連載コラム『美人すぎる公認会計士がこっそり教える、やわらかマネー知識』では、公認会計士の平林亮子氏が、その豊富な経験を生かした「お金」に関する知識を、分かりやすく説明します。あなたの人生を変えるような、とっておきのマネー知識が得られるかもしれません。


国民年金、制度を知らずに信頼できるかどうかを語るのはナンセンス!

この原稿を書いている今日は2014年1月13日。成人の日です。

ハッピーマンデー制度の導入によって、2000年から、成人式は1月の第2月曜日となりました。成人式が1月15日だったのは、もう15年も前のことなのですね。

さて、成人になるとお酒やタバコを楽しめるようになり、親の同意がなくても結婚できるようになります。

そうした権利を得るということは、それだけ責任を負うことにもなるわけですけれど、責任といえば、国民年金への加入も必要になります。

2014年の新成人に対して、国民年金は信頼できるかというアンケート調査を行ったところ「信頼できる」「どちらかといえば信頼できる」と答えた割合は3割にも満たなかったそうです(マクロミルによる調査)。

厚生労働省のデータによれば、国民年金の納付率は60%前後。新成人のみならず、国民全体からの信頼度も、そう高くないのが現実なのでしょう。

とはいえ、制度を知らずに信頼できるかどうかを語るのはナンセンス!

たしかに、新成人にとって、自分が65歳になったときに年金を受け取ることができるのか、受け取ることができたとしてもどれくらいになるのかは、45年後のことですし分からないことだらけでしょう。

ニュースなどでも年金制度が本当に継続するのか、問題として取り上げられています。

信頼しろと言っても、無理があるかもしれません。

一方で、国民年金の制度を、どれだけ知っているかと言えば、実はよく知らないという人も多いのではないでしょうか。

不慮の事故などで障害を負ってしまった時にも、年金を受け取ることができる

公的年金制度についてここで詳しく解説するつもりはありませんが、年金を受給できるのは何も65歳になったときだけではありません。

たとえば、不慮の事故などで障害を負ってしまった時にも、年金を受け取ることができます。

亡くなった時には、残された家族が遺族年金を受け取れることもあり得ます。年金は

「いざというとき」

への備えとしての機能も持っているのです。

つまり、公的年金制度は一番身近な「保険」でもあるのです。

テレビCMで見かけるような保険にはこぞって加入するのに、国民年金をはじめとする国の制度を信頼できないのだとしたら少し寂しい話です。

考えようによっては、テレビCMで目にするような外資系の保険会社は世界中に拠点と顧客を持っていますから、「国家」よりもずっと強固な存在かもしれませんが…。

ただ、目先の情報にとらわれず、制度や事実を良く知ることが、まずは大切なことだと思うわけです。

自ら声をあげなければ、受け取れるものも受け取れない

そうそう、制度を良く知ることの大切さといえば、こんなことが。

私たち公認会計士は、日本公認会計士協会に加入することになっているのですが、結婚すると協会からお祝い金が出ます(今現在、そういう制度が無かったらごめんなさい!)。

ただし、申請しなくては受け取れません。協会がすべての会員の結婚を把握できるはずもありませんから、当たり前ですよね。

十数年前、私はしっかりと申請し受け取りましたが、周囲にはその制度を知らない人が意外といたのを今でも覚えています。

国や企業の制度も同じ。自ら声をあげなければ、受け取れるものも受け取れないということが多々あります。

物事を損得で考えるのはあまり好きではありませんが、制度を知らなかったがために受取れるはずのお金を受け取り損ねてしまったら、やっぱりそれは「損」だと思いませんか?

執筆者プロフィール : 平林 亮子

公認会計士。「美人すぎる公認会計士」としてTVやラジオ、雑誌など数多くのメディアに出演中。お茶の水女子大学在学中に公認会計士二次試験に合格。卒業後、太田昭和監査法人(現・新日本有限責任監査法人)に入所。国内企業の監査に多数携わる。2000年、公認会計士三次試験合格後、独立。企業の経営コンサルタントを行う傍ら、講演やセミナー講師など多方面で活躍。テレビの情報番組のコメンテーターを始め、ラジオ、新聞、雑誌など幅広いメディアに出演している。