖工場製造部環境管理課)に話をうかがった。

  • 久光製薬はマテリアリティ(重要課題)として「環境経営の推進」を挙げている

商品パッケージの小型化で年間150トンの紙やプラスチックを削減

「久光製薬は1999年12月にISO14001認証を取得しました。生産活動による廃棄物や、商品使用後の廃棄物の問題などにも事業として取り組んでいます。環境の負荷を低減することも企業の大きな責任だと考えているからです」

そう話すのは、久光製薬の鳥栖工場長であり、統括EHS管理責任者でもある高取正広氏だ。

  • 久光製薬の鳥栖工場長であり統括EHS管理責任者も務める高取正広氏

“ISO14001”とは環境マネジメントシステムの国際規格のことで、これを取得した企業は、環境負荷を低減させる仕組みを継続的に構築しなければならない。久光製薬は「EHSマネジメントシステム」を築き、長年にわたり九州本社や宇都宮工場で、Environment(環境)、Health(健康)、Safety(安全)の一体的な運営・管理に取り組んでいる。

また、今年3月には環境活動のスローガンを「HELLO! eco!」と設定。久光製薬のエコ基準をクリアした商品のパッケージには順次「HELLO! eco!」のマークが表示されている。ここでいうエコ基準とは、従来の商品より薬袋やケースなどを縮小化させた商品や、環境負荷低減に寄与する原材料を使用した商品などを指す。

  • 『ポケシップ』を採用した『のびのびサロンシップフィット』と「HELLO! eco!」マーク

高取氏はこの取り組みの成果について、こう言及する。

「2020年度より順次、商品パッケージの小型化を推進した結果、年間150トンの紙やプラスチックの削減効果を得ています。また、2021年8月には環境に配慮した新パッケージ『ポケシップ』を採用した『のびのびサロンシップフィット』を発売、こちらは包材使用量を約24%カットしました」

2020年度のCO2排出削減実績は、2013年比で27.9%削減

久光製薬は日本製薬団体連合会の低炭素社会実行計画にも参加し、省エネやCO2排出削減にも取り組んでいる。高取氏はその成果について、次のように語る。

「太陽光発電設備を設置したり、高効率水冷チラーや空冷チラーへの更新、また栃木県宇都宮で行っている清原スマエネ事業の参加などによって成果を上げています。久光製薬はCO2の排出削減目標として、2030年までに2013年比で46%の削減を掲げています。なお2020年度の実績は、2013年比で27.9%削減しました」

今後のCO2排出量の削減の課題については「電気使用量の削減や、重油使用量の削減が挙げられます」と主張。これを解決する対策として「照明のLED化、空調などに対する高効率設備の導入、太陽光発電などによる再生可能エネルギーの使用の推進、そしてA重油から液化天然ガスへの切り替えなどによって、CO2の発生の少ない燃料への転換を検討しています」と明かした。

太陽光発電の導入でCO2排出量は年間87.9トン削減

省エネやCO2排出量の削減に向けた取り組みは他にもある。

高取氏によると、久光製薬は九州本社に発電容量は20キロワットの太陽光の発電設備を設置。これに加え、新たに工場棟の屋上などにも発電容量244キロワットの太陽光発電設備を設置し、稼働する予定となっているという。これらの太陽光発電の影響で、CO2排出量は年間87.9トンの削減につながっているそうだ。

  • 九州本社 工場棟の太陽光発電設備(発電容量:244kw)

「また、九州本社の一部の工場棟では、吸収式冷凍機を撤去し、高効率の水冷チラーと空冷チラーを導入。吸収式冷凍機で使用していた蒸気が不要となり、該当する工場棟におけるA重油の使用量はゼロになりました。使用電力量は増えますが、総じて292.7トンの年間CO2の削減になっています」

中でも今、もっとも注目したいのは、久光製薬らが栃木県宇都宮市の清原工業団地で取り組んでいる「清原工業団地スマエネ事業」だ。

一般財団法人 コージェネレーション・エネルギー高度利用センターが主催する、コージェネ大賞2020の最高位「理事長賞」にも輝いたこの事業。後編では、その環境負荷の軽減に関する効果について話をお聞きしたい。

■後編はこちら「1年間でCO2・エネルギー使用量とも2割以上を削減、久光製薬が参画する『清原工業団地スマエネ事業』の成果」

[PR]提供:久光製薬