テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。

今回は、インドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、コンサルタントの平均年収と生存対策についてご紹介します。

  • コンサルタントの平均年収と生存対策

コンサルタントの平均年収

コンサルタントを名乗る人は、世の中にたくさん存在します。資格が必要なものもあれば、そうでないものもあります。「コンサルタント」「アドバイザー」「顧問」「コーチ」など、呼び方はさまざまですが、企業や経営者の課題解決をサポートするという意味では仕事内容は大きく変わりません。

領域は幅広く、「経営戦略」「財務」「人事・採用」「海外進出」「M&A」「事業承継」「投資」「コスト削減」など、挙げればキリがありません。多くのコンサルタントは、自身の経験や専門知識を活かせる領域のコンサルティングをしています。実績がある人でないと、企業や経営者もコンサルティングを依頼しませんから当然です。

では、コンサルタントの仕事に就いている人の平均年収はどれくらいなのでしょうか。

『日経業界地図 2018年版』(日本経済新聞出版社)によると、1位はアクセンチュアの平均年収850万円。次いで、2位はデトロイトトーマツコンサルティングで平均年収844万円、3位はプライスウォーターハウスクーパースで平均年収807万円、4位は野村総合研究所で平均年収804万円、5位は日本アイ・ビー・エムで平均年収753万円となっています。

これは雇われているコンサルタントの平均年収ですので、独立している方はもっと高い年収を得ているでしょう。一人で2000~3000万円、なかには5000万円くらいの方も私の周りにはいます。夢がある年収ですね。

コンサルタントの多くは「提案型営業」

高い年収を稼ぐことのできているコンサルタントの多くは、顧客から愛されています。顧客から必要とされなければ、高いコンサルティング費用を払ってはもらえません。搾取しているようなコンサルタントもなかにはいるかもしれませんが、そんな対応をしていたら顧客との信頼関係は長続きしないでしょう。

コンサルタントを目指すときに注意すべきことは、"本当のコンサルタント"を目指すのか、"提案型営業"なのかという点です。ここでは、コンサルタントの定義を「経営者や会社の未来に寄り添える人」とします。一方、提案型営業とは「さまざまなことを提案して、自分のメリット(収入)になる方に誘導しようとする人」のことです。

節税対策やコスト削減、ブランディング、M&A、海外進出など、コンサルタントが提案できる課題解決策はたくさんあります。コンサルタントとして長く活躍したいのであれば、本当に企業や経営者のためを思って提案しているのか、自分に都合の良いポジショントークをしているのかを胸に手を当てて考えた方が良いでしょう。

「アパートを建てて節税しましょう」 「ブランディングのために本を出しましょう」 「M&Aでシナジーを狙いましょう」 「売上を伸ばすために海外進出しましょう」

などの提案は、いずれも必要なことなのかもしれませんが、タイミングは今なのか、本当にやらなければいけないことなのかをよくよく考える必要があります。少なくとも、メリットばかりを説明するのではなく、デメリットやリスクについても丁寧に説明した方が信用を得られます。信用はなによりも重要な資産です。

コンサルタントとして生き残り続けるには

コンサルタントや専門家、士業の多くは「先生」と普段から呼ばれることがあるでしょう。私の父もコンサルタントで専門家で士業だったのですが、先生と呼ばれることは多いと言っていました。また、「普段から先生先生と呼ばれるから、大したことをしていないのに自分が優秀だと勘違いする人も多い」とも話していました。

「先生」と呼ばれると、どうしても上下関係のような形になってしまいます。しかし、本来的に仕事に上下関係はないですし、対等な関係です。それを勘違いして、上から目線で提案したりすれば、当然ですが相手に嫌われてしまいます。「言うことを聞け」と言われて、気分の良い人はいないでしょう。それよりも、経営者の本音や本心を引き出し、まだ知らない領域の話を具体的にしてくれる人の方が、側にいてほしいと思われるのではないでしょうか。

コンサルティング契約をしても、短期間のうちに関係が切れてしまうコンサルタントも多くいます。せっかくのご縁なのですから、顧客と長期的な関係を築いて末永いお付き合いができるコンサルタントを目指しましょう。コンサルタントにとっては真摯さがすべての基盤であり、信用資産がもっとも重要な経営資源です。