――PVは高校生をイメージした映像ということですが
新谷「学校を舞台にPVを撮りたいという気持ちが、ずっと私の中にはあったのですが、声優・新谷が歌うコンセプトはずっと"等身大"だったので、学校という舞台はありえなかったんですよ。"等身大"の新谷は、もはや学生ではないですから。なので、ずっと叶わぬ夢だと思っていたんですけど、今回の曲は、あの頃の自分を思い返し、あの頃の自分に対して、今思っていることとかあのときの自分に言いたいことを綴ったような歌詞になっているので、PVでも今の自分と昔の自分を対比させて伝えることができたらなって。なので、ここでやらないと二度とやれないと思って、やってしまいました(笑)」
――PVでは二人の新谷さんが交差するシーンがありますよね
新谷「あそこはすごいですよね。実は似ている人を見つけたんですよ」
――え?
新谷「うそです、うそです(笑)。両方私なんですけど、撮影中からプランを聞いてはいたのですが、どんな映像になるのかはわからなかったので、実際に出来上がったものを自分で観たときは、ちょっとビックリしました」
――出来上がったPVを観たときの感想はいかがでしたか?
新谷「最後に青空の下で歌う屋上のシーンがあるのですが、あそこが一番今回のPVでやりたかったところなんですよ。実はあのシーンを一番最初に撮っているんですけど、すごく朝が早くて、寒くて……。たぶんあの時間帯の空が一番キレイだろうということで朝一なんですけど、私は雨女なので晴れているうちに撮れというのもあって(笑)」
――今日も雨ですね……
新谷「本当に雨女なんですよ。そういう意味でも、あのシーンが一番印象的ですね。ただ、PV全体が公開されていなかったということもあって、最初、ファンのみんなはすごく制服に食いついてきて(笑)。想定内ではあったのですが、想定以上に食いつかれて……。でも、私の中でのメインは最後の青空のシーンなので、制服よりも、そのシーンに注目してもらいたいですし、みんなの印象に残ればいいなって思います。青空の下にいる私にね(笑)」
――それではカップリングの「Gift」についてお伺いしましょう
新谷「実はこの曲、"バレンタインソング"みたいなことになっているんですけど、歌詞には"チョコ"の一言も入っていないので、大丈夫かなって(笑)。最初は完全に"バレンタインソング"にするつもりで作り始めたのですが、あまり季節の曲にしてしまうと、ライブなどで歌いにくくなるじゃないですか。なので、ちょっと悩んだところもあったのですが、たぶん今後、私が2月14日にCDをリリースできることってないと思うんですよ。だったら、せっかくなので"バレンタインソング"にしようということで曲をお願いしたのですが、あまりにも可愛らしい曲を作っていただいたので、ここに"チョコ"とか"一生の勇気"みたいな歌詞をつけてしまうと、今の私には可愛らしすぎて、違和感があるなって。たぶん、すごく浮いちゃうと思うんですよ。だったら、そういう言葉は使わず、悩んでいることに対しての答えに向かうきっかけの存在になるものにしようと」
――答えに向かうきっかけの存在?
新谷「たとえば、好きな人が悩んでいるときに、その悩みに対する答えを直接あげることはできないけれど、その答えに辿りつくためのきっかけになりたい、そういう存在でありたい。そんなことを告白した歌になっています。タイトルの『Gift』というのも、何かをあげるとか、もらうということではなく、『Gift』に気付ける存在になりたいし、そんな存在でいてほしい、そんな意味合いになっています」
――バレンタインからは少し離れた感じですね
新谷「ただ、バレンタインの起源を探ると、チョコはまったく関係ないじゃないですか。だったら、そんなキーワードなんかなくても、ひとつの愛情の形を歌えば"バレンタインソング"になるんじゃないかなって。私が今までに歌ってきた歌は、悩んでいる人の背中を押してあげたり、引っ張ってあげたりする曲が多かったのですが、今回はそれをちょっと甘めにした感じになっています」
――実際に歌ってみた感想はいかがでしたか?
新谷「意外と難しかったです。メロディ的にも、テンポ的にもゆったりした感じなので、ちょっと苦労しましたね。『AUTOMATIC SENSATION』は勢いで歌えてしまう曲なんですけど、『Gift』は、歌詞のひとつひとつを大切に歌いたいという思いもあったので、少しレコーディングにも時間をかけました」