22日夜、『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ2024夏』(フジテレビ)が放送された。

番組冒頭で真っ先に伝えられたのは、「企画開始から20周年」「3か月にわたる全国オーディションを勝ち抜いた70組以上が出演」の2つ。つまり「それだけの歴史と実績があり、人気や活気が続いている」ことを伝えたかったのだろう。

このところ、日本テレビが新特番『モノマネMONSTER』を立ち上げたほか、TBSが『アーティスト別モノマネ頂上決戦 俺にアイツを歌わせたら右に出るものはいない』をすでに今年3回も放送するなど、ものまね特番をめぐる動きが活性化している。

ものまね特番の現在地点と、その中での『細かすぎて』のポジションや強みをテレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • 石橋貴明

    石橋貴明

軸は「あるある」と「ないない」

ネタが始まると画面右上に「2024年夏 ネタ数 1/138」というカウンターが表示された。その圧倒的なネタ数と出演者数は、ものまね特番に限らずネタ番組屈指。どちらもテレビ番組に限らず全てのコンテンツにおいて簡単にマネできるものではなく、希少価値の高いところだろう。

特に出演者数は、キンタロー。や横澤夏子などの人気芸人からテレビ初出演の無名芸人まで130人以上。さらに、どちらかと言えば後者のほうが目立つなど、スキル、華、ルックス、所属事務所などの差別・区別はほとんど感じられない。一般参加の牧田知丈だけ1回につき2ネタを許容していることからも“ほぼネタファースト”である様子がうかがえる、

ものまねの内容は、わずか数秒の瞬間芸から、ミニコント、音ネタ、アクションまで多彩。なかでも軸となるのは、日常の「あるある」と「ないない」が混在するネタであり、他のものまね特番のような有名人に似せる芸ではない。ただ、チャンス大城の「犬のためだけに歌う氷室京介」というネタに柴田英嗣が「もう何でもありになっちゃうね」とコメントしたように、「ないない」がフィーチャーされやすくなっている。

ものまね特番全体に目を向けると、このところのトレンドは「再現性」「歌がうまい」を重視。『ものまね紅白歌合戦』(フジ)、『モノマネモンスター』、『アーティスト別モノマネ頂上決戦』、『ミリオンシンガー』(日テレ)などを見る限り、若手アーティストのものまねを中心に「いかに似ているか」「いかに歌がうまいか」を追求した出場者の割合が増えている。