庄内地方を車で移動しながら思わず写真を撮ってしまうのは、遮るもののない広大な田園風景。天然の色は人の心を癒す。今回は山形県庄内地方とその北側の秋田県にかほ市にも足を延ばして、大自然の中の癒し&アクティビティスポットを紹介する。
「かもすい」の青い大水槽でクラゲに癒されて
鶴岡市から車で日本海に向かって約20分、海岸線を走って辿り着くのは、クラゲの種類が世界一という加茂水族館。
噂には聞いていたが、ゆらゆらと水槽の中を浮遊する美しいクラゲに釘付けになる。
こちらは、直径5mの大水槽があるクラゲドリームシアター。暗闇の中に浮かび上がるクラゲたちの動きはなんとも幻想的で、ずっとこの場で静かに座っていたいと思わせる。月に一度、ここで音楽の夕べが開かれていて、ときにはジャズやクラシックのライブ音楽も楽しめるそうだ。
アシカやアザラシについてその特徴・違いなどの説明が聞ける「ひれあしの時間」も設けられている。
●鶴岡市立加茂水族館
住所: 山形県鶴岡市今泉字大久保657-1
営業時間: 9:00~17:00(最終入館は16:00) 無休
アクセス: 庄内空港より車で約17分
米どころ庄内のシンボル「山居倉庫」とケヤキ並木
酒田市のシンボルとなっているケヤキ並木と米の保管倉庫の映えスポットがこちら。白壁、土蔵づくりの風情ある建物と緑のケヤキの散歩道。吹き抜ける潮風を受けながら歩いてみたい。
庄内の酒田は、江戸中期から明治初めにかけて、北海道と大坂を結ぶ北前船交易の拠点となった町。築120年以上の「山居倉庫」は、最上川流域で採れた米を集積し保存するために建てられた。12棟のうちの9棟は2022年9月まで農業倉庫として利用されていたそうだ。
背後に並ぶケヤキ並木は、日本海からの強い潮風と西日よけの役割を、また倉庫内は湿気を防ぐために二重屋根にするなど、米の保存に最適な工夫があちらこちらに施されている。
1983年のNHK朝ドラ「おしん」のロケーション舞台になったことでも有名。
山居倉庫の2棟を改修して造られた観光物産館「酒田夢の倶楽」では、庄内のおみやげがズラリ。館内の一角には酒田の歴史を紹介するブースもある。
●山居倉庫・酒田夢の倶楽
住所: 山形県酒田市山居町1-1-20
営業時間: 9:00~17:00 無休
アクセス: 庄内空港より車で約17分
日本一の規模を誇るブルーベリー農園で収穫体験
出羽三山(でわさんざん)のひとつ、月山の麓に広さ8ヘクタール、東京ドーム2.5個分ほどのブルーベリー農園がある。
想像を絶する広さとスケール感に目を奪われる。
可憐なブルーベリーの実にひと目惚れをしてブルーベリー栽培を始めたという鈴木農園の代表、鈴木繁治(しげじ)さん。昭和50年に10種類1000本のブルーベリー栽培からスタートして、40年目の現在、土壌にもこだわった有機栽培で40種1万本を栽培している。
世界一おいしいブルーベリーを目指しているだけあり、大粒のブルーベリーは甘くて食べ応え十分だ。中には500円玉の大きさのものもあって、ブルーレイ、レイトブルー、バークレーなど、品種によって味も違っている。
観光農園としても解放していて、1時間食べ放題の収穫体験は人気が高く、県内外から多くの観光客が訪れる。大人1500円、子ども800円。
農園の奥には展望台があって、見晴らしも抜群! 鳥海山、月山も眺められ海の向こうに飛島も見える。
●月山高原 鈴木農園
住所: 山形県鶴岡市羽黒町上野新田字上台80
営業時間: 7月上旬~8月上旬 9:00~17:00
アクセス: 庄内空港より車で約35分
池そのものがご神体? 神秘の池「丸池様」と清流「牛渡川」を散策
山形県と秋田県の県境にある鳥海山は、標高2236m。出羽富士とも呼ばれるほど美しい稜線をもち、山麓の人々の守り神として古くから崇められてきた。その鳥海山からの湧き水だけで満たされた池が「丸池様」。この池そのものがご神体とされ、信仰の対象となってきたという
直径20m、水深3.5m。木々の間から澄んだブルーとエメラルドグリーンに輝く丸池様を見ていると、思わず合掌してしまうくらいの神聖な空気が漲っている。なるほど、ご神体と言われる理由と、「様」付けで呼ぶ地元の人たちの気持ちが理解できるようだ。
丸池様のすぐそばを流れる鳥海山の伏流水(※後述説明あり)の清流「牛渡川(うしわたりがわ)」沿いも散策におすすめ。初夏には川底が梅花藻で彩られ見事だ。
●丸池様
住所: 山形県飽海郡遊佐町 直世字荒川57
アクセス: 庄内空港より車で約35分
道の駅「鳥海ふらっと」で獲れたての岩ガキ、魚介の網焼きを
●鳥海ふらっと
住所: 山形県飽海郡遊佐町菅里菅野308-1
営業時間: 9:00~18:00(12~2月は17時まで)
休日: 元旦
アクセス: 庄内空港より車で約45分
癒しの滝でマイナスイオンのシャワーを浴びて、心身をリセット
丸池様の後は、県境を越えて秋田県にかほ市へ。知る人ぞ知る、とっておきの癒しスポット「元滝伏流水(もとたきふくりゅうすい)」を訪れた。
駐車場から約750m歩くと「元滝伏流水」に到着する。ここには鳥海山に染み込んだ水が、幅約30mの岩肌から湧き出している。手つかずの森の木々、岩肌を流れる水しぶきと、苔むす岩々の緑の濃淡・・天然の造形美に言葉が出ない。滝に到着するまでの遊歩道も絶景続きだ。
伏流水とは、河川や湖沼の底の砂れき層中を流れる地下水のこと。地中で自然のろ過が行われるため、表流水に比べて水質が良い。
余談だが、にかほ市のご当地ヒーロー「超神ネイガー」は子どもたちに大人気だそうだ。今回この地を案内してくださった、にかほ市商工観光課課長、今野伸二さんに超人ネイガーのうちわやグッズをいただいた。名前の由来は、秋田県男鹿のナマハゲの雄たけび「泣ぐ子はいねがー!」から命名したとか(笑)
●元滝伏流水
住所: 〒018-0133 秋田県にかほ市象潟町小滝字元滝
アクセス: 庄内空港より車で約50分
※元滝伏流水を見学した後は、秋田県にかほ市の象潟駅から特急いなほで新潟駅を経由し、新幹線で東京へと戻ってきた。この秋は、飛行機と鉄道をうまく乗り継いで、日本海のおいしい旅を満喫してみてはいかがだろう。
取材協力: 庄内空港利用振興協議会
※庄内空港利用振興協議会は、県や庄内地域の市町を中心に構成され、庄内空港の利便性と利用者拡大に向けた活動をしています。