民放主要4局の中でエンタメ業界に衝撃を与えたのは日テレのスタンス。

Netflixのライブ配信における中継制作を受託し、日本戦を中心に15試合を担うという。さらに驚かされたのはNetflixと連携し、大会を盛り上げる「プロモーションパートナー」も引き受けたこと。

各試合終了後の速報特番を同局で放送するほか、5日に『ワールドベースボールクラシック開幕特番 世界一受けたい授業』、13日に『人生が変わる1分間の深イイ話ワールドベースボールクラシック特別編』も放送する。

日テレは日本のプロ野球中継を最も行ってきたテレビ局であり、視聴率獲得に最もシビアで2010年代以降トップを走り続けてきたことも含め、「Netflixの宣伝を行う」という姿勢をはっきり見せた事実は重い。

ただ、他局でもテレ朝が1日に『有働Times特別編 侍ジャパン世界一の歴史 秘蔵映像一挙公開!』を放送。さらに壮行試合の生中継、情報番組での連日にわたる特集、NetflixのCM放送なども含め、白旗をあげて目の前の視聴率獲得や収入確保を優先させた様子がうかがえる。

近年、各局にとってのNetflixはドラマなどのコンテンツをグローバル配信してもらうアライアンスパートナーとして重要な存在となっていた。将来に向けて円満な関係性を保っていく上でWBCの盛り上げにひと役買っておこうという意識もあるのだろう。

Netflixのコンテンツに再ブームか

侍ジャパンは最大で6日~17日の12日間7試合を行うが、最少では6日~10日の5日間4試合のみで終了してしまう。

やはり結果で盛り上がりの大きさは左右されるが、民放各局にとって最大の問題は「新規加入者の多くが最低でも1か月はNetflixのコンテンツを見られる」こと。もし早く敗退したらそれだけWBC以外のNetflixコンテンツを見る時間が増え、各局の番組を見る機会が減りかねない。

たとえば、これまで『イカゲーム』シリーズや『地面師たち』をスルーしてきた人がWBCをきっかけに「じゃあ見てみよう」と思う可能性は高いのではないか。その意味でWBC以外の既存コンテンツがあらためて話題を集めるのかもしれない。

さらに「Netflixって思っていたより安くて面白いコンテンツが多い」と感じたら、しばらくの間は契約を継続。その間Netflixはさまざまなコンテンツを投入するはずだ。

スポーツだけを取っても「世界一を決めるビッグマッチは有料配信」という流れがますます加速するなど、Netflixに限らず有料動画配信サービス全体への影響も考えられる。

また、今回のWBCをきっかけに有料動画配信サービスが高齢層にまで定着したら、「強制加入」「選択の余地なし」などと批判されがちなNHKへの影響も避けられないだろう。

Netflixは単にWBCを配信するだけでなく何らかの仕掛けを用意しているのか。決して大げさではなくテレビの今後を左右するもう1つの戦いがまもなく幕を開ける。