22日にフジテレビの『お台場冒険王2023 SUMMER SPLASH!』、テレビ朝日の『テレビ朝日・六本木ヒルズSUMMER STATION(サマステ)』がスタートした。どちらもテレビ局による夏のイベントであり、コロナ禍での中止を経た今となっては規模の大きさに驚かされる。
かつてはフジのお台場とテレ朝の六本木以外でも、日本テレビが汐留、TBSが赤坂で夏の大規模イベントを開催していた。しかし、コロナ禍の影響などもあって、両局は大規模イベントを行っていない(日テレはなし、TBSは10日間の小規模のみ)。
令和の今、テレビ局がリアルなイベントを開催することにどんな意義があるのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
■番組体験型アトラクションの重要性
まず、それぞれの主なイベント内容を挙げていこう。やはりベースとなるのは、看板番組の体験型アトラクション。
『お台場冒険王』は、『千鳥の鬼レンチャン』『イタズラジャーニー』『ドッキリGP』『新しいカギ』『全力!脱力タイムズ』『逃走中&戦闘中』などのバラエティと、『ちいかわ』『サザエさん』『ワンピース』『鬼滅の刃』『るろうに剣心』などのアニメをバランスよくそろえている。
一方の『サマステ』は、『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『ひろがるスカイ!プリキュア』『仮面ライダーギーツ』『王様戦隊キングオージャー』などのアニメ&特撮ヒーローが軸。そこに『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』『#裸の少年』『EXITのモータースポーツ応援宣言』などのバラエティを絡めて集客している。
これらは、日ごろ番組を見てくれる視聴者へのファンサービスであり、新たなファン層の獲得への期待も大きい。単に番組を見ているだけではなく、その世界観をリアルイベントで体感してもらうことで、「ますます好きになった」「じゃあ見てみようかな」などと視聴者の愛着や親近感が上がっていく。
また、「目当てのコンテンツがあったファンに、別のコンテンツのファンになってもらう」というチャンスも大。実際、『お台場冒険王』には、番組関連だけでなく人気クリエーターの動画撮影をのぞき見できる「Creator Clear House」というブースも用意されている。YouTubeや動画配信サービスなどネットコンテンツとの競争が激化する中、ファンの確保と囲い込みの重要性は増しているのだろう。
もう1つの柱となるのが音楽ライブで、どちらのイベントも若年層に人気のアーティストが連日ライブを開催。スポンサーニーズが高い若年層をテレビ局発のイベントに誘客する意義は深く、加えて会場周辺のエリア全体を活気づけてもらえる。
さらに、オリジナルメニューなどをそろえたグルメも、テレビ局発のイベントが持つ強み。出演タレントやアナウンサーが開発に関わったメニューは他では食べられないオリジナルであり、「今回限り」「行かなきゃ食べられない」というイベント感を高めている。