番組数を減らすことで出演者、スタッフ、素材、セット、機材などの多くで制作費削減が可能。最もわかりやすい出演者で言えば、外部のキャスター、コメンテーター、気象予報士、各ニュースの専門家への報酬がまるごと削減できる。また、番宣絡みのエンタメコーナーを増やすことでも出演者への報酬は抑えられるだろう。
配信コンテンツが増え、スマートテレビの普及が進むなど、視聴率獲得はますます難しくなる一方。IPとしての価値が高いドラマや放送収入を支えるバラエティより、情報番組の制作費削減を求める動きが広がっているのは間違いない。
しかし、長時間化はストレートニュースやコメントの量を増やしたり、同じ映像を繰り返したり、容易に素材入手できるエンタメコーナーを加えたり、ネットの話題を拾ってランキングにしたりなど、「クオリティとニーズの両面で視聴者を満足させられるか」はあやしい。
さらに視聴者としては「どの局のどの番組が何時にはじまり、何時に終わるのかわかりづらい」という問題が増し、リアルタイムで見てもらうことがますます難しくなっている。本来、報道・情報番組は各局横並びで6時~8時、8時~10時、10時~12時、12時~14時、14時~16時などと2時間刻みで放送してくれたほうが見やすいものだが、バラバラでわかりづらい番組表になってしまった。
実際、『DayDay.』のスタートから3年経過したが、まだ世間の人々が9時スタートの番組に慣れたとは言いづらく、そもそもどの程度ニーズがあるのかもわからない。その点、今春から同じ9時スタートとなる『ノンストップ!』も「自らニーズを掘り起こす」くらいの構成・演出が必要ではないか。
そしてもう1つ不安点として指摘されているのが、キャストとスタッフの負担増。放送時間が増える分、全体のバランスや整合性を取ることが難しくなるほか、ミスのリスクも高くなるなど、「単純に人数を増やせばいい」というわけではないだろう。
まず見切り発車のような状態からはじめて、続けながら最適化していくことが予想されるが、心身両面での負担をどう軽減させていくのか。番組ごとにガバナンス強化が求められる。
「テレビはニュース」の印象が濃く
最後にテレビ業界、特に民放全体に目を向けると、『ZIP!』に続いて『めざましテレビ』も長時間化したことで「細切れの情報をつないでいく」「同じニュースを繰り返し放送する」という印象がますます濃くなっていくのではないか。
世間の人々に「テレビをつけたら報道・情報番組ばかり」「どのチャンネルも同じようなニュースばかり」と思われるほど、「“つけっぱなし”の人しか見てもらえない」という危うさが増していく。それを防ぐためには、日替わりのタレント出演や中継コーナー程度ではない差別化が必要だろう。ましてや番宣絡みのエンタメ情報ばかりでは飽きられてしまい、広告効果が下がってしまうリスクも考えられる。
最も恐れるべきは「あの局がCSのようなニュースチャンネル化している」というより、「テレビそのものがニュースメディア化した」というムードが濃くなること。すでに「時計代わり、天気予報、占いが目的で朝だけテレビを見る」「夜は以前より面白くないから見なくなった」という人が増えていただけに、ゴールデン・プライム帯への影響もチェックしなければいけないところだろう。
今回の放送時間拡大が報じられたとき、「8時で終わってドラマ再放送のほうがいい」というニュアンスのコメントが散見された。これはネット上によくある“何でも叩きたい人”の悪意ではなく、似たような報道・情報番組ばかりのテレビに対する最後通告なのかもしれない。
では、少ない予算と限られた人員の中で何ができるのか。たとえばゴールデン帯では過去のドラマやバラエティを生かしたアーカイブ企画が量産されているが、このショートバージョンがあっていいかもしれない。さらにもっと開き直って、放送中のドラマは各話5分程度にまとめて動画配信されることが多いが、それを放送しても一定のニーズがあるのではないか。
「最新」や「旬」だけでなく「過去」と「名作」などをどう生かしていくか。ネットの話題に便乗するのではなく、番組発のトレンドをどのように発掘していくのか。報道・情報番組の固定観念から離れる発想の転換が必要に見える。