仕事に忙しいときほど、健康管理が大事になってきます。風邪などのウイルスに負けないよう、体の免疫力を高めておきたいものです。おでんや煮物でよく食べる大根は、捨てるところがない栄養たっぷりの食材です。今回は、生の大根よりも栄養素をさらに摂ることができる食材をご紹介します。
免疫力とは?
免疫とは、外から体の中へと入ってきた細菌、ウイルスや体の中にあるがん細胞などと戦い、体を守る仕組みです。私たちの体にもともと備わっている機能で、この仕組みは、免疫細胞と呼ばれる、T細胞、NK細胞などのさまざまな細胞があります。これらの免疫細胞は、血液の中に入って、体の中を巡りながら働いています。そのため、免疫力が高いと、病気にかかりにくいと考えられています。
免疫力を低下させる原因として、影響が大きいと考えられているのはストレスです。ストレスを受けると、私たちの体はホルモンを出すことによって耐え、体を守ろうとします。しかし、このホルモンが免疫の働きを低下させるといわれています。
免疫力を上げるためには腸内環境を整える
免疫力を上げるためには、ストレスを上手く発散させることが大切です。休みの日には趣味などを楽しむ、軽い運動をする、といったことも免疫力上げることにつながります。そのほか、腸内環境を整えることも免疫力を上げるために役立ちます。
私たちの腸内には、100兆個もの腸内細菌が生息するといわれています。これらは主に3つのグループに分けられますが、ストレスや便秘、不規則な生活などが原因で体にとって悪い働きをする有害菌が占める割合が増えてしまいます。腸内環境をよくするためには、この悪い働きをする菌の割合を減らし、体にとってよい働きをする有用菌を増やすことが大切になってきます。
免疫力アップのために野菜を食べる
肉類に偏った食生活やアルコールは、有害菌を増やすといわれています。有用菌を増やすためには、エサとなる食物繊維やオリゴ糖を含む野菜、海藻、豆類などを食べると効果的です。厚生労働省は、日本人の食事摂取基準で一日に350g以上の野菜を食べることを目標としていますが、食事を1日に3回摂らないと補うことが難しい量です。目安として、生野菜なら両手に軽く一杯、ゆで野菜なら片手に一杯程度を毎食取り入れるようにしましょう。
外食や惣菜を選ぶのであれば、定食など野菜が摂れるメニューを選び、小鉢1皿以上、1日5~6皿分程度のサラダや野菜がメインのおかずを選ぶと野菜の目標量に近づきます。
おすすめ野菜は切り干し大根
冬においしい大根は、色の薄い淡色野菜ですが栄養もたっぷり含まれています。さまざまな消化酵素が含まれ、胃腸の働きを助けるだけでなく、免疫力を上げる働きもあるといわれています。大根葉は、緑黄色野菜であり、カルシウムや鉄分、葉酸、ビタミン類の補給にもなります。大根を食べるときは、葉の部分もいただくとよいでしょう。
大根の中でもおすすめの食材が、切り干し大根です。切り干し大根は、大根を干して乾燥させたものです。生の大根に比べてかさが減り、うまみや栄養が凝縮されています。食物繊維も豊富なことから、有用菌を増やし、腸内環境を整え、免疫力アップにも役立ちます。
また、皮をむくなどの調理の手間も少なく、長く保存できる乾物であるため、買っておくと便利な食材です。千切り大根を水で洗って、水気をペーパータオルでとり、片栗粉をまぶして油でカリッと揚げれば、簡単におつまみができあがります。味噌汁など汁物の具材に取り入れるのもおすすめです。
大根は、葉から根まですべて食べられる食材です。大根の加工品として作られている漬物は、発酵食品であり、乳酸菌などが有用菌のエサとなるため、腸内環境を整えることに役立ちます。食べ過ぎは塩分の摂りすぎになりますが、数切れ食べるのはよいでしょう。食事に大根を取り入れて、腸内環境を改善し、免疫力アップへつなげましょう。
筆者プロフィール: 岡田明子
管理栄養士。同志社女子大学管理栄養士専攻卒業後、高齢者施設に勤務し、利用者の食事管理を行う。その後ダイエットサプリメント会社の立ち上げに関わり、自身の13kgのダイエット成功経験を生かして「食べてキレイに痩せる」ダイエットメソッドを確立。独立後は、ヘルスケア関連を中心にレシピ監修や商品開発、講演や執筆活動、テレビなどのメディア出演などを務める。2014年に一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)を設立し、栄養士、管理栄養士をサービスパートナーとして、健康事業のサポートとヘルスケア分野で活躍できる人材育成を行っている。著書に『妊娠できる体は食から 30代からの妊活食』(KADOKAWA/角川マガジンズ)など。