Z世代のお金の悩みに、節約アドバイザーの丸山晴美さんが答えます。今回は、家計をどうコントロールするかについて解説していただきました。

Q. コロナ禍で飲み会もないし遊びに行ってもいないのにお金が貯まりません。ネットショッピングにデリバリーやテイクアウト、今までにない支出が増えているような気がします。かといってなにもかも自粛するのもつらいものが……今の状況、家計をどうコントロールすればいいですか?

お金って不思議と気付いたときには、無くなってしまいますよね。飲み会にも、遊びにも行かないのにお金が貯まらないのはその分、別のところでお金を使っている証拠にほかならないのです。

また、気が付くとお金がなくなってしまうのは、家計管理がどんぶり勘定になってしまっている可能性が高く、せっかくお金を貯めるチャンスでもあるのに、それをふいにしていることになります。独身のときは貯めどきですので、自粛生活の外食費や交際費などかからないなら、その分もしっかりと貯めていきましょう。

チェックすべきは毎月の出費

レシートやネットショッピングの購入履歴などから、1カ月の出費をすべて書き出してみましょう。その中で、必要だったものには○、買わなくてもよかったものには×、それ以外のものには△を付けてみましょう。

×の合計金額は、その月の無駄遣いの塊です。つまり、お金を使う前に立ち止まって、よく考えていたら使わずに今手元にお金が残っていた可能性が高いお金です。お金が手元にあるとつい使ってしまうなら、このお金は先取り貯蓄に回しましょう。

先取り貯蓄は強制的に

手元にお金がなければ、ないなりに考えて調整や行動をするものです。毎月一定額を先取りで貯蓄や運用に回して、始めからそのお金はなかったものとして、生活をしましょう。先ほどの×の合計金額分や、手取り月収の1~3割を目安にして、給料天引きの財形貯蓄を利用するのが近道です。また、自分で運用先を選べる個人型確定拠出年金(iDeCo)もおすすめです。

仮に、月3万円、ボーナス時に10万円×2を先取り貯蓄にした場合、年間56万円貯まります。これを5年間続ければ、280万円、10年で560万円になる計算です。さらにやりくりがうまくなれば、それ以上の貯蓄ができるでしょう。この独身時代のお金はその後のライフイベントの助けになりますので、ぜひ早めに始めましょう。

お金の整理整頓をしよう

やりくり上手になるには、月に使える予算を知って、その中でやりくりをすることです。予算というと面倒に思ってしまうかも知れませんが、仕組みとやり方は簡単なので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

まずは、毎月必ず支払う固定費と呼ばれる、住居費や公共料金、保険料などを書き出して、その合計金額を出しておきましょう。奨学金の支払いなどがあれば、それも固定費に入れておきましょう。電気ガス水道のようにその月ごとに変動があるものは、おおよその金額でも大丈夫です。 次に毎月先取りで貯蓄や運用をしていたら、その合計金額も書いておきます。貯蓄性のある保険も、こちらに計算します。

毎月の収入から、固定費の合計と貯蓄の合計を引いたものが、その月に使える生活費です。

この生活費が多いと感じるか、少ないと感じるのかは人それぞれですが、筆者自身が20代の頃に同じことをやったら、考えていた以上に生活費に使えるお金が少ないことに気付き、焦った思い出があります。

生活費を3つに分けてみよう

その月の生活費がわかったら、食費(外食費込み)、他生活費(日用品や交際費など食費以外の出費)、予備費(何に使ってもよいお金)の3つに分けましょう。

仮に生活費が8万円なら、食費3万円、他生活費4万円、予備費1万円が現実的な数字でしょうか。

食費と他生活費は5週に分けて管理

1カ月分の予算をまとめて持っていると、給料日後に予算を使い過ぎてしまい、給料日前になると生活費が足りなくなってしまいます。バランスよく予算を管理するために、食費と他生活費は5週に分けて、1週間単位でお金を管理します。

先の例で、食費3万円なら週6,000円×5週、他生活費4万円なら週8,000円×5週となります。週の始まりを、日曜日でも月曜日にしても構いませんが、毎週決まった曜日に1週間の予算を入れ替えましょう。残ったお金は繰り越しせずに、毎週同じ予算でやりくりします。どうしても予算が足りないときや、突発的な出費は予備費から捻出します。

これら予算を守るためには、記録をすることをおすすめします。家計簿アプリなどを使いながら、予算を管理すると、現金やキャッシュレスを利用しても予算を守りやすくなるでしょう。

最後に、お金は限られているからこそ優先順位を考えて、必要なものからお金を使うようにしましょう。カゴに入れる前、会計に進む前などに、「本当に必要なのか?」と今一度立ち止まって考えてみましょう。

ときには失敗したなと思うお金の使い方をしてしまうかもしれません。でも、それも経験ですから、次につなげることがとても大切です。そのお金の使い方がよくなかったのであれば、どうすればよかったのか? と気付いて、反省して次につなげる。この体験や経験を繰り返すことで、金銭感覚はどんどん磨かれていくのです。